構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

« Pension | トップページ | Fake Privitization 9 »

Founder

リー・クアン・ユー氏は、アジアの哲人政治家である。李光耀氏は、マレー半島のマラリア蚊のすむ小さな島を、高層ビルの立ち並ぶ、近代都市国家にした。最近話題になっているのは、地球温暖化で海水面が上昇する可能性があるところから、堤防を建設して防御することをシンガポールが発表しているが、ことほど左様に将来を見通した先見の明と洞察力を実行に移してきた。1965年にマレーシアから分離独立を果たし、42年が過ぎ、リー・クアン・ユー氏はまもなく84歳になるが、90年に総理大臣を辞してからも、国の相談役・ご意見番として活動を続けている。リー・シェン・ローン総理大臣は、長男である。

記憶に残るのは、国の発展の条件は何かと問われて、第一に、国の内外の経済・社会格差を最小にすることであり、第二は、公に働くものが、清廉を保つことであると喝破している。シンガポールの空港から市街地への道路などは、それは美しい国づくりで、開発途上国にありがちな賄賂や、役人の腐敗を厳しく取り締まった。国民のための高層住宅を整備して、一方では、スラム街などを半強制的に廃止して、移転させた。学校や、保健衛生そのほかの公共サービス、国民の所得を含め、世界のトップクラスにある。人口は450万人の都市国家であるが、そのうちの五分の一は、外国人であり、東南アジアの金融センターとして機能している。

8月三十日付のインターナショナルヘラルドトリビューン紙は、リー・クアン・ユー氏の独占インタビューの記事を掲載している。シンガポールと言う繁栄を導いた哲人政治家の珠玉の言葉があちらこちらにみられる記事となっている。憂慮していることとして、アメリカが中東にかかわるあまりに徐徐にアジアに対する関心を失ってきているのではないかと述べている。中国が政治・経済などあらゆる分野で台頭してくる中で、アジア諸国が期待するアメリカのバランスを取る力がなくなってきているのではないかと。アメリカ経済が後退に向かえば、アジアの市場は縮小する。中国の資源争奪指向も、実は中国製品がアメリカ市場向けの生産であるから、アメリカの影響下にあるとも指摘する。アメリカが中東に関心を集中すればするほど、中国はアジアでの対外関係をより緻密にしようと動いていると指摘している。中国政府の中枢部との間で、年に二回会合があることを明らかにしており、また、中国の50箇所の市長が三ヶ月ごとにシンガポールで開催されるセミナーに参加して、国や自治体の経営について、学んでいることも明らかにしている。リー・クアン・ユー氏によれば、シンガポールの秘密は、感情論をさしはさまない現実主義の、いわゆるイデオロギーなしのプラグマティズムだと言う。やってみてうまくいけば続けるし、やってみてうまくいかなければすぐさま中止してやめてしまう。基準は、シンガポールの前進と生き残りのために役に立つかどうかと言う判断基準である。

また、人口の20パーセントは、コスモポリタン化しても、弱者や教育水準の低い社会階層を見捨てることなく、むしろ、国の未来をになう役割に引き込んでいくことが大切だとも指摘する。シンガポールは、「第三世界ではじめての、世界的なオアシス」であるとも言う。

さらに、シンガポールは、天然資源がまったくない国であり、石油もガスもない、国民の努力だけが国力の源泉であるから、仕事をチャンとキチンとやりぬく以外にないことを知ることが大切であると。

シンガポールの現実主義的なプラグマティズムを見習うことがあるとすれば、日本のこの失われた十年の政策などは見直すべきことが多い。市場原理主義に毒されて諸外国ではとうに打ち捨てられた政策を後生大事にしている点はないだろうか。国民をして、希望を失わせ、嘆き悲しませる政策を続けていやしないだろうか。もしそうした政策があれば直ちに中止すべきである。やってしまったから、悲惨な現実でも受け入れろと言うのであれば政治にはならない。変化する時代の中で、変化することが大切である。しかもその変化が、国の発展のために問題があるのであれば直ちに中止して、そのほかの策を実施していかなければならない。日本もシンガポール同様、天然資源を持たない。一部の関係者だけが喜んで、大多数の国民を切り捨てるような政策は、国を滅ぼす。むしろアジアの哲人政治家が指摘するように、社会経済的な弱者を国の未来の構築の過程に参加させることのほうが大切である。

|

« Pension | トップページ | Fake Privitization 9 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/209267/16293047

この記事へのトラックバック一覧です: Founder:

« Pension | トップページ | Fake Privitization 9 »