構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

« Post Office Crisis | トップページ | Devils' Globalization »

Change the policy

米国では、中間選挙で民主党が大勝した。上院は僅差であるが、下院は圧倒的に勝った。

米国の国内総生産は高成長であったし、住宅市場の冷え込みの傾向が見られるにせよ、株式市場も大いに潤っている中で、何が起きたのかいぶかる向きもあるが、マネーゲームを続ける経営者貴族の超大型ボーナスの反面、勤労大衆は賃金横ばいと雇用の喪失に悩まされ、いわゆる中産階級が急減すると言う格差社会の現出が原因であることは明白である。30年代の大恐慌の反省から、累進課税、社会保障、公的教育の拡充など中産階級がアメリカの中核を担ってきたから、よその国人からはうらやましい程の豊かな民主社会を形成してきたが、ブッシュ大統領を頂点とする、ネオコンの政策は、アメリカ社会を分裂させた。税制で言えば、大企業と富裕層優遇の大減税を続けた結果、イラクに見られる軍事費支出で、未曾有の財政赤字をつくりだし、それまでの、社会政策のための支出を削減した。株式や不動産などの値上がり益には無税とし、しかも、相続税も段々と廃止しようとしたから、格差は、広がる一方であった。中間選挙の論点の中で、イラク戦争に対する国民投票として、Noをつきつけたことは別にして、民主党の経済政策で一番受けたのは、最低賃金の上方修正であったという。国内産業は、世界はフラット化した等と言う妄言に乗せられて国内調達をやめて、雇用を外国に流出させ、競争と言いながら実は一部企業が市場の実質的な独占や寡占に励む状態が続いた。粉飾の決算は頻発した。こうして書き進めていると、どうも、小泉政治の中でこの国日本でも起きたことと同じ内容の話である。

自民党総裁選の最中では、消費税増税論議があったが、安部政権になり、法人税の話題へと転化しつつある。法人税減税で企業の国際競争力を高めて、成長経済の推進力とするという主張である。しかし、法人税減税が、誰を助けるのかと言う、中心の目標が明らかにならない限り、国際競争力の向上に繋がると言う保証はどこにもない。上述のアメリカの話のようにいよいよ格差社会を拡大させ、既得権益である重厚長大な産業を温存するだけのことにしかならない。20年前と違って、むしろ、企業部門の一部は貯蓄が過剰で、それこそマネーゲームが盛んではないのか、一方では、フリーターや、ニートなどの現出に見られるように、まともな雇用政策が行われていないので、労働分配率は下がるばかりで、サラ金問題などに見られるように、家計の貯蓄は取り崩しが始まっているのが現実だ。

一例を挙げると、信じられないことだが、メガバンクは、空前の利益をあげながら、過去数年にわたって法人税を納めていない。空前の利益を上げていても、預金者に対する還元があった話も聞かないし、聞くのは銀行の社内預金の利子が上がったとか、役員の退職金が天文学的な学になったとかの話ばかりである。銀行救済の為の公的資金投入などが行われる中で、繰越控除の制度が導入され、単年度の利益が繰り越し損失を下回っていれば、最大7年間は税金を払わずにすむと言う。メガバンクは史上空前の好決算にもかかわらず、

法人税を免除されていることは、悪政であり、もしかしたら、アメリカの政策よりも、悪い結果をもたらしているのかもしれない。メガバンクからは、法人税をとらず、既得権益を温存するために法人税を減免すると言うのでは、筋が通らないし、財政赤字の解消のために増税をと言うのであれば、なおのこと、論旨は一貫しない。本来預金者が得るべきであった金利は、金融業界を助けんが為の低金利政策で、約三百兆円のうべかりし利益を日本国民たる預金者から剥奪し、また一方で、海外への資金流出を促進させたとの見方がある。税負担が重いと企業の経営は悪化すると言うことは、全くの俗説である。法人税率を引き下げても投資を促進することにもならないことは、資金が借り入れの場合には資本コストが上昇するだけであり、全く理屈の通らない話しである。

小泉政策の本質は、ブッシュ政権の経済政策の尻馬に乗って、生産の拠点を海外に移動させ、金融機関を中心とする企業の金利負担を軽減して、一方では、預金者の利子や、勤労大衆の賃金を抑制して消費経済を冷え込ませ、家計の経済を縮小・破壊する流血の痛みを一方的に強いる経済政策であった。今、ようやく米国で、ネオコン主導による市場原理主義の流れ、小泉政治の盟友の政治の流れが止まった。世界的な格差社会の拡大を目論むアメリカ化ならぬグローバリゼーションの政策に歯止めがかかった。

日本でも、法律改正をしてでも、空前の利益を上げながら法人税を支払わない企業からは、繰越控除制度を前倒しで廃止して、税収を上げることのほうが肝心であろう。景気は、一部で回復しているのに過ぎないが、業績が回復した企業からは落ち込んだ法人税収をちゃんと徴収して、この国の安寧を維持するための、公共のための政策の原資として活用するのが本筋である。社会保障政策の原資の削減に歯止めをかけるべきである。財政赤字と喧伝するが、まだまだ、純債務は諸外国と比べて、少ないとの見方もあるから、例えば、利用率の少ない高速道路や空港・港湾などは、完全に無料化に近い低廉化するなど斬新な政策を採用して、無駄を嘆くばかりではなく、無益な資産から有益な資産に転換すべく有効利用を図るべきだろう。

経済が活性化すれば必ず税収は好転する。法人税収が減っていたのは、企業の業績が悪かったのが原因であって、法人税を減らせば企業の業績が上がったり、国際競争力がつくなどとの話は根拠のない迷妄でしかない。その昔、ある電気機器会社の社長さんから聞いた話だが、法人税をまともに払うことがお国のためになることで励みになると。全企業の7割が赤字法人で、法人税を払っていない。法人税を払う体制にすることのほうが先決だ。この国の巨額の設備産業が税金逃れで、法人税の減免要求をしているのであれば、利益が上がっても税金を払っていない悪しき金融業界の前例を踏襲させるだけの話だ。

郵政の民営化政策のように、心臓が悪いのに、健康な手足を手術してなお健康を悪化させるような、倒錯した経済政策の見直しが必要である。手術する患者を取り違えたのではないか。郵政公社は、一定の条件の下で、利益が上がれば法人税率以上の納付金を納入する制度になっているが、民営化すれば税収の観点からはどうなるのだろうか。他のメガバンク並みに法人税を払わないようになるのだろうか。ブッシュ・小泉流の市場原理主義の嵐の中で、国民資産で構成される郵政の財産の「米営・ブッシュ化」はなんとしてでも阻止しなければならない。米国における政治構造の変化を機会に、この国で採用された亜流のブッシュ経済政策の欠陥を点検・摘発して、政治・経済の私物化〔民営化〕の見直しと公益化を目指す、新たな政策展開を追求することこそが国益である。

|

« Post Office Crisis | トップページ | Devils' Globalization »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/209267/14643293

この記事へのトラックバック一覧です: Change the policy:

« Post Office Crisis | トップページ | Devils' Globalization »