構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Town Meeting

タウンミーティングの言葉は、直接民主制の匂いのする言葉である。英語であるからアングロサクソンの国々での地方自治体で行われる会合であるが、たしかに、東部十三州あたりの小さな町では、町民全員参加で、長々と議論をして、町の経営をしているところがある。市長は、選挙ではなくそのタウンミーティングで選出した三人くらいの代議員が、セレクトマンと呼んでいるが、代表して、いわば町の経営事務局長と、契約をする。タウンクラーク町の事務訳とでも訳すべきか。出来が悪ければ、そのうち解約になるし、出来がよければ延長になる。町長もいないが、町の財産管理や、学校経営や、そのほか諸々、セレクトマンを通じて、その事務局長がやる。そんな直接民主制の町がところどころにある。

そんなタウンミーティングが、日本で喧伝されたのは、最近のことである。しかも、特定の法律を通したり、制度の定着を図るために、ある種の情報宣伝手段として用いられた。

魚住昭「官僚とメディア」角川書店は、第八章最高裁が手を染めた「27億円の癒着」で、タウンミーティングが、裁判所、地方新聞社、共同通信社、電通が一体となって、情報操作にまい進したタウンミーティングの事例が述べられている。裁判員制度というアメリカ型の制度導入のために、政府の工法予算が使われ、広告と偽装記事とが抱き合わせで契約されている実態などが述べられている。まだ、電通と地方紙連合との政治のかかわりについては分からないことが多いとしているが、その片鱗についても記述している。

教育改革基本法、郵政民営化などでもタウンミーティングの手法は多発された。郵政民営化では、同じような手法で、新聞のみならず、テレビ局も動員された。竹中大臣が出演して、賛成反対の意見が述べられるが、新聞と連動して、結局すばらしい改革として宣伝するやり方である。一部のテレビ局の関係者は、そうした情報操作に抵抗したところも見られたが、表面化したところは無かった。不景気で広告費の減収に悩む地方新聞社や、特に弱小のいわゆるU局は、飛び付いたものと思われる。郵政民営化の政治宣伝は空前の規模で行われたことは間違いないが、今後、漸次その内容が明らかになってくることを期待したい。メディアは誰のものかと問いかける好著である。「マスコミの論調や世論がいつの間にか変わり、一昔前だったら反発を受けたに違いない国策がすんなりと受け入れられる現象が相次いでいるが、その裏には、政府や最高裁とメディアが一体となって仕掛けたプロジェクトがあった」ことが、日本の政治や経済や社会をすっかりゆがめてしまったことを指摘している良書である。

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