構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

« Heritage | トップページ | Founder »

Pension

年金問題が深刻化する中で、金融に詳しい山崎養世氏が、週刊エコノミスト8月28日号(毎日新聞社)に、「年金問題の解決に郵便局が有効活用できる」と言う論説を掲載している。山崎氏は、高速道路の無料化を提案しており、年金問題も郵政民営化の方向付けも大問題となる中で、その解決策を探る具体的な提案を行っている。

その要旨は次のとおりである。もちろん、詳細については、同誌の本文を参照されたい。

年金問題の解決はこれからで、耐セナ公的年金に欠陥があることが次々と明るみに出た。国民年金の納付率は60%台にとどまっており、相互扶助の機能が損なわれつつある。社会保険庁の能力が不足している。年金記録の問題も明らかになり、社会問題化した。こうした状況に対する政府の対策は不十分で、「日本年金機構」の法人設立も、業務内容が大きく変わるわけではなく、根本的な解決には程遠い。年金制度を維持して信頼性を高めるには、年金と税とをリンクさせる必要があり、そのためには、年金の保険料を国税庁で徴収することを検討すべきである。しかし、取立てはできても、国税庁では膨大な窓口業務を行うには無理がある。成人が1000万人はいる東京都の場合、社会保険事務所は32箇所しかないし、税務署窓口は48箇所しかない。;山崎氏は、年金業務を郵便局に委託することを提案する。民営化以前から、正確できめ細かいサービスや信頼度で、常にトップクラスであった郵便局であり、一方、社会保険庁は国民からの信頼にかけている。郵便局は今まででも、国民年金の納付窓口を務めてきた。年金のオンラインを郵便局と接続することが必要である。郵政民営化が進められているが、民業圧迫、事業リスクの懸念がなかなか払拭できない状況にある中で、しかも、郵便局独自の業態開拓が進んでいない中で、公的年金の業務を主要業務とすることは、民間金融機関とのすみわけも健全になる。

公的年金には深刻な問題が二つある。ひとつは少子高齢化で若い世代が不利になることと、もうひとつは資産運用で収益を高くすることが難しくなっていることだ。1980年代までは、国債の金利は高く株の上昇基調もあったが、90年代になって行き詰った。

山崎氏は、確定拠出型年金などの自己責任型の年金を、年金資産運用の選択の自由を認めるために導入すべきとする。日本で普及が遅いのは、運用に伴う手続きの煩瑣さであるとする。転職の菜には次の職場にも持っていけるのであるが、一人一人の要望に応じて運用を変更したり、その成果を記録することが必要だからである。全国の企業が導入するためには十分な社会インフラがないのだから、郵便局のネットワークがインフラの役割を提供することができるのではないか。郵便局が公正な立場で民間金融機関の商品をオープンに提供する基盤となるべきであると提言する。思い切った非課税制度などと組み合わされば、自営業者や農林漁業者の年金の充実にもつながると期待する。国民全体の、一部の企業の従業員に偏らない、老後の不安の解消にもなる。

山崎氏は、そもそも郵政民営化には、さしたる根拠はない、むしろ日本の民間金融機関の脆弱性が問題であると主張していた、論客であり、いよいよ混迷化する郵政民営化問題の解決策として注目する論文である。

とりあえず、10月からの先行き不透明で、リスクの高い、しかも官僚支配の色彩の濃厚な郵政民営化を凍結して、公的性格を維持しながら、新しい業務の導入で、既存の郵便局ネットワークを破壊することなく、むしろ、そうした明治以来のネットワークを活用する道の方が、予見される混乱を避けることとなり、国益に合うと考えられる。傾聴に値する。

|

« Heritage | トップページ | Founder »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/209267/16290411

この記事へのトラックバック一覧です: Pension:

« Heritage | トップページ | Founder »