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Seven mysteries

東谷暁氏の新刊「世界金融経済の「支配者」」が出た。祥伝社からの新書であるが、事実を緻密に検証して結論を導き出してくることに定評のある筆者だけに、時宜を得た本になることは間違いない。

七つの謎というサブタイトルがついているが、その第一が、五月から日本でも解禁された、M&Aは、世界経済を効率的に改造するかという疑問である。

日本では、株価中心のM&Aが正当化されつつあり、社会全体が損をしてもかまわない風潮が生まれている。株価吊り上げゲームである。問題のある企業を退出させ、産業再編を加速させるというお題目が本当に実行されるだろうか。プラスになるとする議論は、実は現実を無視した議論である。その証拠に、80年代のアメリカがどんなアメリカであったのか、M&Aが横行したアメリカがどんなアメリカであったのか、関係者は口をつぐんでいる。買収しようとしている企業の資産とキャッシュフローを担保に資金を調達するという不健全な買収方法が席巻したことを忘れているのではないだろうか。

80年代のアメリカでは、株価を上げることばかりで、労働生産性など伸びてはいない。ジャックウェルチなどは、典型的な株高経営で、その反面、技術開発力などは、どんどん低下して、単なる金融業のノンバンクが儲かっただけの構造であった。

乗っ取り屋たちの行動が経済を活性化させるというのは嘘だとして、その事例を挙げている。日本のお役所、経済産業省までが,毒されているとの怖い話も書いてある。

小泉首相が、ブッシュと合意して[日本企業の叩き売りに]加担して、三角合併が可能になった過程をさらりとまとめる。

M&Aは、アメリカ型ばかりではない。外国企業の国内企業買収については、政府が介入するのが普通の国である。イギリスの場合には、買収はすべて現金で行わなければならないそうである。また、買い付けを始めたら、最後まで遂行しなければならないという。

英国方式のM&Aであれば、村上事件もホリエモン事件も起きなかったとする。

分かりやすい本である。経済産業省の研究会までが、日本国に対する背任の報告書を出したことには驚きであり、政治的な追求が行われてしかるべきである。

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