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Post Neocon

ニューヨーク市立大学のツルミ教授の記事。ちなみに、ツルミ先生は、ハーバードビジネススクールで、ブッシュ大統領を教えたことがある由である。ハーバード大学の学内新聞にそのころのことを書いた記事があった。当ブログの筆者とは、靖国神社のことや、慰安婦問題のことなど、微妙に意見の異なる部分はあるが、ネオコンのことや市場原理主義についての意見の太宗は同感である。

『ポスト・ブッシュへ動く米国の小沢一郎評価』

『ニューリーダー』(200711月号)

ニユーヨーク市立大学教授

霍見 芳浩

「日本を少々見直した」

9月12日、安倍晋三首相が腐敗と、無能の取り巻きだった第一次内閣同様に、スキャンダルまみれの第二次内閣を放り出して突然辞めた。日本国民への捨てセリフは、「テロ特措法延期について、小沢一郎民主党代表が会談に応じないから」だった。ブッシュ米大統領への約束が果たせない心労にやつれていた。

しかし、小泉首相に続いて、安倍首相も既に米国民に見放されているブッシュに隷属していたから、米国各界も日本を小バカにしており、安倍辞任はほとんどメディアが無視し、米国民のほとんどは安倍辞任も、小沢一郎が誰かも知らない。日本も落ちたものだ。

そこで、ポスト・ブッシュの日米関係を考えている米民主党のブレインに安倍辞任の感想を問うと、「日本を少々見直した。昨秋の米国中間選挙のように、民衆が現政権の腐敗に怒ったら、参議院での与野党逆転の一票一揆が働いた。小沢一郎が党内の靖国バカのタカ派と隠れ自民党を押さえたら、日本の民主党に日本再建とブッシュの対外軍事膨張のけん制を望みたい」との答えだった。ブッシュ米国への隷属を続ける福田康夫自公政権には、ポスト・ブッシュのアジア・太平洋での米国の民主的威信回復のパートナーは期待出来ないのだった。今では、ワシントンの絶滅品種に近い、共和党の良識派も同じ意見だった。

ポスト・ブッシュのアメリカへ

どの「アメリカ」の小沢評価が今の日本にとって重要なのだろうか。日本人の多くは、未だ「アメリカ」と聞くと、幕末から日露戦争直後までと敗戦後の一時期、日本の近代化と民主化の土台作りに貢献した「アメリカ」を想起する。建国以前の植民地時代から、今のブッシュ政権に代表される非民主的なネオ・コン(国粋右翼)の神政帝国主義のDNAが根強いのを知らない。偏狭な国粋右翼のネオ・コンの行動原理は、ウソで固めたブッシュのイラク独断侵攻と占領のように「力は正義、ウソも方便、強者必盛、白人至上主義、そして軍国ファッシズム」であり、これをキリスト教原理主義の神の教えと正当化する。

ネオ・コンの源流は米国南部の奴隷社会と軍国主義である。今でも米国の陸・海・空の基地の四分の三は南部に置かれていて、退役軍人と家族による軍国と銃信奉社会が、ネオ・コン政治を支えている。1980年の大統領選挙で、心情南部の南カリフォルニア出身のロナルド・レーガン大統領候補の勝利は、共和党をネオ・コン勢力が乗っ取ったからだった。それまでは、東部の裕福な中道穏健派が共和党の主流で、内向きの保守政治を好んでいた。しかし、その後、北部の民主的市民社会を基盤とした民主党の人種平等政策を嫌って、南部や西部の国粋保守的な白人達が一斉に共和党に鞍替えし、遂にはこれを占領してしまったのだった。

共和党を乗っ取ったネオ・コンは2000年の大統領選挙で、ブッシュの弟が知事だったフロリダ州の得票集計をゴマカして、大統領府と上下院を牛耳った。このネオ・コン達には「良心なき輩」とかつてのニクソン大統領(共和党)の側近だったジョン・ディーンも嘆いているように、民主的な良心のカケラもない。彼らの信条は、建国以来の主流DNAだった米国民主主義を支えてきたユダヤ・キリスト新教が説く、「自由、平等、寛容、社会連帯、勤勉、誠実、法の支配、政教分離」からほど遠い対極にある。

米ソ対立冷戦時代には、ソ連に先制核攻撃も辞さずとのぼせていた者が正副大統領以下、ブッシュ政権を固めている。彼等は、自分達の支持者の石油・天然ガス企業や軍需産業そしてウォール街のマネー・ゲーム屋の世界的覇権拡大には米国の軍事力活用を当然とする(ブッシュ神政帝国主義)。この為に2001911日のテロ奇襲を受けて恐怖と復讐心から米国民の多くが自省心を失うと、1998年に今のチェイニイ副大統領たちが作った青写真どうりに、待ってましたと、「テロの後ろ盾がサダム・フセイン」という大ウソを口実にして、イラクに独断侵攻し、原油と軍事基地の独占確保を狙った。「日本版ネオ・コン」の小泉・安倍両首相はこの大ウソを信じて、ブッシュに奉仕する日本の国粋軍国化を強行したのだった。

ブッシュ神政帝国主義を支える為に、この賄方の経済では大富裕と大企業とマネー・ゲーム屋を優遇して、米国民の四分の三の生活を圧迫して来ている。膨大なイラク戦費と大富裕層への大減税が未曾有の財政赤字を作り出すと、これを口実にして、中産階級以下が頼りにしている教育、司法、医療、年金、治安、福祉と雇用を空洞化している。テロ対策の口実で憲法を無視して、国民の大規模な不法盗聴を続け、共謀罪をふりかざして、自由で民主的なイラク反戦やブッシュ経済政策反対を封殺しようと躍気になっている。小泉・安倍の「改革」はブッシュ悪政の模倣だった。

