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2007年8月

Founder

リー・クアン・ユー氏は、アジアの哲人政治家である。李光耀氏は、マレー半島のマラリア蚊のすむ小さな島を、高層ビルの立ち並ぶ、近代都市国家にした。最近話題になっているのは、地球温暖化で海水面が上昇する可能性があるところから、堤防を建設して防御することをシンガポールが発表しているが、ことほど左様に将来を見通した先見の明と洞察力を実行に移してきた。1965年にマレーシアから分離独立を果たし、42年が過ぎ、リー・クアン・ユー氏はまもなく84歳になるが、90年に総理大臣を辞してからも、国の相談役・ご意見番として活動を続けている。リー・シェン・ローン総理大臣は、長男である。

記憶に残るのは、国の発展の条件は何かと問われて、第一に、国の内外の経済・社会格差を最小にすることであり、第二は、公に働くものが、清廉を保つことであると喝破している。シンガポールの空港から市街地への道路などは、それは美しい国づくりで、開発途上国にありがちな賄賂や、役人の腐敗を厳しく取り締まった。国民のための高層住宅を整備して、一方では、スラム街などを半強制的に廃止して、移転させた。学校や、保健衛生そのほかの公共サービス、国民の所得を含め、世界のトップクラスにある。人口は450万人の都市国家であるが、そのうちの五分の一は、外国人であり、東南アジアの金融センターとして機能している。

8月三十日付のインターナショナルヘラルドトリビューン紙は、リー・クアン・ユー氏の独占インタビューの記事を掲載している。シンガポールと言う繁栄を導いた哲人政治家の珠玉の言葉があちらこちらにみられる記事となっている。憂慮していることとして、アメリカが中東にかかわるあまりに徐徐にアジアに対する関心を失ってきているのではないかと述べている。中国が政治・経済などあらゆる分野で台頭してくる中で、アジア諸国が期待するアメリカのバランスを取る力がなくなってきているのではないかと。アメリカ経済が後退に向かえば、アジアの市場は縮小する。中国の資源争奪指向も、実は中国製品がアメリカ市場向けの生産であるから、アメリカの影響下にあるとも指摘する。アメリカが中東に関心を集中すればするほど、中国はアジアでの対外関係をより緻密にしようと動いていると指摘している。中国政府の中枢部との間で、年に二回会合があることを明らかにしており、また、中国の50箇所の市長が三ヶ月ごとにシンガポールで開催されるセミナーに参加して、国や自治体の経営について、学んでいることも明らかにしている。リー・クアン・ユー氏によれば、シンガポールの秘密は、感情論をさしはさまない現実主義の、いわゆるイデオロギーなしのプラグマティズムだと言う。やってみてうまくいけば続けるし、やってみてうまくいかなければすぐさま中止してやめてしまう。基準は、シンガポールの前進と生き残りのために役に立つかどうかと言う判断基準である。

また、人口の20パーセントは、コスモポリタン化しても、弱者や教育水準の低い社会階層を見捨てることなく、むしろ、国の未来をになう役割に引き込んでいくことが大切だとも指摘する。シンガポールは、「第三世界ではじめての、世界的なオアシス」であるとも言う。

さらに、シンガポールは、天然資源がまったくない国であり、石油もガスもない、国民の努力だけが国力の源泉であるから、仕事をチャンとキチンとやりぬく以外にないことを知ることが大切であると。

シンガポールの現実主義的なプラグマティズムを見習うことがあるとすれば、日本のこの失われた十年の政策などは見直すべきことが多い。市場原理主義に毒されて諸外国ではとうに打ち捨てられた政策を後生大事にしている点はないだろうか。国民をして、希望を失わせ、嘆き悲しませる政策を続けていやしないだろうか。もしそうした政策があれば直ちに中止すべきである。やってしまったから、悲惨な現実でも受け入れろと言うのであれば政治にはならない。変化する時代の中で、変化することが大切である。しかもその変化が、国の発展のために問題があるのであれば直ちに中止して、そのほかの策を実施していかなければならない。日本もシンガポール同様、天然資源を持たない。一部の関係者だけが喜んで、大多数の国民を切り捨てるような政策は、国を滅ぼす。むしろアジアの哲人政治家が指摘するように、社会経済的な弱者を国の未来の構築の過程に参加させることのほうが大切である。

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Pension

年金問題が深刻化する中で、金融に詳しい山崎養世氏が、週刊エコノミスト8月28日号(毎日新聞社)に、「年金問題の解決に郵便局が有効活用できる」と言う論説を掲載している。山崎氏は、高速道路の無料化を提案しており、年金問題も郵政民営化の方向付けも大問題となる中で、その解決策を探る具体的な提案を行っている。

