構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Government Credit

財投改革の虚と実は、10年前に出版された財投解体論批判につづく、財投改革の内容を検証しようとする好著である。

「財投は国の信用力を背景に融資等の金融的手法を用いる財政政策の手段であり、政治と同時に市場による規律が求められる。このため、--議論はしばしば大きく混乱する。」ことから、前著では、いわゆる自主運用論や、政治が決めるべきことを市場に決めさせようとする財投機関債構想を批判したという。ここの財投の事業の見直しが必要であると主張したという。

財投は、一部の財投機関や、郵政の民営化で大きく変貌しており、また、2005年の刺客選挙のころから大きく迷走を始めているという。あるべき改革を追及して過去10年間の財投改革を総括して、議論を喚起したいとして出版されたのが新刊である。

第一章では、財投機関債がコストの高い資金調達という不思議な決定に至った過程を検証する。いわゆる破綻法制の整備が行われないことについても言及する。第二章は、財投機関債を、同じ満期の国債との金利格差を元に検証している。「マーケットは、支持が決めるべきことを判断することはできなかった。」「財投機関債の金利は、暗黙の政府保証がついているかのように推移するようになった。」第三章では、改革の成功部分の指摘である。第四章では、財投貸付金の証券化などの推進を厳しく批判している。「融資から保証へというのが日本の改革で、アメリカなどでは、むしろ、保証から融資へと脳誤記だという。第五章では、そのアメリカの事例を紹介する。

「わが国で財投改革がしばしば混乱する原因は、政治が具体的に財投事業を見直し、自らの責任で廃止することをためらってきたことにあるのではないか。ーー政治は一件派手ではあるが形だけの組織改革に傾きがちとなり、政治が判断すべきことまで、財投機関や市場に任せようとしてきたのではないか。---市場には政治が決定すべきことまで判断する能力はない。」とする。

神は細部に宿ることを主張しているようなことであるが、小泉・竹中政治のもとで、あるいは、その知恵袋として活動した高橋洋一氏などの、財投改革論と冷静に読み比べることが必要である。

本書では、郵政民営化の引き金となった、郵貯が財投の肥大化を生んだ張本人という説を明快に否定している。郵貯の預託増加は、財投の原資としてだけではなく、資金運用部による市場からの国債引き受けなどにも使われたことを指摘して、郵貯の増加が直ちに財投の拡大をもたらしたとはいえないと結論付けている。地方向けの繰り上げ償還についての議論もしているが、特に補償金なしの繰り上げ償還については批判的で、「予算に計上されずに5000億円が支出されうkとに等しいことが決まった」と指摘する。民主政治が否定されている局面であり、議会政治に対する挑戦的な決定が行われたことを明らかにしている。また、簡易保険からの繰り上げ償還については、民営化された簡保の経営に影響を与えざるをえないと指摘している。

著者である、富田俊基教授(元、野村総合研究所)(現中央大学法学部教授)の主張は特に2006年以降の改革?の動きの中では採用されていないことが執筆の動機であるようであるが、いずれにしても、激変する、財投関連の政策運営の時代の真っ最中に出版された好著である。

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