構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Deception

赤頭巾ちゃん気をつけて。狼は、税制大綱に盛り込まれた「ふるさと納税」だ。「都市と地方の財政格差の是正」が目的と受け取られがちだが、民間と称する市場主義崇拝者が国家と地方の資金配分の構造支配を目指している。郵政民営化が「米営化」で、私物化の本質を隠し、市場化して弱肉強食の世界にさらす意図があるように、ふるさと納税も、逆に自治体の間の格差を際限なく拡大する危険性がある。格差を意図的に作り出した側が、選挙対策で、地方の怒りが嵐となる中で、怨嗟をなだめ取り入るふりをしながら、逆手でこの国の統治機構の形を市場主義者の思うままにしようという巧妙な込んだ陽動作戦だ。
地方から都会に、ホモ・モーベンスとばかりに出た世代が、確実な根っこをはやして、この国を経済的に豊かな国にしたことは間違いない。年老いた親がまだ残っているうちは幸いで、墳墓の地が遠のいてしまっても、その心持て遠き都に帰らばやと、ふるさとを忘れないで、県人会、連合会、町会、集落会、色々な名前をつけて、毎夜毎夕、居酒屋で、ホールで、集会場で、郷土の集まりを開く。集団就職の悲喜こもごもを表現して大ヒットした「ああ上野駅」は、井沢八郎氏(昨年1月17日逝去)と共に碑ともなったが、「社稷を守るべく一方通行の出稼ぎでふるさとを離れた集団就職の世代が、疲弊する地方に何とか応援の手をさしのべたいと思うばかりに、「ふるさと納税」の表現は心地良いメッセージに聞こえた。格差社会を容認する政治の中枢の張本人が「地方で生まれ育って都会に出る人が多いが、税の一部を自分の故郷や好きな町などに納税し、恩返しをしたいという要望は強い。地域活性化や過疎対策にもなる。」と真顔で囁いたが、市場原理主義にとり憑かれた悪魔の幻覚でしかない。
「ふるさと納税」の特徴は、現在もある寄付行為に対する所得控除に代えて税額控除にすることであるが、高所得者が一向に寄付をしない現状で、納税額が減るのであれば却って金持ち優遇に利用されかねない。寄付の相手が、ふるさと納税を突破口にして、独立行政法人、公益法人、福祉法人などへと拡大していくのが、市場原理主義者のシナリオである。民間人と称する一部の政商や、買弁資本と結託した政治家や官僚が、要するに日本国民のためには成らない「選択と集中」を恣意的に行って、公的な団体の公益をいずれかは支配・私物化しようとする策略である。第二の特徴は、納税者が自分がどこに寄付するかを決めることであるが、公共団体の自立自尊を失わせ、市場崇拝者に隷属させる制度を自由化することになる。慈善は単なる免罪符になりかねないことは、洋の東西を問わず証明されているが、ふるさと納税は、安上がりの免罪符の販売所となるだけではなく、資金分配の権力を一部富裕層に限定して与えてしまう危険性がある。今の所得控除制度を使ってでも、あるいは税の軽減を求めずとも、真の慈善の救済事業は苦しい中でちゃんと行うものは行う。見苦しいのは、濡れ手に粟の巨万の富を挙げた筈の、丸罰ファンドや、丸罰銀行総裁が、罪滅ぼしのために、寺社仏閣などとは言わぬが、寄進した話を未だ聞かない。国全体の寄付額も貧者の一灯に及んでいない。統計数字に歴然としているではないか。財政改善の幻想を振りまきながら、地方自治体も社会福祉団体も、いずれは、国会や霞ヶ関の陳情をやめて、一部資本家や経済団体に媚を売る制度に仕組みを変える構造改悪、とどのつまり、民主政治を空洞化させる陰謀である。民間議員という誰も選んだことのない「議員」が、国の経済・財政諮問会議を主導して、代議政治を無力化させ、日本の構造破壊を急速に進めたように、地方でカネの流れを、「民間の公益化」というわけのわからない表現で、市場の強者の支配と地域社会に弱肉強食のカネの流れの仕組みを埋め込もうとの陰謀である。
実は、ふるさと納税という国家破壊の構想が、単独に存在してきたわけではない。公務員制度、中央省庁の編成、道州制、国防、技術開発、教育、医療保険、憲法問題、と連動しており、例えば、公務員制度改革も、改革は公務員たたきとなり、優秀な応募者が激減するどころか、給与の高い外資企業に学生の関心が向くという珍奇な現象すら生じさせる破壊ぶりである。年功序列ではなく実力主義を導入して官民で回転ドアのように自由に交流させるのが、改革と主張しているが、何のことはない、米国の公務員制度を真似しろとのご託宣である。政治学者トックビルが既に指摘しているように、医療制度ともども、真似する価値があるような優れた公務員制度ではないのではないのか。小さな子供が挟まれて死亡した、外資企業が集積する六本木のビルの回転ドアのようなものでしかない。霞ヶ関で長年は悪慣行となっている超勤の不払い(ホワイトカラーエグゼンプションか)の不正などを改革すべきである。市場原理主義者は政治宣伝に優れており、マスコミをとりこんだ大量宣伝で、無責任で無能な役人像を意図的に作り出している、人事は公正か、近年、市場原理主義に迎合する者だけを重用したのではないのか、国家公務員制度を弱体化させて、代議政治の行政機関に対する主導力を非力化・空洞化させてきたのではないのか。もともと市場原理主義には、拝金のアナーキズムの要素が潜んでいるが、ほぼ公務員制度を叩き壊した。ふるさと納税は、町村合併や、地方分権とも間違いなく連動している。カネの流れを変える強力な制度となる魂胆だから、税制大綱にのせるだけでも、もう半分の獲物を捉えた気分かもしれない。高笑いが聞こえるかのようだ。本当は関係がないのに、自治体の格差是正に役立つかのようにプロパガンダで思い込ませて、中央のレベルの政策では地域格差を拡大助長策を推進して、一挙に文化や伝統を破壊して、いずれは国家の統治機構自体を市場に隷属させるべく、トロイの木馬の突破口をつくるような詐策である。国会や行政の関与がないまま市場崇拝者が主導して提案しているから、政府高官ですら誤解したというが、赤頭巾ちゃんは、もう騙されない。

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