その要旨は次のとおりである。もちろん、詳細については、同誌の本文を参照されたい。

年金問題の解決はこれからで、耐セナ公的年金に欠陥があることが次々と明るみに出た。国民年金の納付率は60%台にとどまっており、相互扶助の機能が損なわれつつある。社会保険庁の能力が不足している。年金記録の問題も明らかになり、社会問題化した。こうした状況に対する政府の対策は不十分で、「日本年金機構」の法人設立も、業務内容が大きく変わるわけではなく、根本的な解決には程遠い。年金制度を維持して信頼性を高めるには、年金と税とをリンクさせる必要があり、そのためには、年金の保険料を国税庁で徴収することを検討すべきである。しかし、取立てはできても、国税庁では膨大な窓口業務を行うには無理がある。成人が1000万人はいる東京都の場合、社会保険事務所は32箇所しかないし、税務署窓口は48箇所しかない。;山崎氏は、年金業務を郵便局に委託することを提案する。民営化以前から、正確できめ細かいサービスや信頼度で、常にトップクラスであった郵便局であり、一方、社会保険庁は国民からの信頼にかけている。郵便局は今まででも、国民年金の納付窓口を務めてきた。年金のオンラインを郵便局と接続することが必要である。郵政民営化が進められているが、民業圧迫、事業リスクの懸念がなかなか払拭できない状況にある中で、しかも、郵便局独自の業態開拓が進んでいない中で、公的年金の業務を主要業務とすることは、民間金融機関とのすみわけも健全になる。

公的年金には深刻な問題が二つある。ひとつは少子高齢化で若い世代が不利になることと、もうひとつは資産運用で収益を高くすることが難しくなっていることだ。1980年代までは、国債の金利は高く株の上昇基調もあったが、90年代になって行き詰った。

山崎氏は、確定拠出型年金などの自己責任型の年金を、年金資産運用の選択の自由を認めるために導入すべきとする。日本で普及が遅いのは、運用に伴う手続きの煩瑣さであるとする。転職の菜には次の職場にも持っていけるのであるが、一人一人の要望に応じて運用を変更したり、その成果を記録することが必要だからである。全国の企業が導入するためには十分な社会インフラがないのだから、郵便局のネットワークがインフラの役割を提供することができるのではないか。郵便局が公正な立場で民間金融機関の商品をオープンに提供する基盤となるべきであると提言する。思い切った非課税制度などと組み合わされば、自営業者や農林漁業者の年金の充実にもつながると期待する。国民全体の、一部の企業の従業員に偏らない、老後の不安の解消にもなる。

山崎氏は、そもそも郵政民営化には、さしたる根拠はない、むしろ日本の民間金融機関の脆弱性が問題であると主張していた、論客であり、いよいよ混迷化する郵政民営化問題の解決策として注目する論文である。

とりあえず、10月からの先行き不透明で、リスクの高い、しかも官僚支配の色彩の濃厚な郵政民営化を凍結して、公的性格を維持しながら、新しい業務の導入で、既存の郵便局ネットワークを破壊することなく、むしろ、そうした明治以来のネットワークを活用する道の方が、予見される混乱を避けることとなり、国益に合うと考えられる。傾聴に値する。

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Heritage

岡崎久彦先生の百年の遺産が、英文に翻訳されて出版された。日本語の方は、もともと産経新聞から出版され、もう文庫本になって、扶桑社から出ている。英語版になれば、海外の読者が増えることになるから、いわゆる勝者の歴史ばかりでなくなるところに妙味がある。書籍番号は、9784915226120であるが、アマゾンの画像ともなっていない。2500円である。A Century of Japanese Diplomacy, 1853-1952, Published by Japan Echo, Inc. 在外の日本人に一読を勧めたい。そして読み終わったら、日本の理解を進めるために隣のその国の人にそっと手渡せる本である。

