構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Tron

どこでもコンピュータを日本発で世界に貢献しようと、トロンを開発した坂村健先生は、社会と密着した技術は、技術以上に制度設計が大切であり、せっかく世界のご本の指に数えられる技術を持ちながら主導権が取れないのは、新しいことや独創的なことを導入していくことに対する制度設計が下手だからではないかと指摘する。

先生がトロンのプロジェクトを始めたときも、米国信奉者からは、j何でも米国、米国だったようである。米国から学ぶべきことは多いが、間違った学び方をしてはいけないという。表面だけを学び、背後にある精神構造や、米国が本当に目指しているのは何かがまったく理解しないままにすrと、損失になるという。表面的に真似ると、モノマネになってしまうと指摘する。

トロンプロジェクトには、そうした表面的な米国信奉者から多くの妨害があった。しかし、トロンは、世界で最も使われている、組み込みコンピュータのOSとなった。

トロンは技術で優れているから、世界的に普及したわけであるが、第一の理由は、仕様を公開する、つまり、あらゆる技術情報を公開したからであるとする。使用料を取っていれば、坂村先生は巨万の富を得ることになったのであるが、そうはしなかった。利益ではなく貢献であると断言する。キーボードなども、米国流を採用したために、腱鞘炎になる確率が高くなったのではないかとも言う。日本の学校教育で、トロンのキーボードや、コンピュータを採用としようとしたが、アメリカの貿易摩擦で、採用されなかったのは有名な話だ。

無線のタグについても、日本と米国とで同じやり方でやると先ず失敗すると、言う。日本は米国にあわせるべきと主張する勢力とは戦わなければ成功しないようである。

小泉・竹中政治も表面的な米国の悪い政策のモノマネであり、しかも圧力に屈するというよりは、お先棒を担いで回った嫌いがあった。

トロンは、米国の圧力に屈したかに見えたが、技術の力で、復活して、ユビキタスコンピューティングは、世界的に通用する言葉となった。やく83億個(本の出版当時か)生産されるマイクロコンピュータのうち、パソコンは2%の一億5千万台くらいで、残りの部分は、組み込みコンピュータとなった。自動車から、携帯電話から、デジカメ、といった機械の中にも、マイクロコンピュータが組み込まれている。

すべての人が恩恵を受けるシステムを設計しないと社会規模の情報システムは広がらないと言う。広まって初めて、特定の人にも助けられるシステムになるのだ。

郵政や道路公団の民営化などのように、わざわざ、情報を閉鎖的にする制度設計をして、貢献よりも利益を重視する制度設計は、21世紀に日本が主導権をとるためにはまったく時代遅れの政策手法である。汎用的で、開放された基盤を作るからこそ、実際の商売やビジネスが栄えるのであり、資金が投入されてインフラが整備されて、各部分部分が進歩してコストが低減するのである。利用者が増えてそれが社会全体の魅力を増す、よい循環を生むのではないか。10月一日には郵政民営化がはじまったが、全国では68もの小さな郵便局が廃業したとの報道である。全体最適を破壊した制度設計は、おそらく成功しないだろう。トロンの場合のように、高い志と情熱を掲げて、ビジョンを設計することが大切であるが、残念ながら、そうした気迫も志もない一部の経済人が、外国資本と結託して、パーツごと部品ごとの低廉化を目指すばかりで、全体の国益を、世界の最適化を目指す中で、追求するような話はついぞ聞かない。聞こえるのは、全体の重要なパーツである地方を切り捨てたり、全体をよくすることを考えないで、特定のものに便益を与えるために弱いものいじめを平気でする陰湿さと冷笑が見られる。

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