構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Irrational Exuberance

2005年9月11日に行われた衆議院総選挙は、小泉自民党の歴史的な勝利となった。郵政民営化に賛成か反対か、改革を止めるなというスローガンの巧妙さと、マスコミの著しい偏向報道に加えて、野党第一党の稚拙な選挙戦術がその原因であった。国民の間の不満を見事にそらして、不景気、官僚支配、年金・少子化などの基本的な問題に対する不満を与党内の反小泉勢力と野党に向くように仕向けられた。内部に問題があるときに外部に敵を作っていく常套作戦が功を奏した。野党の政策は、初期小泉内閣の政策と近似するものであり、例えば、財政政策は、超緊縮論で過去の失われた15年の教訓を無視するものであったし、郵政の経営形態論についても、小泉自民党の主張と大差のないもので、争点を欠いた。ある選挙区などでは、明らかに、反小泉勢力の力をそぐために野党第一党の民主党が貢献?するような結果のところもあった。小泉自民党の地すべり的な勝利は、しかし、グローバリズムの太陽が沈むときの最後に放った光芒でしかない。郵政民営化論は世界的にも騒がれたことであるが、成功したところはほとんど無い。ニュージーランドの郵政民営化が成功例として騒がれたが、その実は、もう政権交代すら行われ、陰も形もない。ドイツが成功例と喧伝されるが、未だに、独占分野を残したままであり、国際物流企業を買収したことで話題になったが、サービス水準がそれほど高いものとも思えないし、米国からは、クロス補助の問題を指摘され、不公正な競争モデルだとの懸念があるほどである。 

市場原理主義は、冷戦の終焉ともに喧伝され、国境がなくなるとか、世界市場の力によって民主主義が進展するとか、貿易が進展して、貧困が減少するとか、夢物語が語られたが、予想に反して、民族主義が進展し、経済格差は拡大し、人種差別や、テロは頻発することとなった。雇用も思うように伸びないし、疫病の勃発や、環境の破壊は、20世紀末と比較しても悪化している。インドと中国の世界市場への登場と反比例して、この国の存在は、ジャパン・バッシングを通り越して、ジャパン・ナッシングといわれるほどになった。

逆噴射に次ぐ逆噴射のような、金融経済政策の失敗は、一部の国際金融資本家を潤しただけのものにとどまり、地方は、疲弊の度を強めている。戦後の繁栄と人口圧力に悩んだ日本の貧しさが復活したかのようである。グローバリゼーション、市場原理主義といった、実体を欠いたイデオロギーにこの国は支配され、その最後の光芒が、小泉自民党の勝利であったかのように見える。信奉しているのは、アメリカの石油資本の一部と、日本の官僚組織と、御用学者の一部にしか過ぎない。ダボスの会議も、世界銀行やIMFの会議ももう警官隊に守らなければ開催できないのだから、グローバリゼーションや市場原理主義は公式に死亡の烙印を押してもいい。

しかし、この国では! ハンメルの笛吹きのことか、レミングの群れかどうか知らぬが、議会制の民主主義と法の支配を無視して、擬似国民投票に打って出て、天皇制を疑い、年金の廃止を主張するニッチの経営者を刺客とする小泉自民党が出現した。吉と出るか凶と出るかは、増税緊縮の政策と、市場原理主義に傾き、民営化の呪文を唱えるお題目を見れば、簡単に予想できる。地すべり的な勝利は、世界の潮流には、逆行するものでしかないし、偏狭なナショナリズムを生み出し、この国の国際的な孤立を助長するものでしかない。

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