構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Black Box

鈴木宗男衆議院議員の著書、闇権力の執行人が文庫本になっている。解説を「私たちを罠に嵌めた人々」という題の解説を佐藤優氏が書いている。

日本の外交についての所論が大半であるが、民営化の問題についての分析も所々に見られるので紹介したい。

文庫本の70ページには、次のような記述がある。「平成17年(2005年)8がつ8にち、小泉総理は参院での郵政民営化法案否決を受けて衆院を解散、9月11日に総選挙が行われた。」

「選挙後の9月28日、衆議院本会議で各党の代表質問が行われた。このとき連立を組む与党自民党と公明党は、選挙で国民の支持を得たと公言した。しかし、本当に選挙結果が民営を正確に反映しているのだろうか。仔細に分析してみると意外な事実に行き当たる。小選挙区での得票総数は、自民・公明が3350万票にたいして、民主・共産・社民・新党・無所属は3450万票。郵政民営化の是非を争点とした選挙結果は、反対票が100万票も多かったことになる。」と。小選挙区の当選者の数と、投票数に大きな開きがあると指摘している。「自民党・公明党が選挙結果で民意を得たとして強引に突き進んでいくとしたら、日本国家は、進む道を誤るかもしれない」とも述べている。地方は、小泉改革に批判の声を上げているとの選挙結果も指摘している。

112ページには、確信犯の暴走という小節があり、9月11日の衆議院総選挙に触れ、参議院で郵政民営化の法案が否決されたのは、民主主義の根幹に関わる問題があったからだと述べている。「郵政民営化のスケジュールはすでに始まっていた。まず郵政公社としてスタートし、4年後に中間報告を出して検討するという約束になっていたのだ。政府が国民に対して行った約束を守るのは民主主義の大原則だ。ところが、小泉総理は二年が経過したこの時期に郵政民営化法案を提出してきた。国民に対する約束をあからさまに反故にした話ではあるのだが、小泉総理の暴走を黙認した国会議員の責任も大きい。」

小泉総理が、喫緊の問題として国民生活に影響のない郵政民営化をなぜ急いだのかは、その理由が定かではないとしているが、暴走は間違いないと書いた上で、郵政民営化が根本的に大きな問題を抱えているとしている。

「郵政民営化の大きな改革分野として巷間言われているのが、「公務員である郵便局の職員を民間人にすれば税金が浮く」という論理だ。しかし、現在約27万人の郵便局職員全員を民間人にして、一体税金がいくら浮くというのかー。答えはゼロ円だ。郵便局の職員は2チュ4000億円を自前で集め、その中から自分たちの給与を出している。税金など一円も使っていないのだ。ところが、国民の多くはこのことを知らない。公務員というイメージが先行するので、小泉総理のパフォーマンスに騙されてしまったのだ。もっと言えば、当事者の政府が郵便局の実情をきちんと伝えようとしていなかったのだから、これはもう確信犯といってもいいだろう。」と書いている。

同書は、かつて権力の中枢にいた政治家が、新自由主義の「改革」の嵐のなかで失脚して、逮捕拘留の経験を経て、土着の政治家としての視線で、日本の闇の権力について書いた本である。官僚支配の本質について、外務省や日露の交渉の問題を通じて浮き彫りにしているばかりではなく、日本の国力の低下についても言及する憂国の書ともなっている。

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