やっと、米国民の半分以上がブッシュ妄想と大ウソの呪縛から覚めて、昨秋の中間選挙(大統領選挙以外の統一選挙)で、「民主的なアメリカを取り戻そう」と立ち上がった。民主党はこの大衆の怒りと不安を代弁するために、「イラク、(共和党の)汚職、経済(雇用と年金破壊)のブッシュ三悪清算の合言葉で中間選挙に臨み、上下院の歴史的な同時奪回を遂げた。

来年は大統領選挙を頂点とした大統一選挙の年である。ブッシュ政権によるイラク、汚職、経済の三大苦を国民は肌身で感じ続けているのに、ブッシュ大統領はチェイニイ 副大統領以下のコチコチのネオ・コン側近にしがみ続けている。米国民の四分の三のイラク占領反対を無視して、イラク占領の大失敗を認めず、今では、「イラクの泥沼化はイランのせい」との大ウソを広げて、イランへの独断先制攻撃の準備に没頭している。ブッシュ政権にとっては、7月末の日本の参院選挙で小沢民主党の歴史的勝利と912日の安倍辞任は大きな誤算だった。

米国民の多くは、来年の大統一選挙で民主的アメリカを取り戻したいと願っているから、民主党による上下院制覇拡大と共に、8年ぶりに再び民主党大統領にポスト・ブッシュ米国の内外の舵取りを付託する。この付託を得る為にポスト・ブッシュの日米関係の青写真を描いている民主党の内外策のブレイン達は、小沢一郎は自民党時代と違った政治家でブッシュ米国隷属ではない日米関係を求めているかを見究めたい。

小沢一郎の新評価テスト

米国民主党のブレインには、小沢がブッシュ悪政清算のパートナーになり得るかが最大関心事である。まず、「政治難民の民宿の主人」から、次期政権を担う野党の党首へと脱皮するかである。7月の参院選挙での勝利に政治生命を賭けた小沢は、小泉・安倍の内外失政が国民の暮らし、特に医療、年金、雇用、教育、安全を破壊しているとして、草の根国民に代わって安倍自公政権との対決を明らかにした。同時に、全国一人区で民主党支持を掘り起こして、これまでの自民王国を崩壊させ、参議員の過半数を制する歴史的結果を得た。これで、これまでのように自公与党は野党抜きの強行採決による悪法案のゴリ押しが出来なくなった。議会民主主義の政党指導者、小沢の評価が高まった。

第二のテストは、小沢民主党が参議院の法案と決議審議権や証人喚問権、また主要官僚の任命権などを活用して、小泉・安倍の内外悪政を引きずる福田自公政権をいかにけん制するかである。特に、ブッシュのイラク占領中止とイラン攻撃放念、そして朝鮮の核脅威削減がポスト・ブッシュへの日本の課題と小沢が気付くかだった。

8月8日、参院選挙での安倍自公与党の敗北にあわてたブッシュは、シーファー米駐日大使をして民主党本部に小沢代表を訪ねさせて、テロ特措法の延長と海上自衛隊によるアラビア海(インド洋ではない)での米国とパキスタン海軍への給油と給水継続を求めた。小沢はこの要求をはっきりと拒否したが、米国とパキスタンの海軍が「アフガニスタンのテロ掃討」の口実で米国のイラク占領とイラン攻撃準備に使われていると承知していた。テロ特措法はブッシュの不当なイラク占領を助ける為に、当時の小泉首相が強行成立させたものだった。テロ特措法延長拒否は、日本の国防と外交には日本の国益に叶った行動をするとの小沢民主党の内外声明だった。小泉・安倍に追従した党内の靖国バカのタカ派のけん制でもあった。米国各界はこれで初めて「日本に小沢民主党ありか」と注目した。

残る第三のテストは、かつて『普通の国』を書いた時の小沢からどのくらい成長変化しているかである。『普通の国』では、小沢は小泉・安倍靖国カルトに近く、日本を昔の「戦争が出来る国」にしたいのかとも取られる。それとも、今では、「米国傭兵化は止めて、アジア・太平洋での民主的平和に寄与し、日米合作のマッカーサー憲法をブッシュ憲法にはしない」のかである。

ポスト・ブッシュへ動く米国の対日踏絵は、7月末の米下院の与野党一致の対日非難決議(「帝国日本軍の慰安婦への謝罪要求」)に代表される。「普通の国の日本」とは、ナチス犯罪を清算した独が世界で発言権を強めているように、靖国カルトの大東亜聖戦妄想を否定して、アジア・太平洋での指導力の信憑性を確立する国であれと問われている。

世界の外交のルール通りに、まず、日朝国交を回復し、その後に朝鮮の日本人拉致と帝国日本の朝鮮人拉致を同時解決して、朝鮮の核脅威削減に米中韓と協力する。同時に、中国と協力して、ミヤンマー軍事独裁政権の国民弾圧を中止させる。また、小泉・安倍政権はブッシュに言われて、イランでの日本企業の石油化学プロジェクトを中止した。小沢民主党はこの再開を要求し、IAEA(国際原子力機構)と協力してイランの原子力平和利用を助け、ブッシュにイラン攻撃の妄想を捨てろと伝える。

こうした日本の外交力発揮には、小沢民主党は、92年の村山談話(「太平洋戦争は日本の侵略」と93年の河野談話(「従軍慰安婦への謝罪」)を参議院で正式追認するのが欠かせない。これで日本の世界での孤立を解いて、小泉・安倍政権による日本資産の対米売却やブッシュの市場原理主義の模倣による日本社会の格差と閉塞の清算も可能となる。

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