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Freeway

山崎養世氏の、高速道路無料論についての、ブログ記事が、同氏が主宰する山崎オンラインに掲載されている。

http://www.yamazaki-online.jp/mailmagazine/2008013.html

転載する。

「関係者様

若草の萌え出す季節になりました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

では、山崎通信をお届けいたします。皆様のご意見やご感想も是非お寄せいただければと思います。お知り合いの方にも、このメールを転送いただければ幸いです。

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____山__崎__通__信_______________2008.5.13_
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┃一般財源化は高速道路の借金返済から始めよ
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《道路最大の無駄に一言も触れない福田政権の欺瞞》

 衆議院での再議決によって、年間2兆6,000億円に上る道路財源の暫定税率が 復活し、ガソリンが値上がりしました。日本国中が値下げと値上げに振り回された1ヶ月でした。何か得るものがあったのでしょうか。

 政府の説明や多くのマスコミの論調では大いに得るものがあったことになって います。それは、福田康夫首相が道路財源を一般財源とする方針を打ち出したからだそうです。

 これまでは自動車ユーザーが払う税金は自動的に道路建設に回されていたのが、これからは財務省が査定しさらに国会の審議を経ることで、無駄な道路の建設が減ることが期待されるそうです。

《一般財源化には、ほとんど期待出来ない》
 福田首相の会見要旨を引用・要約すると、 「道路特別会計の無駄遣いの実態が明らかになり、道路整備計画の信頼性にも大きな疑問が投げかけられた。道路財源の無駄遣いについて不適切な支出を直ちにやめ、随意契約を競争的な契約に変える。

 不要な天下りを徹底排除する。すべての省庁、独立行政法人、関連公益法人に至るまで、無駄な歳出を徹底的に洗い出し、無駄ゼロに向けて見直す」とのことです。

 なるほど立派な言葉が並んでいます。しかし、政治の言葉は実行されてこそ意味を持ちます。どのようにして無駄をなくし、道路が国民の生活と経済の向上のために役に立つのでしょうか。

 福田政権の一般財源化には、ほとんど期待出来ないと断言出来ます。「無駄をなくす」と言いながら、日本の道路の最大の無駄について一言も触れていないからです。しかも、無駄どころか、国民の負担がこの瞬間にも膨張を続けているのです。

 日本の道路の最大の無駄は、高速道路です。高速道路を変えない限り、道路の無駄はなくなりません。そして、変えるのは国会と政府の責任です。

 第1に、道路のユーザーが払うガソリン税などの道路特定財源は、国と地方分合わせて年間4.9兆円に上りますが、そのほとんどが高速道路ではない一般道路の建設に流用されている事態には全く手をつけていません。

《欧米では道路財源の範囲内で建設するから原則無料》
 高速道路ユーザーからの税金を流用しておいて、そのうえに通行料金を年間2兆5,000億円も徴収しているのです。高速道路ユーザーからの二重取りと税金の流用のうえに日本の道路の建設は行われているのです。その分、一般道路に過大な財源がつぎ込まれてきました。

 米国でもドイツでも英国でも、道路財源の範囲内で高速道路も一般道路も建設するからこそ、高速道路も一般道路も通行料は原則無料なのです。もちろん、高速道路会社のような組織は最初からありません。

 日本はわざわざ高速道路のために道路公団という組織を作り、民営化とは言いながら施設を独占する高速道路会社が残りました。しかも、売れる資産もなく巨額の借金を抱えるだけの日本高速道路保有・債務返済機構(以下、高速道路機構)なる独立行政法人まで作られました。民営化によって道路公団は見事に借金をこのペーパーカンパニーに飛ばしました。借金を返せなくても高速道路会社には何の責任もなくなりました。

 ところが借金のほとんどは政府からの借り入れか政府保証がつきますから、返済出来なくなれば国民の負担になるのです。国家による借金の「飛ばし」です。民営化の美名の下に、こんな狡猾で無駄な仕組みが新たに作られました。

《道路が使われないという巨大な無駄》
 第2に、日本の高速道路は、すべて借金で建設され料金で返すという仕組みです。当然、建設費以外に巨額の金利がかさみます。この分が無駄です。借金返済はこれから破綻し、国民が損失を負担することになるでしょう。この事態も放置されています。巨額の不良債権問題です。

