構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

« Structural destruction | トップページ | Submarine base »

Fake Privitization 63

 民営化されてから始めて、日本郵政会社が、民営化後六ヶ月間の決算を発表した。ゆうちょ銀行が好業績だったとして、連結最終利益は民営化前の計画を28・9%上回る2772億円となった。郵便局会社は、最終利益は計画比7割減のたったの46億円という惨々たるものである。しかも、従来であれば、年間を通しては2兆円台の利益が出ていた空、半期で一兆円という数字が考えられるが、これがわずかにさ3000億弱におちこんでしまった。納税額を差し引いても収縮していることが考えられる。計画を三割も上回る数字というのは、その計画自体があまり意味のない計画であったことを暴露するようなものである。

 収益を分社化された郵便、ちょきん、保険の会社からの手数料収入に依存する郵便局会社の構造は当初から問題視されていたが、早くも懸念が現実となった。小さな規模の郵便局会社がつぶれかねないという懸念があり、その全国維持は、国会決議によって担保されているに過ぎない。

 ゆうちょ銀行は債券相場の上昇で、国債を中心とした資金運用で安定的に収益を稼ぎ、最終利益は計画比17・0%増の1521億円となったとしているが、官から民へというスローガンで民営化したはずであるが、国債からの収入で利益が上がったというのは全くの皮肉な現象である。最近になって、官から民ではなく、国内から外国へ資金を流すような動きがあるが、サブプライムローン問題がある中で、ようやく本音が見えてきたとの見方もある。いずれ、自分たちのところに落ちてくると豪語したアメリカのはげたか金融資本の発言が、ニューヨークの経済新聞が報道したことが思い出される。郵便事業会社もゆうメール(冊子小包)の取り扱いが好調だったことなどから、同41・6%増の694億円を計上したとするが、もともと冊子小包を自由化したことに問題があり、民間各社においても利益部門とはなっていないので、むしろ、雑誌などは、郵便事業に任せたほうが得策だとする考え方もある。アメリカなどでは、いまも独占対象の分野である。民営化後は発送代行会社などの設立が期待されたが、そうした施策は行われず、競争相手でもある佐川急便などが、郵便局の配達ネットワークを活用して発送代行を大規模に行っており、その結果が、収益の改善に寄与しているものと考えられる。日本通運のペリカン便との統合が喧伝されているが、民の不良業務の民営化された郵便事業におっつけるものではないかとの見方もある。

 憂慮されるのは、かんぽ生命保険もの保険の新規契約が落ち込み、計画比5・0%減の76億円にとどまった。その内容は深刻であり、経営責任の問題に発展する可能性すらある。また、経営を悪化させて、格安で外国資本に売却するのもひとつの手法であるから二重に要注意の決算である。

 持ち株会社の日本郵政の西川善文社長は決算発表会見で「民営化直後の慣れないシステムや業務手続きに起因する混乱を踏まえれば、まずまずの結果だ」と自画自賛したとされるが、そもそも郵政民営化の制度設計が、金融と非金融の分離、わかりやすく云えば儲かる貯金と保険の分野を、郵便局ネットワークから切り離そうとするものであるが、それが失敗した気配である。 内実は安穏とはしていられない恐るべきもので、郵便事業会社は郵便物とゆうパック(郵便小包)の取り扱いが前年同期比2・8%の減少であり、ゆうちょ銀も米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン問題による金融市場の混乱の影響で投資信託の販売に急ブレーキがかかっている。ゆうちょ会社が販売している、投資信託の成績なども発表してほしいものである。外国資本に、国民の財産を資金として提供して、利益を上げていこうという目論見はもうすでに潰えているのが現状ではないだろうか。郵便貯金の手数料の高騰は、客離れを起こしており、毎月一兆円の資金が流出していることを明らかにすべきである。(最近に至って、毎月の状況の公表をやめているが、情報公開の観点からも問題である。)郵便局会社は、手数料が頼みの綱であるから、ゆうちょかんぽが低迷すれば、業績が計画を大きく下回る事態になることは、当初から懸念されていたことであり、特に、郵便局の運営は、その七割をゆうちょが負担していた事実を忘れてはならない。

 コンビニエンスストア大手のローソンとの提携などがまことしやかに喧伝されているが、競争力の強化にはなるはずもない。宅配の競争では、受付拠点の数が、ヤマトに比べて圧倒的に少なかったのが原因であるとされていただけで、郵政公社の時代にこの問題は解決している。実際に、ヤマトが、ローソンやその他のコンビニと独占契約を結んでいたのが、郵便事業が入り込めなかった原因であり、これについては、裁判にもなり、郵便事業が下級審ではすでに勝訴している。(上告されて係争中か)。郵便局をコンビニ化する意図は、すけてみえており、なんと郵便局会社の主要人事にコンビニ会社の労働組合の幹部を天上がりさせているが、具体的な成果はみえていない。郵政三事業の統合を求めることが必要である。

 また、西川社長は株式上場と売却を予定通り進める旨記者会見で発言しているようであるが、現在、株式売却凍結法案が、参議院を通過してしかも衆議院で継続審議になっているときに、そうした発言を行うのは、議会制民主主義の根幹に挑戦する発言であり、国会軽視と批判されるべきものである。そもそも、刺客選挙での解散総選挙の脅迫を背景に成立した郵政民営化であり、国民の総意を反映していなかった。勇気のない政治家と、政治宣伝に狂奔した国民に対する情報操作で行われた民営化であった。

 公社形態のままであれば、納付金も納税額を上回っていたことが考えられ、急迫する財政事情の改善にも寄与していない。後期高齢者医療制度が、廃止法案が出る中で、国民の自助努力の制度としての簡易保険制度も破壊されてしまったようである。営業成績が前年の半分であるというのは驚愕すべき惨状ではないのか。

 民営化されて、何ら改善されたものがないというのは異様である。普通の会社であれば、経営陣の総辞職を求める状況である。民営化されたとはいえ、まだ、全株式を政府が保有している。政治が判断すべきである。当ブログとしては、小泉・竹中政治が終わり、新しい福田政権は、政策転換を急速におこなうひつようがあるものとかんがえているから、当然、現在の西川社長を筆頭とする市場原理主義の民間企業からの経営陣と、財務省・金融庁などからの天下り経営者の辞任を求めるのが穏当ではないかと考える。人事を、いままでのように、特定の政治家や特定の企業のひも付きではなく、公募してみてはどうだろうか。当ブログはかねてから主張しているが、国会の承認人事とすべきことがまず必要である。

 この決算については、土地資産などの売却の数字がどこに入っていたのかなお不明なこともあり、細部については、国会のしかるべき委員会などで究明が行われることが期待される。

|

« Structural destruction | トップページ | Submarine base »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/209267/41378834

この記事へのトラックバック一覧です: Fake Privitization 63:

« Structural destruction | トップページ | Submarine base »