構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Fake Privitization 56

週刊ダイヤモンド誌は、3月22日号で、道路公団の民営化は失敗に終わったとする特集記事を掲載した。それに対して、民営化推進委員会の委員だった猪瀬直樹(現、東京都副知事)氏が4月5日号で、反論記事を掲載した。それに対して、4月26日号で、櫻井よしこ氏が「猪瀬直樹氏の「大反論」に反論する、それでも道路公団改革は失敗」とする記事を掲載した。猪瀬氏の矛盾をつき、成功だと言い張るのは独りよがりだと断じている。

当ブログにおいても、高速道路の問題点については、るる議論を行ってきているが、再度、民営化の失敗について、論点をまとめてみたい。

高速道路建設の問題は、返済できそうもない借金をしながら、採算を考えないで、あるいは他の交通体系との整合性も考えないで道路を建設し続けているということが問題であったが、民営化すれば、不採算の道路はつくらないはずだとの理屈であった。しかし、民営化された道路会社は、全く経営の規律は働いていない。6つの道路会社と、日本高速道路保有・債務返済機構ができたが、道路の資産と債務は気候が一手に引き受け、6社が新たにつくる道路は感性時点で機構のほゆうになるとして、借金もその返済も機構が引き受ける仕組みである。6社は、名ばかりの会社で、借金も資産もなく、利益を上げる必要もない。返済できそうもない道路であってもどんどんつくることになったのである。

民営化推進委員会には、激しい対立があった。2002年12月6日に、委員の一人松田昌士氏が提出した意見書を巡っての対立があり、委員長と委員の一人が反対して辞任した。この意見書の段階では、猪瀬氏を含む5人が賛成している。この意見書は、高速道路が会社の保有であれば、債務の返済も会社の責任になるから、おのずと経営の規律が働き、不採算の路線は作られなくなるだろうと事で期待された。機構は債務の返済と借り換えのみをその業務とすると言う意見であった。この意見書を受けて、当時の小泉総理は、法案の作成を国土交通省に丸投げして、骨抜きとなり、意見書をまとめた二名の委員は、抗議して辞任した。マッキンゼー出身の委員は、出席を拒み、猪瀬氏と、他の女性委員だけが残って、9342キロのすべての高速道路の建設計画が推進された。「すべてが改革以前の旧情と同じなのである。」櫻井よしこ氏は、「民営化が正しく行われていさえすれば、不採算路線の建設を西日本高速道路会社が望むはずがないということだ。常識で考えれば、不採算路線を建設し、返済しなければならない借金を抱える愚は健全な企業なら金輪際、犯さない。」と述べている。

 高速道路は宝のもちくされとなっている。これから金利が上がってくれば借金は雪だるまとなる。やはり、高速道路を早く無料化して、今ある収入や税金の上がりを借金返済にまわしていくほうが懸命であろう。また、他の交通機関との整合性も考えれば、高速道路をつくる代わりに、新型の鉄道や高速の環境適合型の交通システムを考える時代でもあるのではなかろうか。

 さて、櫻井よしこ氏の明快な議論を敷衍すれば、郵政の民営化とは何なのだろうか。民営化とは採算を考えることである。ユニバーサルサービスを維持しながら、民営化するのは論理矛盾である。道路公団の場合とは異なり、郵政は借金はなく、むしろ、国庫に上納金を差し出すことのできる、優良な経営を行ってきた。郵便貯金などは最近でも2兆円を超える利益が上がっていたほどである。全体のパイの中で、規模の経済と範囲の経済とが微妙に調整されて、最新の電子計算システムを保有するなどの経営が行われてきた。厳しい独立採算で、郵便や、簡易保険との、相互補助もなく、むしろ郵便局というワンストップで、相互刺激の作用、三事業一体というようであるが、効率的な人的資源の活用などが行われてきたが、分社化で大きな分割ロスが生じているという。郵政の民営化も失敗したことが歴然としている。もともと民営化の議論よりも、当時の竹中大臣の知恵袋の官僚が指摘しているように、金融・非金融の分離で、濡れ手に粟の、サブプライム並みの、外資と組んだ、国民資産の海外流出をねらった、夢物語が本質であったのかもしれない。そのショウコに、国民の寄せる郵便局への信頼は急速に低下しており、郵貯やかんぽのお客さんの残高は、急激に減少している。責任と規律、そして信頼や信用を無視した拝金の市場原理主義の適用は見事に失敗を重ねつつある。そもそも、市場原理主義が、市場を大切にしているかと思えばそうではなく、単に寄生虫の役割で、国家の資産を浪費させてそこで上がりを儲けるだけの話である。民営化された道路公団の6社も、無駄遣いや、利益の私物化が行われる運命にある。一部の株主の利益に奉仕する会社ができて、その借金は税金で補填するのは、全く矛盾した話である。郵政民営化の場合は、税金で負担したわけではなく、公的で健全に経営されていた事業体を、巨額の金融資産を私物化するために、(外資に売り渡すためとの極論もありうるが)、もともと不採算の可能性のある郵便局と郵便事業を儲け口としての貯金と保険の部門を切り離して、公的な資産を固定化して、新旧勘定分離を行いながら、残りの巨額の財産を私物化しようとしたものである。道路公団の民営化とは逆方向のように見えるが、本質的には、私物化とその責任の転嫁という、全く同じような克服することのできない矛盾を露呈させている。

 民営化された道路公団の会社を正道に戻して、借金を返して高速道路を無料化させ、民営化された郵政を基本に戻して、ユニバーサルサービスを維持発展させるためには、それぞれの民営化が失敗したことが明らかになりつつある現時点で、傷を深くしないためにも、早急に見直しを開始することが重要である。どちらも、公共財であることをはっきり認識して、新たな国民経済の発展を追及すれば、市場原理主義や新自由主義を完全に脱却する政策の青写真を描くことはむしろ、容易になったものと考えられる。

 民営化したはずの高速道路が民営化にならず、無料化も展望されず、不採算地域を見捨ててはならない郵政事業で私物化をすすめて、しかも分割ロスを拡大させる分社化をおこない、以前よりもサービスが低下するという小泉・竹中の構造改悪の愚は国民の利益を大きく喪失させている。過ちは急いで訂正、修正しなければならない。政治で直さなければいけない。

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