 現在の高速道路の借金は、ペーパーカンパニーである高速道路機構が40兆円も抱えています。驚くべきことに、確定した計画ではさらに13兆円の借金を新たに抱えます。そして、2050年までの超長期での金利支払いを合わせると総返済額は100兆円に上ると発表されています。

 さらに、国会で問題になった道路の中期計画を実行すれば、新たに20兆円もの借金を抱えることが予測されます。もちろんその分の金利返済が上乗せされます。

 現在の金利はゼロ金利時代を反映して1.5%程度にしか過ぎません。しかし、今後の世界のインフレ傾向や高齢化に伴って貯蓄率が現に急速に減少していることから考えて将来の金利上昇によって、2050年までの金利返済コストは大きく上昇するでしょう。

 第3に、道路の中期計画で示された通り、これから3,500キロの高速道路を過疎地帯に作ります。採算は今の高速道路より悪化するのは目に見えています。借金返済はさらに困難になるでしょう。

 最後ですが、最も基本的な問題は、作った高速道路が使われないという巨大な無駄です。東京湾アクアラインや本四架橋は言うまでもありません。

 国土交通省が昨年末に発表した道路の中期計画の中に、日本の高速道路の65%に当たる5,200キロは、並行して走る一般道路は混雑しているのに、通行料金が高いために使われていないと指摘しているのです。これだけの無駄と将来の巨額の損失を放置しておいて、福田首相が「無駄ゼロに向けて見直す」と言っても何の説得力もありません。

 真の無駄ゼロへの道は、日本の道路の最大の無駄である高速道路を見直すことです。

《まずは、暫定税率分を無料化の財源に》
 それは簡単なことです。まず、高速道路機構が抱える40兆円の借金を国が引き受け、返済することです。その瞬間に、高速道路は国が作ったことになり、高速自動車国道という本来の姿に戻るだけです。

 もう通行料金を取る根拠がなくなりますから、2050年の政府計画を前倒しして無料になります。そのために、年間2兆6,000億円の道路財源の暫定税率分を使うことです。一般財源化の成果として真っ先にやるべきことです。

 幸いに、40兆円の借金のうち、85%の34兆円は、既に国から借りるか保証してもらっているものです。新たな国の借金は必要ないのです。

 国民の財産であるはずの高速道路での施設運営を独占している高速道路会社はすべて廃止します。もちろん、巨額の借金を国民に最終的に押し付ける役割の高速道路機構という名のペーパーカンパニーも廃止です。

 「不要な天下りを徹底排除する。すべての省庁、独立行政法人、関連公益法人に至るまで、無駄な歳出を徹底的に洗い出し、無駄ゼロに向けて見直す」という福田総理の言葉を実現出来るでしょう。

 そして、高速道路無料化が実現すれば、道路建設の無駄は劇的に減ります。普通の先進国として、道路財源の範囲で高速道路も一般道路も作ればいいからです。

《ドライバーが“使える”道路にするのが先決》
 まず、今まで高くて使えなかった高速道路が無料になれば利用者が増えます。実際に直轄方式で全国初の無料の高速道路が出来た秋田県では、有料区間は1日3,000台しか利用者がいませんが、無料区間になると10,000台が利用しています。

 今は料金が高くて使われていない東京湾アクアラインや本四架橋や全国の5,200キロの高速道路が無料になって使われるようになれば、宝の持ち腐れが有用なインフラに変わるのです。さらに、料金所をなくし、一般道路との 出入り口を今の2倍程度に大幅増設すれば、高速道路と一般道路の接続は 大幅に改善されます。そうすれば、今ある道路システム全体が早く便利にな り、距離と時間が節約でき、輸送力が増します。

 そうなれば、今や人口減少で車も減るはずの日本で、新しい道路を作る必要性は、一部のまだ道路のネットワークが完成していないところ以外では大幅に減るはずです。つまり、将来の道路建設の必要性や需要が減るはずなのです。

 しかも、日本の道路システム自体は便利になって、新しい街づくりや経済活動は増えるでしょう。自動車ユーザーはもちろん、土建業者や不動産業者にとっても悪い話ではないのです。

