構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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岡山県の鳥取県との境の新見市の山間部にある菅生と千屋の集落を訪ねた。瀬戸内海放送が今年の春に、赤いハンカチが消える日という番組を制作して話題になったことがあるからだ。

http://www.post-fan.jp/topic/topic070427.htm  参議院選挙が迫る中で、郵政民営化のささやかな検証をしてみようと出かけた。

その番組は、瀬戸内海放送が、一昨年から、10分単位くらいで何分かに分けて地元で放送していたものが、総集編となって、テレビ朝日の系列で、放送されたと言う。

空撮場面は総集編になってから入っているが、その菅生という集落と千屋という集落とは、峻険な峠道で分かれていて、今年は雪がたまたま少なかったが、普通の年には一メートルばかりはすぐに雪が降りつむようなところであった。灰が峠というらしい。

菅生の郵便局の郵便配達業務が、千屋の郵便局に吸収されたために、大きな郵便局の建物が、建てられてから13年ほどしか経っていないのに、無用の長物と化していた。郵便局の前には、ポストがしかも丸型の古い形のポストが立っていたが、そのポストの鍵を開けるのは、その峠の向こうの郵便局から人が毎朝バイクで乗ってきて開けるのだと言う。

絵に描いたもちの郵便局の統合再編成計画だったらしく、地域の住民は、サービスがダウンしたと述べていた。

赤いハンカチと言うのは、地元の郵便局長が考えか出したアイデアで、赤いハンカチ、〒マークの入ったキャンバス地の旗のようなものだが、それを、独居老人の家庭などで、庭先などに出していると、郵便局の外務の職員が、訪ねて、御用聞きをするというアイデアであった。外国からの取材もあったそうで、当時は、すばらしいことだと誉めそやされたと言う。

ところが、郵政民営化の嵐の中で、民営化法案が、準備されるようになると手のひらを返したように、郵政公社は、無駄なことだと指摘するようになり、民営化の準備の中で、郵便配達の再編成があり、分社化の中で、郵便配達の職員が、貯金や保険の世話をすることができなくなったので、そもそも、赤いハンカチを出しても、地域住民の要望にこたえることができなくなってしまった。

総担と言う言葉を聞いたが、これは、総合タンムの省略で、郵便も貯金も保険も、郵便局の職員であれば、三つの事業をこなしていたが、小泉・竹中改悪の法案で、会社が別々になって、郵便は郵便、貯金は貯金の職員と言う具合に、分断されてしまったと言う。

郵便局の統合であれば、機械化やIT化が進展したかと言うと、そういうことはなかったと言う。近くの岡山県の高梁のあたりでも、集約化があったが、機械化もなく、ただ職員が長距離をバイクに乗るようになっただけで、手紙の配達時間も遅れるようになったと言う。

ゆうパックも、近くの集落では、岡山名産のぶどう農家では、郵便小包で出荷していたが、もう郵便局では、集荷に来る人でもないので、すべて、民間の会社に出荷するようになったと言う。しかもその民間の会社は、郵便配達の郵便局の統廃合を狙い撃ちにしている感じだという。わざと、郵便サービスの水準を落とすために仕組まれたのではないかと指摘する地域の意見もあった。

地域格差を意図的に拡大する政策が大手を振って採用され、しかも惨状を呈している一例であった。大手の新聞マスコミもあれだけ、あすなろ村の郵便局の紙芝居を、ばら色の民営化を演出した割には検証していない。

まったく残念ながら、地域社会、限界集落の崩壊を後押しするような政策が郵政民営化であったが、その現実が郵便局の郵便配達の統廃合の過程の中で現出している。

選挙に行って投票してもどうにもならないとの声も聞かれた。統合は、地元の声を聞く耳がなかったと言う。絵に描いた机上のプランだからと言う声もかき消されたと言う。地元の国会議員も調整すると言うばかりで、実際には政府に意見を言うこともなかったと言う。

地元には、生鮮食料品を扱う店もなくなったと言う。巡回の移動のトラックの荷台に店を開く、移動店舗が一週間に一回は回ると言う。

しかし、よくも考えてほしい。岡山や倉敷の水は、そうした山間部でつくられているのである。中国山地の山は高くはないが、それなりに山深い。海と山とが、連携を取って栄えているのである。山が荒れれば、海沿いの人間生活も駄目になる。

郵政民営化は、分社化や、効率化しない民営化を止めなければならない。

郵便局には、職員の動きを監視するテレビカメラが異常に大量に導入されつつあると言う。左翼全体主義のようだ。スターリンや、ジョージオーウェルの言う、1984年や、動物農場の世界を再現しようとしているようだ。郵政民営化が実は、大衆の民集の支配ではなく官僚統制ではないのかとはよく指摘されているが、こうした監視システムの増強は決してこの国の民主主義や自由を強化することにはならない。

事実、郵便局の中には、壁をつくって、郵便担当の職員と、それ以外の職員とを区別する壁を設置したと言う。無駄な出費であるだけではなく、何か滑稽さすらある。現場の郵便局では、みんなあきれ返っていると言う。ベルリンの壁ともう、揶揄して呼ぶ向きもあるという。ただ、ベルリンの壁のように、壁を越えると銃殺が待っているようなものではなく、といるが共通だとか、玄関は同じだとかの、抜け穴がいっぱいある壁であるらしい。

もう赤いハンカチはいらなくなったから、郵便局で回収してほしいと怒りをあらわにした住民もあった。そうした怒りが、地方の憤怒が選挙には反映されるだろうか。

郵政民営化の検証は総合的に行われなければならないことは言うまでもないが、岡山県の山間部で見る限りは、郵政民営化は完全な失敗である。失政である。弱いものいじめである。過疎地を徹底的に叩きのめそうとする悪政である。

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