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Shrinking Japan 2

政策転換の基本的な考え方について、簡にして明瞭でわかりやすい説明が、森田実先生のサイトに講演録として掲載された。ご参考まで。財政均衡論がいかにばかげたものであるかがよくわかることであり、事実GDPは、急速な減少を示していることは、先刻当ブログでも見たとおりであるが、財政危機を大騒ぎをしている方々は、何か、自作自演、つまり自分で問題を起こしておいて、人のせいにして被害者を演じる、をしている風でもある。

http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/

「低成長政策の軌道修正
 日本政府がいまとっているのは低成長政策です。つまり、2%程度の成長しか考えていないのです。1999年の名目GDPと2006年の名目GDPを比べると、1999年の名目GDPのほうが上なのです。大切なのは名目の数字です。税収も名目です。物価が上がらないときには名目が経済の実体を表すのです。物価が上昇するときには、実質成長率という概念が必要になるのですが、いまは名目で十分なのです。その名目成長率は、この6年間、上昇していないのです。
 日本政府はこのように低成長政策をとってきたのですが、財務省のある一つの試算では、成長率3%以下であれば、日本はプライマリーバランス(基礎的財政収支)を実現することは不可能だという研究報告があるそうです。いま日本政府は、2011年にプライマリーバランスを実現する(基礎的財政収支を均衡させる)ため、財政支出を削減するということを政策の根本においています。2011年にプライマリーバランスを整えるというのが最重点政策です。
 そのためには、公共事業費を減らさなければいけない、国民の負担も増やさなければいけない、消費税を引き上げなければいけないという政策をとっています。しかし、いま日本政府がとっている低成長政策では財政再建はできません。プライマリーバランスは永久に実現しません。3%以上の成長を実現しなければプライマリーバランスは実現できないのです。財政支出を抑制するだけでは経済は成長しません。このままでは、永遠にプライマリーバランスを実現することはできません。
 プライマリーバランスを実現できないまま、財政収支が悪くなれば、財務省は消費税を引き上げるでしょう。消費税を引き上げれば、国民の消費は止まります。GDPの6割を占める消費が止まると、経済はさらに停滞します。これは悪循環です。この方向は危険です。変えなければいけません。
 去る9月末、アメリカの研究者が私を訪ねてきてこう言いました。
 「森田さんの『公共事業必要論』などの著作を読みました。森田さんは不況を心配して公共事業などの景気浮揚策をとるべきだ、と主張しています。日本政府は公共事業費を削減し、国民負担を増大させる政策をとっていますが、これではデフレスパイラルがさらに深刻化します。いま日本政府がとっている経済政策では税収は減ります。そうするとまた増税です。増税すれば消費が下落します。そしてまた増税です。これでは日本は破滅スパイラルに陥ります。日本政府は政策転換しないと、日本の将来は危ないと思います」。
 私は彼にこう言いました。
 「日本政府はアメリカ政府の言うことだけを聞き、日本国民の声は聞かない。アメリカ政府から日本政府に政策転換しろと言ってくれ」。
 日本政府は政策転換を決断すべきです。財政再建の目標を少しだけ先送りすべきです。
 最近、ある与党幹部が、2011年にプライマリーバランスを実現するというのをどうして2012年にしてはいけないのだ、と言いました。
 この幹部の指摘は正しいのです。2011年にプライマリーバランスを実現しなければ日本はおかしくなるというのは、そのことを主張している人がつくった理屈にすぎないのです。単なる目標です。変えられるものなのです。政府・財務省は「財政赤字で日本は破産する」と言っていますが、国が破産するというのはおかしな話です。国には破産の法律はないのです。個人、企業は法律があるから破産するのです。地方自治体が破産するのは法律があるからです。しかし、政府には破産の法律はありません。もしも外国から大金を借りて返せなくなったということになると、海外が制裁を加えますから、国が主権を維持することは難しくなるのは事実ですが、しかしそれは、国の破産が法的に宣言されるわけではないのです。国連にはそのようなことができる力も資格もありません。財務省や大新聞が自分勝手に日本は破産すると言っているだけの話なのです。プライマリーバランスの均衡を2015年にしたところで、日本国がつぶれるわけではないのです。
  これに対し政府側は、2011年のプライマリーバランスの実現という目標をを外したら、みなが一斉に「ばらまき」を要求するようになる、日本中が蜂の巣を突ついたように「ばらまき」を要求するようになる、その結果また財政はガタガタになる、だから政府は一歩も引けないのだという論理を主張します。しかし、私は、日本人は日本の国家財政の状況についていろいろ知っていると思うのです。子孫に借金を残すことは良くないと十分承知していると思うのです。
 しかし、日本経済をつぶしてしまってはだめです。成長力のない経済は借金を返す力がない経済です。成長力を身につけて、国民生活が豊かになり、税金を払う人たちが増え、払われる税金が多くなる。国民経済の力が強まり、国民経済が豊かになって、税収が増える――こういう好循環が必要なのです。
 借金率を各国別に比較する方式があります。GDPに対して純債務がどのくらいかを算定するのです。サミット参加国は大体50%から60%、アメリカは約70%という数字が報道されたことがありました。アメリカが最も悪いのです。
 日本には800兆円の借金がある。800兆円を500兆円のGDPで割れば160%になる。日本はけた違いに大きな借金国なのだと、財務省の御用学者や御用新聞記者は主張しています。
 これに対して、私はデマを言うのはいい加減にしてもらいたいと言ってきました。日本の借金率を総債務で計算しているのです。年金の資金は、正確には発表されていませんが、150兆円ぐらいあります。雇用保険もあります。230兆円と言われるほどの資金があるはずです。財務省や日銀は米国債をもっています。独立行政法人がもっている資産もあります。そうしたいろいろな金融資産を合計すれば、低く見積もっても400兆円ぐらいになります。総債務400兆円から資産400兆円を引けば、純債務は約400兆円になります。この計算は大つかみです。資産350兆円という計算もありますから、純債務はもう少し多いかもしれませんが、しかし、日本が突出した借金大国であるという情報は一種のトリックだと思います。
 菊池英博さんというすぐれた金融学者がいます。この菊池さんは国会でこのことを証言しています。財務省の役人は何も答えないそうです。
 このことよりも大きな問題があります。この7、8年間、日本の名目成長率は前年比マイナスです。いまの名目成長率は7、8年前よりも低いのです。この間約3%の名目成長をしていれば、日本のGDPは約600兆円近いはずです。GDPが600兆円近くなれば、借金率はアメリカよりもずっと健全な数字になります。
 東京の新聞社の経済部の記者はだらしがないと思います。自分自身の分析力がないのです。私は経済記者は何をやっているのかと思っています。政府審議会の委員をしている学者も、独自の分析力がないと思います。御用新聞記者と御用学者はいたずらに財政危機を騒ぎ立て国民に不安だけを与えています。オーバーなのです。要は、われわれは国民の富を増やして、借金を返していく方向に移らなければならないのです。〔つづく〕」  

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