 そして、首都高速や阪神高速などの大都市圏の高速道路は、混雑回避のために混雑税を徴収します。その分を全国の高速道路の維持費の一部に充てるべきです。

 もう明らかなはずです。日本の道路の本当の分かれ道は、形ばかりの一般財源化のあるなしではありません。お金と時間とガソリンが無駄で、作ったのに使われずにもったいない、高速道路を日本のドライバーが使えるものに変えるかどうかです。

 それを理解せずに、一般財源化という言葉に踊らされれば、日本の道路も国土も経済もまた長い回り道をするでしょう。その先には、経済大国の地位から滑り落ちたみじめな姿が浮かんできます。

 道路は無料という基本に返る時が来たのです。

《公共財は使用料を取るべきか否か》
 道路財源の一般財源化の意味するものを説明した政策研究大学院大学の八田達夫学長の論文が、4月22日付の日本経済新聞の経済教室欄に掲載されました。最初のポイントとして八田学長が挙げたのが、「道路建設の基本は無料公開の原則」でした。どうしてなのでしょうか。少し長いのですが、 引用します。

 「道路建設はもともと『道路無料公開の原則』によって賄うべきものである。パンやシャツのように、誰かが使えば他の人が使えなくなる財、すなわち『私的財』を消費するのに代価を払うのは当然である。

 しかし、公園や橋のように、そのサービスを誰かが使っても他の人も前と同じように使える財、すなわち『公共性(非競合性ともいう)を持つ財』に関しては使用料を取るべきでない。例えば、橋や道路で通行料を取り、車の通行量を制限すれば、せっかく建設した道路や橋も十分利用されなくなる。

 これらの公共性を待つ財は、政府が消費税や所得税などの一般財源で建設し、それを無料で『公共財』として提供することにより、最も効率的にサービスを提供出来る。こう主張するのが『道路無料公開の原則』である。

 一方、『道路の利用を無料にすれば、道路利用者は他の人々より得をするので、効率性を犠牲にしてでも、利用者に使用料を課税すべきだ』という主張が『利用者負担の原則』であり、これが道路特定財源の根拠となってきた。

 実は、どの公共財でも、政府による無料提供は、その利用者だけを有利にする。道路にしても、消防署にしても、政府資金による基礎医学研究の成果にしても、公共財として政府が無料で提供しているサービスが利用者に与える恩恵は、利用者以外の人々の税負担で可能になっている。我々が利用する実に多様な公共性のある財の費用を利用者負担にすると利用者が減り大きな無駄が発生する」

 世界の常識に即した論文を日経新聞が掲載したことはいいことです。

《妄論妄説を振り回す政治家の言いなりになってはいけない》
 しかし、日本では、公共財の代表である高速道路や橋で通行料を取ってきました。アクアラインや本四架橋は言うまでもありません。高速道路の65%に当たる5,200キロが、並行して走る一般道路は混雑しているのに利用されずに空いているのは、世界一高い通行料金を取り続けているためです。

 そろそろ日本人も目覚めていいころではないでしょうか。

 「タダより高いものはない」「道路公団民営化は成功だった」「高速道路の無駄はなくなった」「借金は返せる」といった妄論妄説を振り回す評論家や政治家の言いなりになるのをやめなければ、恐ろしい借金を背負わされるのは我々と次の世代になるのです。

 道路の財源でこれだけのエネルギーを使うのならば、高速道路を当たり前の無料の公共財にするのは今です(詳しくは、近著『道路問題を解く』(ダイヤモンド社)をご参照下さい)。

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 好評発売中です。

 『道路問題を解く-ガソリン税、道路財源、高速道路の答え』
  ダイヤモンド社 定価1,575円(税込み)
  http://g.ab0.jp/g.php/7TAQ066iVtzl1gwUeU

 この道路問題から見えてくるのは、日本全体の病んだ姿です。道路問題を解くことは、日本を立て直すことに通じます。終戦直後に作られた道路の仕組みを改めて、日本をもう一度元気にしましょう。それが出来るのは今しかないのです。

 この本が、今の日本が抱える問題について皆様が考える際のヒントになれば幸いです。また、ご意見・ご感想をお寄せいただければと思います。」

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受信: 2008年5月15日 21時07分

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