構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Political Propaganda and dying Democracy

政治プロパガンダの横行は日本だけではなく、アメリカで「思想の自由市場」が瀕死の状況にあると、大統領候補であったアル・ゴア氏が演説している。(2005年10月5日、ニューヨーク、全文はネット上で入手できる。)。ゴア氏は、地球環境問題の著書「不都合な真実」を出版して、邦訳版もベストセラーだ。活字離れが起きてテレビ漬けになったアメリカ人の日常生活は、アメリカの民主主義を破壊して、国是の『思想の自由』が跡形もなく消えてしまったと述べる。国民一人一人の意見を反映することができないテレビが、中央集権化して、少数の企業が支配する実態について解説する。強力で一方通行の媒体を支配する集団が民主主義を損なう可能性があることは驚くにあたらないとして、ニュース部門では、記者が専門的な知識を現場で全く実践できない状況が生じたと述べる。アメリカのプレスは、世界のプレスの自由度のランキングで、27番目の自由度であるとの指摘は、一般的に表現の自由が尊重されていると言う、アメリカ理解からは程遠い話で、アメリカの変質が語られています。社会問題や環境問題がニュースにならず、国民に情報を提供して公益を高めるどころか、視聴率と広告の売り上げを伸ばす手段に堕落したとも述べている。アメリカでも報道が娯楽番組になったとの発言は、日本のテレビで、芸能人が政治・時事解説をしている奇妙さと同列だ。アメリカの国会議員はテレビ広告の30秒枠を買うことに狂奔して、カネのある者だけが議員になってしまい、一般の市民がテレビの反論枠を買おうとしても買えない制度の矛盾を衝いている。広告が欲しくもない商品の需要を生み出すように、欲しくもない思想の需要を生み出していると分析している。ゴア氏は、10年後もテレビが米国の民主主義を支配し続け、思想の自由が瀕死の状態のままかもしれないと絶望的な発言をした上で、新興のインターネットについても、企業が食指を動かしていると警告して、阻止しなければならないと演説を締めくくる。アメリカでは中間選挙で民主党が勝利したから、アル・ゴア氏の考え方はもう負け犬の遠吠えではないが、アメリカで自由が失われ、メディアが市場原理主義者に支配されて国全体が変質した実態を世界に知らしめた名演説だ。

ところで、この国でも郵政民営化法案の審議の過程で、初めて国民を欺くアメリカ型のプロパガンダによる世論操作が実施された。世論操縦の具体的内容について分析する論文が、副島隆彦編著『日本の真実』(成甲書房、1800円)の一章として、中田安彦氏の執筆より発表された。「大衆世論を操縦せよ!」副題は、「郵政洗脳選挙」と「広告プロパガンダ代理店」と言う論文です。郵政民営化選挙は、戦後初めて広告代理店を総動員したプロパガンダ選挙であったと指摘して、拉致問題や、年金問題などをそっちのけにした、プロパガンダの実態を、新聞の首相動静欄から読み解いていく。米大手広告代理店の会長と,国会解散前の重要な日に会談を行う理由の謎解きがある。郵政三事業は、税金を投入することなく独立採算で運営できていたものをわざわざ分社化して、安定した経営を不可能にする奇妙な制度設計の謎解きも解説される。米国保険業界の力や、あれだけ、民営化を主張した在日アメリカ商工会議所の会長が、AIG保険の子会社の社長であると傍証を固める。(日本に圧力を加え続けた米国政府USTRの交渉要員でもあったし、最近では東証の社外重役にも就任している。)日本の民主党のPR戦略が、わざと民主党が負けるように仕組まれたものではないかとの推論は圧巻で、キャッチフレーズが、後ろ向きな「日本をあきらめない」などに変更された事実を明らかにして、岡田代表(当時)のCMの不自然さを分析している。前述のアル・ゴア氏の演説が解説しているような米国の広告代理店の役割や、その理論的な背景について縷々述べた後に、郵政民営化PRに見る大衆蔑視の実態と言う小節では、政府広報が目的のためには手段を選ばないプロパガンダで、黒か白かの、常套手段の対立軸の図式を作り上げ、B層(主婦層アンド子供を中心、シルバー層、具体的なことはわからないが小泉総理のキャラクターを指示する層)をターゲットとして、知能指数の低い層との表現ぶりを明らかにしている。湾岸戦争や、イラク戦争でのアメリカの情報操作の例を紹介した後に、「次なる「日本国民洗脳計画」を見破るために」と言う小節では、阿部首相が教育問題関連のタウンミーティングで「やらせ質問」の問題で三か月分の給料返上に関連して出された報告書の中に、「政府の方針を浸透させるための「世論誘導」ではないかとの疑念を払拭できない」との結論を紹介して、締めくくる。

郵政公社の生田総裁は更迭され、いよいよ元住友銀行頭取の西川社長が、郵政公社の総裁を兼務した。3月19日には、新しい制服やロゴマークの発表会が開催され、巨額の宣伝広告費が民営化の10月までに動く。特筆すべきは郵政職員をテーマにした映画の製作も行われるらしい。企業と成った郵政が、映画による宣伝をするというハリウッドの旧式の国威発揚映画と余り変わらない手法になることを恐れる。郵貯や簡保の宣伝は政治宣伝の要素はこれまでなかったが、前掲論文の民主党のCMの事例のように、利益相反の手下に、まんまと騙されてしまったらしいという事になってはならない。ロゴマークもすっかり横文字になって、外資まがいのデザインとなったが、民営化された郵政会社が出入りの広告会社の多様性を保つかどうかも論点だ。郵政事業の分割は、竹中大臣の主張した「リスク遮断」ではなく、むしろインフラ事業としてのリスクを高め、都市も地方もあまねく共生すると言う日本の文化と伝統を破壊するものであり、いよいよハゲタカの餌食となることを促進する政治プロパガンダが登場することを恐れる。アメリカの広告会社は、企業の利益を守るのであれば、外国で政府や国をも転覆しかねない活動をした実績も、前掲論文に紹介されている。

日本の場合は、テレビでは公共放送としてのNHKや有力な月刊誌や週刊誌、地方新聞社があることが、アメリカと比べて唯一の救いである。NHKに対する色々な圧力の気配が小泉・竹中政治の頃から散見されるが、アメリカ以上に市場原理主義者のプロパガンダ手段と劣化したメディアの偏向に対峙して、最後の砦となって真実のニュースを伝えて欲しい。ブロードバンドはアメリカ以上に発展しているので、劣化したメディアの代替手段として、ゴア氏の主張するように、自由のための情報通信技術として発展して欲しい。

http://www.breitbart.com/article.php?id=D8D2IU703&show_article=1
上記はアルゴア氏の演説本文へのリンクです。

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コメント

どこまでアメリカ化してしまうのか。
100年後はこの列島の民族は英語を喋っているのか。
我々はやっと日本人になれたと思っていたのに。
アイデンティティの確立を急がねば・・・。

投稿: shimakatsu | 2007年4月20日 06時07分

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