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War and Peace

日本経済新聞の主催するシンポジウムに参加するために来日していたマレーシアのマハティール前総理は、5月23日午後、東京有楽町の外国特派員協会で、記者会見を行った。その模様は、産経新聞が、ミャンマーの風水害についての論評の一部を報道したが、その全容については日本のマスコミは報道しなかった。その概要を次の通り紹介する。
 「アメリカは態度を改めるべきである。国力を世界の警察としての活動に使うことは歓迎されるにしても、大量破壊兵器がないにもかかわらず宣戦布告をして、外国を侵略して政権を変更することは、良くない。三ヶ月で、イラクの情勢は好転すると言っていたが、開戦後六年の月日が流れた。現在の状況がどんなことになっているかは推して知るべしだ。主張したいのは、昔の戦争は、敗戦国と戦勝国の間で講和条約が結ばれて、勝ち負けをはっきりさせたが、現代の戦争では、政府を武力で打倒したにしても、人民が必ずしも、受け入れないことがあるということだ。アメリカは、過去の軍事的な介入の歴史を検証すべきだ。朝鮮戦争においても、武力では圧倒したが、人民解放軍の介入があり、退却を余儀なくされたし、ヴィエトナムでもゲリラ戦で敗北した。ソマリアでも、アフガニスタンでも、勝利したわけではない。他の国の侵略をすれば、イラクで起きているように、政府をいれかえたにしても、人民は納得せず、アメリカの兵士に反撃を加えようとする。もし、アメリカが日本に軍事的に介入すれば、政府は降参するにしても、日本人の中には、ゲリラ戦を挑むものが必ず出るだろう。中国は13億人の人口があり、高等精密兵器で、多くの人口を殺傷しても、結局は意味がない兵器になる。無人の飛行機を開発して、あるいは、新型の戦車を製造して、航空母艦の新型を展開し、宇宙兵器を開発したとして、そうした精密兵器を戦場で試験することが、本当に文明国のすることであろうか。」「戦争を処罰可能な犯罪とすべきである。殺人が死刑をもって処罰しているのに、無辜の男女と子供を数千人の単位で意図的に殺す戦争がなぜ、正当な合法的なことであろうか。巨額の金が、大量殺傷の兵器の調達の為に使われている。貧乏国が高価な兵器を買うのは、国の尊厳を間違えている。独立を維持するための自衛力を保持することは必要であっても、軍拡競争に巻き込まれる必要はない。国家間の紛争を解決する手段としての戦争を処罰可能にすることを提案する。」「ミャンマーが頑なに外国からの援助を拒否しているのは、大国の援助競争などがあるからだ。事実、マレーシアなど、アセアンの国々は、下心なく地道に援助を申し出て、ミャンマーは受け入れている。点数稼ぎの援助競争のようになれば、外国からの内政干渉に敏感なだけに、頑なに拒否するだけだ。」云々。イスラム教に対する偏見に対しては、舌鋒鋭い反論を行った。マハティール前総理は、5月1日から、インターネットでブログを開設した。(http://www.chedet.com)一月も経たないうちに百万を超える読者があった由。独立運動を指導し、マレーディレンマという、反英の自叙伝の出版の継続をやめ、通貨危機に際しては、欧米からの投機に敢然と対峙して、マレーシア金融の崩壊を救った哲人政治家である。昨年は一時入院したとの報道もあったが、80歳となりいよいよ政治哲学に磨きがかかった矍鑠たる会見であった。傾聴に値する。一挙に20万人もの国民が燃え尽きた広島と長崎の原子爆弾投下という残虐な戦争を体験している日本人が、戦争を処罰可能な犯罪とする運動を支持することを期待しているとも述べている。
 6月2日に東京青山の国連大学で開催された、デジタル社会シンポジウムにおける米国防政策会議議長兼戦略国際問題研究所所長で、元国防次官のハムレ氏の基調講演が注目された。同氏は、9.11以降の国土安全省の設立は誤りであったと指摘した。自国の安全を図るためにも広範な国際協力が行われることが肝要であると述べた。「アメリカは、一貫して法の支配を支持し、拷問に反対してきたが、この6年間は、アメリカの定評を覆すような措置をとってきた」「独善的な、単独行動主義の大国として、他の国の感性を無視するような行動であれば、(テロに対する)実効性のある国際協力は、不可能である」とも述べた。キューバのグァンタナモ基地内の収容所のこと、各地の秘密の監獄のこと、イラクのアブガレイブの恥ずべき事件についても十分に対処していないとも述べた。日米関係は、軍事的には、全く非対称であり、アメリカが圧倒的に優越した立場にあるが、もはや、親分子分の関係は適当ではなく、コンピュータの安全の問題などでは、平等な相互対応能力を向上させることが真の同盟関係になるとも述べていた。 6月3日、米大統領選の民主党候補は、モンタナ、サウスダコタ両州の予備選で、バラク・オバマ上院議員が過半数の代議員を確保した。ミドルネームが、フサインであることは周知の事実である。民主党政権下での元国防次官の内省的な発言は、大統領選挙後を占う材料である。さて、日本は、独裁帝国を隣国として、米中関係が、アメリカ内外の市場原理主義者が画策したように、経済同盟のような姿を呈してきているにせよ、人権外交が、チベットや台湾やウィグルを見捨てるような便宜的なものとなってきているにせよ、安易な拉致問題の解決などを目指さずに、たじろがず自立・自尊を保つ必要がある。小泉・竹中政治の新自由主義追従の国策を中止して、郵政民営化や、金融偏重、医療保険制度の改悪といった一連の「米営化」「属国化」を早急に見直すことが、日米友好を再構築するためにも求められている。五箇条の御誓文のうち「旧来の陋習を破り天地の公道に基づくべし」と、世界に通じる多元的な秩序創りに打って出る転換期を控えている。日本への期待は、いやましに高まってきている。

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