構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Japan Colonized

この国のマスコミがほとんど報道しようとしない、年次改革要望書についてわかりやすくまとめておく必要がある。1993年の宮澤総理の時代に、当時のクリントン大統領との合意でその翌年から発表されている。その他に、規制改革競争イニシャティブとか、日米規制緩和対話とかの形でも発表されているが、要するに、日本政府に対するアメリカの要求である。建前としては双方向の形であるが、日本側からの要求に対する回答はないも同然で、実質的には、まったくの一方通行の押し付けの内容である。年次改革要望書の内容に基づいて法律改正が行われている。

1。人材派遣業の自由化。労働者派遣事業法が改正され、派遣労働を原則自由化した。これによって、非正規社員が急増することになり、同一会社の中でも、賃金格差が顕在化することが目立つようになった。96年にアメリカの要求があり、99年に法律改正があり、2004年には製造業に置ける派遣労働も解禁されている。ILOにおける、同一労働、同一賃金の原則を踏みにじるものであり、世界的な方向とは逆行するものであるが、デフレ経済にあるために、むしろコストを下げる要員として、企業側からは歓迎されたこともあり、労働組合の強い反対も押さえ込まれており、今後景気が好転する中で、批判的に見直しが行われる可能性がある。アメリカでは週給の形態がまま見られるが、月給制が定着しているわが国では、まったく異質の労働形態であって、生涯雇用のプラス面を破壊する効果を持った。一方で、派遣労働の業界は急成長して、政治的にも活躍する経営者が見られるようになった。国家公務員の人材バンクの事務の委託を受けた会社などがその典型であるが、米国政府との直接的な関係があるかどうかは定かではない。

2.大規模小売店法の廃止。地方の都市で、シャッターどおりを生み出した元凶の法律改正であり、97年の要求による。3年後の2000年に法律が成立。その後の地方都市の中心街の衰えは急速で、その反面、郊外に立地する大型店舗は、不夜城の景色を呈することとなった。ところが、建物は、ほとんど美的感覚とか、歴史的感覚とか、規制がほとんどないところから、アメリカの西部の町を思わせる立地となり、社会的には、万引きの現象とかも生み出している。むしろ、ヨーロッパ諸国のように、バランスの取れた、商業用地と農業用地とのゾーニングなどをしっかりした上で、しっかりとした都市計画の本に行われる必要がある。アメリカでも、こうした巨大なモール街の建設には批判が起こっており、市街地の再開発、例えばボストンにおける倉庫街の再生などが行われているが、アメリカ資本の進出を容易にする観点のみからの法律改正は、かえってアメリカ資本の店舗にとっても好ましくない結果を生むことになるかもしれない。

3.郵政民営化は、小泉総理の執心として、法律案が強行されたが、実際にはアメリカの差し金によるもので、アメリカ政府との十数回にわたる協議があったことが国会の審議でも確認されているが、具体的な内容については公表されていない。以前から、AIGの保険関係者から簡易保険の廃止が主張されており、これに、財政赤字に苦しむ財政状況から、郵貯簡保資金を、官僚支配の下に置こうとする思惑が重なり、金融と非金融との分離が行われる中で、明治以来の郵便局ネットワークが急速に縮小する危険が発生した。民営化後の会社は、5分社化され、新旧勘定の分離がおこなわれ、現存の郵貯簡保の残高は新しく設立される独立行政法人が監理することとなっている。アメリカの思惑通りに進展しており、郵政会社の内部には、外資コンサルティングなどからの関係者が採用され、着々とかつ式売却の準備が進められている。2004年、9月の日米首脳会談で、ブッシュ大統領は、小泉総理に対して、郵政民営化の進捗はどうなっているかと質問しており、内政干渉であることをまぬかれないが、世界最大の金融資産の私有化であるだけに、世界的な関心を呼んでおり、国内外でこれからも色々な問題として提起されることになる。

