構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Taxation 2

高速道路を原則無料にすべきである。勿論、渋滞を排除するための方法として、一部の都市の環状線とか、トンネルや橋梁の通過にわずかの料金を取ることは差し支えないが、本四架橋も、東京湾トンネルも、特に九州や北海道の高速道路も、一部の私営の自動車専用道も買い上げて、無料にすべきである。
月山の中腹の村で数年前に聞いた話しであるが、休耕田の補助金も尽き、特産のそばの値段も下がり、山里の暮らしが苦しくなり、共同体を見捨てる者がいると。しかし、谷あいを高速道路が通過している。料金の高さで、仙台からの観光客も、東京からの観光客も少ない。高速道路がタダであれば、通勤圏内になるやも知れず、有数の観光地になることは間違いない。大臣が、熊や狸しか歩かないと悪罵をついた北海道の高速道路も国道並みのタダであれば、農水産業の大動脈として活用される。雪中の走行の事故も減る。燃料も少なくて住む。東九州に無料の高速道路があれば、農産物の価格は大いに安くなる。鉄道や海上輸送と航空機の経路とが調整されて、都市集中が分散され、国土の有効活用がなされる。会社の本社機能も地方に分散できる。なにせ、地方と都市の物流のコストが下がる。町や村も栄える。都市と地方の格差の拡大を押しとどめることができる。
民主党がガソリン国会と名づけて、ガソリン税の暫定税率が参議院で否決され期限切れとなり、与党は、衆議院で再可決するといきまき、ネジレ国会の中での対決は、こう着状態を呈しつつある。かたや政治が官僚支配に従属して強硬に道路はつくり続けると主張し、一方は、ガソリン代を25円安くするとの主張で政局を演出して解散に追い込もうとの戦術である。しかし、世界の政治経済情勢が激変する中での大局論としては貧相であり、将来の日本の道路交通体系についての論点は希薄だ。木を見て森を見ず、酔っ払いの喧嘩神輿でぶつかり合っている気配だ。小泉・竹中劇場の高速道路民営化の幻想から醒めようともしない。郵政民営化論も根拠のない話であるが、民主党が突然民営化論に傾き対立軸を失い、政権奪取の機会を失ったが、今回もそんなことかもしれない。
日本では、自動車が一部の金持ちのものであった時代に、道路特定財源の制度が作られ、ガソリン税などの収入が一般道路の整備に使われてきた。高度成長の原動力となり、高度成長が道路を押し上げるという好循環もあり、自動車専用道路を有料にすることも貧しかった日本の臨時の財源措置としては説得力があったが、高速道路を税金ではなく借金でつくり、世界一高い料金を取るという制度はいつしか歪んだ。鉄道が自動車に押されて不採算となり、いつの間にか地方へ行くほど公共交通機関のないアメリカ型の車社会になった。大都市でバスや電車が便利で、地方では自動車ナシでは生活が難しい。地方の住民は歩かず、却って都会の老人の方が、地下鉄の階段を上り下りして、足腰が強くなるといった珍妙な現象すら起きている。
小泉政権は、道路公団を民営化して無駄な高速道路は作らないとしたが、その内情は、高速道路を無料にして地方振興や国土の均衡ある発展を目指さず、高速道路の優位性(例えば燃料効率がよいとか)を有効に活用することをせず、いつまでも(2050年?まで)料金をとり続け、宝の持ち腐れで、しかも高速道路建設の債務を高速道路機構という独立行政法人に飛ばして、つまり将来の国民にツケ回し、あるいは借金漬けにするという改悪であった。今次国会の議論は、自動車社会から脱却する方策とか、あるいは高速道路建設の債務をどう解消していくかとかの基本を議論すべきところ、木を見て森を見ずの小手先の対立である。高速道路の民営化は、民営化委員会の道化の二人芝居の結末との指摘があるが、なるほど、高速道路民営化の欺瞞を解消して無料化するための制度を整える好機である。民主党は、ガソリン税の使い道を変えることを強調すべきであるし、環境にマイナスのガソリン消費を増長することに加担してはならない。与党は、官僚支配の強化になるような一般財源化には加担せず、日本の国土の均衡ある発展を追及して地方の発展を促進し、目先の道路建設予算に固執してはならない。
先進国の高速道路は、原則無料である。タダが原則だから、フリーウェイと言う。ちなみに、アメリカは高速道路建設を、借金をせず政府が自ら建設してきたから、膨大な債務が積みあがることなど一切ない。無料の道路が民営化できるわけもない。厳然として連邦政府の責任で整備する。ドイツは東西合併後、環境対策もあって、道路両脇に幅100メートルの森をつくった。日本の高速道路はコンクリートの塊だが、ウサギの飛び跳ねる美しい道となった。
要するに、高速道路を無料化するには、先進国がやっているように、国が負担することである。自動車専用の無料の国道だ。日本の場合、高速道路機構の借金を国が引き取る。その返済の財源が道路財源で、焦点となったガソリン税の暫定税率分などでまかなう。旧道路公団の積立金なども取り崩せばいい。年間2兆円の財源があれば、高速道路のためにツケ回しをしている40兆円の借金を借り換えで、全部返せるはずだ。不足があれば妥協で、首都と阪神だけ通行料金を取り補完する手法もある。今、高速道路を原則無料にしておかなければ、これからつくる道路の借金は、金利で雪だるまのようになる危険がある。高速道路を無料にするほうが、今後の必要な高速道路も早く建設できる。高速道路無料化論に関心の向きは、山崎養世氏の最新著「道路問題を解く」ダイヤモンド社に尽くされているので、一読を切にすすめる。

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