構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

« Analyzing propaganda | トップページ | Japan Colonized »

Shadowy deregulation

有森隆+グループK著『『小泉規制改革』を利権にした男 宮内義彦』〔講談社刊、1680円〕郵政民営化問題を含め、小泉政治の影の部分を読み取るための貴重な出版である。帯には、『『規制緩和の旗手』と『改革利権の最大の受益者』の一人二役を演じた経済人の『光と影』とある。『宮内は、何を狙って規制緩和を推進したのか、ビジネスチャンスの拡大が、彼の目的であろう。規制を少し動かすだけで、ヒトの流れ、モノの流れ、カネの流れが変わるからだ。規制を撤廃すれば、既得権者に向かっていた流れを断ち、新しい商機を生み出すことができるのである。規制緩和は、既得権者が独占していた利権を奪うことを可能にした。新語辞典風に言えば『改革利権』である』と裏表紙側に、書いてある。著者は、中小企業者との雑談の中で、関心を寄せ始めたと書き出すが、『過疎地の自然死を待つといわんばかりの宮内の発言を読んで、この人はニヒリストではないかと思った』と言う。ホリエモンや村上ファンドのような時代のあだ花ではないかとも言う。執筆の動機は時代の澱を浮かび上がらせるためであり、小泉構造改革の功罪を検証するために、宮内義彦という経営者の奇跡をチェックすることは大きな意味があると言う。序章は、政商とは何かとの議論をしたうえで、その変遷について書く。第一章は『規制緩和を糧として』との題で、高知県で失敗した株式会社病院の実例を挙げて、『混合医療』の問題に迫る。いわゆる宮内委員会での反対意見を黙殺するような強硬さを、会社方式の学校経営に反対する意見を巡って分析する。第二章では、村上ファンドとの関係を詳述する。第三章は、「あおぞら銀行で大儲け、エンロンと組んで電力ビジネスへの参戦」などの小見出しをつけて、日米の会計基準の違いや、粉飾について解説する。第四章は、『生身の宮内義彦』と題する人物評価である。第五章は、プロ野球のオリックスのオーナーとしての言行不一致を解き明かす。話題になったプロ野球界の騒動の解説である。第六章は、『本当は何を変えようとしたのか』との題で、市場化テストの実態や、規制緩和会議の議事模様について指摘した上で、日本取締役協会の設立の内幕について触れる。第七章は圧巻である。城島正光衆議院議員〔当時〕の国会質問を巡って発生したいわゆるザ・アール事件について詳述する。郵政民営化の関連では、奥谷禮子ザ・アール社長の日本郵政株式会社の社外取締役就任について、『日本郵政公社総裁・生田正治との関係が指摘されている。〔中略〕日本取締役協会を立ち上げた同志である。宮内人脈の後押しを受け、奥谷の日本郵政の社外取締役就任が決まったと言っても過言ではない。〔中略〕社外取締役の会社に『接客サービスの研修などを』委託しているのは、透明性にかけるとする声は強い』と記述する。いずれにしても、時宜を得た勇気のいる出版であり、構造改革は地方を直撃しているだけに、一読を勧める。

|

« Analyzing propaganda | トップページ | Japan Colonized »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/209267/14643761

この記事へのトラックバック一覧です: Shadowy deregulation:

« Analyzing propaganda | トップページ | Japan Colonized »