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Banker 5

白川方明氏と、西村清彦氏の日銀副総裁就任は参議院で同意された。衆議院での同意もあり、副総裁は確定した。日銀法22条は、副総裁は総裁が欠員のときはその職務を行うと定めており、副総裁が分担して行う。短期的には総裁不在であっても、国民生活に直接被害が及ぶような業務の停滞はおきない。

こうした日銀人事の混乱の中で、特に西村清彦氏の副総裁就任は、おそらく瓢箪から駒の優れた人事であったと思う。テレビ番組のインタビューによれば、ご当人も予想していなかったと発言していた。

ちなみに、西村清彦氏の非公式なホームページがあるので、そのリンクを紹介する。http://www.e.u-tokyo.ac.jp/~nisimura/

写真の腕前は相当のもののようである。感受性の高さが伝わってくる。英語版もある。羽田の近くの草花の写真のページは英語版から入ると見える。

論文集も興味深い。理論的な枠組みをつくり、実証的にかつ周到に行う傾向である。ニューエコノミーなどとの幻想にはとらわれていない。ホームページ掲載の文章にこんなくだりがある。

翻って筆者は経済学を業としているが、こと幸福に関しては、経済学はいたって評判が悪い。いつも「効率性」を追求していて人の情をわきまえないとか、人の「価値」をお金の額で換算する風潮を助長しているとか非難されている。極めつけは、昔の人が経済学をdismal science (陰気な学問)と言ったことを把らえて、経済学者をまるでクリスマスキャロルの守銭奴スクールジイ爺さんと同類扱いする。でも幸福のレベルが遺伝子で決まっているとすると、悪いのはどうやら経済学者ではないことになりそうだ。

 どうしてかと言うと、現代の経済学で重要なのは「与えられた環境の中でいかによりよい状態を達成するか」ということだからである。つまり今の自分がどんな状態に(幸福?不幸?)あるかということが重要なのではなくて、この状態を将来どのように良くすることができるかが問題なのである。そして良くすることができれば、それが大きな達成感、幸福の源となる。よしんばそれが半年で消えてしまうとしても。そしてその最適化の手順を、社会経済全体を視野に入れて考えるのが経済学者の仕事ということになる。
 ここで強調しても足りることはない基本原則がある。現代経済学の中の、最適化の基本原則の中に、日常の言葉で言えば「終わったことは、くよくよしない」というものがある*1
自分が過去にいかに成功したか、あるいはうまくいかなかったかは、今の自分の「価値」とは実は関係ないのである。今の自分の「価値」を決めるのは、これから自分がどのようなことをなし得るのか、のみに依存する。総理大臣あるいは社長の価値は、過去のその総理大臣あるいは社長の業績にあるのではない。今の時点から出発して、将来どのような業績を残せるか、その可能性にのみ依存して決まるのである。(この原則を守っていない日本の組織がいかに多いか、それを考えると暗澹たる気持ちになる。)
 こう見てくると、現代の経済学は過去のあら探しといった感じの陰気な学問とは対極にある、常に前向きの、幸福の学問であることがわかるだろう。過去は、将来の予想に役立つという情報の面だけの意味しかない。我々の価値は常に未来志向なのである。」
美しい文章である。国民の志気を鼓舞する。高潔な人格をうかがわせる。
西村清彦日本銀行新副総裁に期待する。
 

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