4.建築基準法の改正 偽装マンション問題、姉歯事件で、問題の欠陥が露呈した。日本在来の工法が否定され、仕様規定から性能規定に変更した。しかし、これは、釘の問題など日本の自然環境との整合性など、根本的な問題整理が行われたとは言いがたく、建築確認業務を民間委託した問題が直ちに違法建築マンションとして露呈した。アメリカからの建材の輸入を促進するものであるが、地震の対策などとはほとんど関係がない。拒否できない日本の著者関岡英之氏は、この建築基準法の改正が、地震対策として改正されたと思ったが、その背景を調べるうちにアメリカからの圧力が背景にあることがはじめて分かり、ベストセラーとなった同書を執筆する契機になったと述べている。

5.電気通信。電気通信市場は、携帯市場がさかんになる中で、イギリス資本の会社が撤退した。マーガレットサッチャー氏が、アメリカに市場開放するなら、イギリスにもと周波数割り当てを要求して、創った会社が全身であった。撤退といっても、無から巨額の利益を生み出したわけであるから、ものすごい利権であった。外国資本が経営参加したりするなどの制限を廃止しろとの要求であるが、NTTなどの解体をもくろむものであると指摘する見方もある。アメリカ本国では、接続料の制度などがうまくいかず、競争制度が、技術開発につながらず、また新規投資にもつながらなかったので、通信政策そのものを変更しているが、いまだに、日本ではそうした要求を取り下げてはいない。オークションの制度なども、もてはやされたが、世界のいずこの国でも成功せず、特にヨーロッパでは巨額の損失があり、完全に放棄されている。

6 医療制度 医療機器、医薬品。アメリカの保険会社の利益とあいまって、国民皆保険制度を採ってきた、福祉国家型の制度を破壊しようとする目論見があるものと思われる。混合医療などの制度は、慎重に行われなければならないが、金融部門とのかかわりで特に強硬な要求が行われている。詳述しなければならないが、大きな論点である。日本医師会などの内紛もこうしたアメリカの利益を守るのか日本国民の健康を守るために行うのか判断が揺れ動いており、政治的な課題としても目が離せない。

7.法務制度改革。 外国法務弁護士が、日本に参入しやすくする制度を要求している。アメリカ型の争訴社会を日本で作り上げようとするものである。これまで、アメリカに日本企業が進出する過程で、色々な難癖がつけられて、その度ごとに和解金などをせしめてきたところで、こうした弁護士家業が、日本国内でも定着していくことを目指している可能性が高い。法科大学院の急増もこの一環であり、法律家の増員を通じて、商業化して争いごとを高める社会改造を行おうとしている気味がある。

8.商法の基本的な内容が改正されており、三角合併については、実施が遅れたが、いよいよ実施されるところから、問題は顕在化することになる。外資が日本企業を買いやすいようにするという基本的な制度作りであり、2005年の会社法改正をアメリカは評価しているから、意図したとおりの改正で、今後急速に、国内企業の外資かが行われることになろう。会社の考え方についても、株主のものであるとのアメリカの認識が、今後は中小企業などでどう受け止められていく課などが、具体的な問題として浮上してくるだろう。資本による支配は、資本主義の根本ではあるが、裸の資本むき出しで、資本主義が維持されるのかどうかについては根本的な問題を抱えている。アメリカでも利益第一主義で、機関的な製造技術や、人的資源が失われたとした指摘もある。有名なスキャンダルはエンロンであり、アメリカにおける大規模な資産を一夜にして失った事例も発生しているから、粉飾を抑圧するために内部統制などのための立法を行ったが機能しておらず、わずか4年で、見直しを行って軌道修正をしているが、今、日本で、コンプライアンス、内部統制が花盛りとなるという、笑えない、アメリカ型会社への追従がブームとなっている。

本稿については、なお内容の修正、充足を図る必要がある。随時修正、追加を行っていきたい。

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