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Kikko Blog

きっこのブログ、人気ブログであるが、やはり鋭い分析である。

http://kikko.cocolog-nifty.com/

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Fake Privitization 8

8月27日、日刊ゲンダイの報道したところ、
 
「来月10日召集を軸に調整が進む秋の臨時国会。民主党が野党共同で提出予定の郵政民営化凍結法案が「安倍内閣にボディーブローのように効いてくる」と、与党関係者は神経をとがらせている。
「実は10月1日の民営化と同時に、郵便貯金の振り込みや為替などの手数料が大幅アップするのです。今のところ値上げの実態をメディアはあまり伝えませんが、民営化が迫ればそうもいかない。最近の有権者が自分の懐に直結する問題に敏感なのは、消えた年金で証明済み。『民営化の成果がサービス低下か』と失望を招けば、大ダメージです」(関係者)
 最も不満が出そうなのは、年間利用実績3億5000万件に上る「通常払い込み」の値上げだ。通販や通信講座の代金などを振替口座に送金するサービスだが、取扱金額3万円以上だと、現行150円が330円へと2倍以上に跳ね上がる。
 ほかにも、振替口座から電信で送金し受取人が直営店で受け取る「電信現金払い」は、現行180円(1万円まで)から630円にアップ。「公共料金の払い込み」は、現行の一律30円から240円(3万円以上)と6倍増。遠隔地への住民票請求などに使われる「定額小為替」は1枚10円から100円と、一挙に10倍の値上げだ。
「いずれも、民営化で銀行と同じく印紙税を負担することに伴う措置ですが、利用者には“便乗値上げ”にしか映らない。値上げへの怒りが民営化見直し機運にまで高まれば、一度は民営化に反対した復党組は相当揺さぶられそうです」(自民党関係者)
 気が付けば、安倍政権の足元はガタガタという事態となりかねない。」
郵政公社が民営化がはじまればこうなると言う新聞広告を大々的にやっているが、上記のような不都合なことは一切書いていない。今までと同じようにやると言っているが、民営化後の郵政は、法律上同じものであるわけがない。広告宣伝に、コンプライアンス、法令順守の問題があるのではないか。虚偽の広告とは言わないが、都合の悪いところには口をつぐむたちの悪い広告である。

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Dollar Hegemony

副島隆彦氏の新刊、ドル覇権の崩壊が、徳間書店から発刊された。力作である。

郵政民営化と、運用委託会社としてのゴールドマンサックスとの関係など、340兆円の国民資産が如何に私物化の対象となり、三井住友銀行がロスチャイルド系であるとの指摘など、よく知られていても、ほとんどかかれることのないことが執筆されている。もう20兆円くらいがアメリカに流れ出したのではないかと言い、それが100兆円まで拡大する可能性を指摘する。

民営化で手に入れた日本の郵貯簡保の資金は、アメリカの政府を助けるわけではなく、中国への投資に回されるであろうとの指摘は斬新である。原子力発電所や石炭の完全液化プラントの建設費用となるだろうとも指摘する。

郵貯簡保という国民資産の鍵を、ブッシュ政権に与えた、小泉・竹中政治の醜悪さが良く分析できる本である。日本国民の虎の子が中国に投資されて、アメリカの肩代わりをする。中国は、もともと日本からのカネだと知りつつ、ホウカムリで感謝のいっぺんの気持ちもない。オリンピックの中国共産党の国威発揚の原資として使われるのがオチである。

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Fake Privitization 7

郵政民営化の過程で、興味深い現象がおきている。外資コンサルの関係者が跋扈しながら、国民資産の解体整理が行われている。松原東洋大学教授も、興味深い人物である。10年程前には、当時の全逓信労働組合の御用学者的な地位にあったと言う。それが突然の変化で、民営化論者となり、今では、激しい民営化論者の主張で、労働組合とは敵対する。郵政公社の関係公益法人等の整理のための委員会の座長に就任している。

その委員会、(松原委員会と呼ぶ)が報告書を出した。第一次報告書と呼んでいるが、8月一日に一部公表された。その日は、マスコミに報道資料として配布されず、一部のマスコミ関係者に渡されたのみであったが、8月7日に至り、西川公社総裁のコメント入りで、報道資料として配布され、公表された。財団法人や公益法人などについて、整理を図るとしているが、どのような権限に基づいて行うのか興味のあるところである。市場原理主義者は、もともと法の支配を尊重しないが、郵政福祉の掛け金の給与からの控除の廃止などは、労働組合、職員の利益とは、大きく反するところである。労働組合の出方が注目される。給与控除などは、基本的な団結権などにも影響する。民営化と言う、労働組合の弱体化を狙う市場原理主義者にどう対峙するか、試金石となろう。いよいよ郵政民営化と称する、文化と伝統の破壊がはじまったのである。国民の政治に対する流れが変わる中で、市場原理主義者にはいよいよ焦りが見られる。適切にピンポイントで反撃がなされなければならないが、この第一次報告書は、その契機となるもので、多くの矛盾を内包している。しかも、真の執筆者は、影に隠れているようにも見えるのである。今後の展開は予