構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Fake Privatization 96

いわゆるグロばーリズムや、市場原理主義は世界的には完全に退潮しつつあるが、まだまだ日本の国の中では、はびこっている。しかし、竹中平蔵氏が、産経新聞に載せた記事のようにむしろ、守りに入っているし、着実に、不都合な真実が明らかにされつつある。

うかつにして見落としていた記事がある。文芸春秋8月号に掲載された、ジョセフ・スティグリッツコロンビア大学教授(2001年のノーベル経済学賞)を東谷暁氏がロンドンでインタビューした記事である。文芸春秋は保守主義の日本最大の月刊誌であり、ひとつの流れの変化を指し示すものと思う。しかも、スティグリッツ教授はアメリカ人でありながら、米国主導のグローバル化に疑問を投げかけ続けており、クリントン政権化では世界銀行の副総裁もやっていた。

まず、サブプライム問題については、既に終わったとの見方は間違いで、まだ道半ばで、アメリカ化経済は低成長、あるいはマイナス成長になる可能性も指摘する。

様様な金融商品が生まれたが、リスクを管理するはずの商品がリスクを生んでしまった、よくわからないままの米国国民は、貯蓄を失い、住宅を失った。社会的な惨事でもある。

グリーンスパンもひとりの裸の王様で、イラク戦争の影から抜け出すために、二度の減税と、低金利政策を延々と続けた。

証券化にはメリットもあるが、情報の非対称かも増大する。金融の美徳が必要だ。

小泉改革を停滞させているから、経済が落ち込んで、外国の投資家たちが引き始めたのだという議論が日本で巻き起こったが、それは間違いだ。

日本は製造業の生産性が高く、その他の分野では改善の余地があったことは確か。しかし、郵政民営化については、あの時期になぜ民営化しなくてはならないのか、理解に苦しんだ。「郵政が行っていた事業を、たとえば、アメリカのシティバンクという民間企業が請け負ったとします。シティバンクが郵政事業を行ったからといって、政府がバックに控えている郵政公社より、うまく運営できるという保障はなにもない。むしろ、シティバンクが運営すると、危険な事業に手を出してリスクが増大して、パフォーマンスが墜ちる可能性さえある。郵貯の民営化は、政治的な観点からは小泉政権にとって重大だったのかもしれませんが、経済的な側面からはあそこまで重要視する課題ではなかったでしょう。」

「その郵政民営化を主導した竹中平蔵元総務相は、この頃、日本はアメリカを見習って金融大国になるべきだと論じています。また日本は製造業にこだわるのをやめて、金融にシフトすべきだと論じる経済学者もいます。」という東谷氏の質問に対して、「私に言わせれば、ものづくりとか金融とか無理に選択する必要はないですね。(中略)製造増業の比較優位を捨てるべきではない。(後略)」 また、大田弘子経済財政担当相が、労働生産性が国際比較で低いことを指摘して、もう日本は経済で一流とはいえないと発言して話題になったが、それに対して、「そんなことはないでしょう(笑)。(中略)まだまだ、日本経済は一流である、絶えず自国の将来を批判・心配することは大事で、常にイノベーションを心がけていないと、いつの間にか負け組みになってします。」

スティグリッツ教授は、経済政策が目標とすべきは、生活の質の向上であって、GDPの数字を伸ばすことではないということを指摘する。ファーストフードと、スローフードの違いを例に挙げながら、単純な数字を上昇させることに意味がないと断ずる。

アメリカの農業政策は変えるべき。日本の場合は所得補助の農業政策。アメリカの場合は大企業向け。

食糧・エネルギー工との行方について議論した後に、政府系ファンドを巡る矛盾について指摘する。最後の節は、予防医学を徹底せよとの見出しをつけており、アメリカでは規制と市場のバランスが取れていないので規制の強化が必要で何よりも消費者を保護する必要がある。「完全な市場などというのは存在しません。経済的な行動には、社会的な側面が付きまとっていると云う事、また、経済的な関係は政治的な側面を考慮すべきであると云う事は、いまや明らかでしょう。経済学も今後50年、過去すなわち、20世紀とは異なった動きを見せることになるはずです。」との結語である。

文芸春秋が、小泉・竹中政治の痛烈な批判につながる、記事を載せたことはひとつの変化である。産経新聞などは、竹中平蔵氏のお先棒を未だに担いでいるが、理解に苦しむところであるが、市場原理主義者や、もともと根拠のない構造改革論が、日本の中でも守勢に回りつつあることは、ともあれ、水平線の向こうに朝の光が感じられることでもある。

文芸春秋は日本全国の書店で販売されている。郵政民営化を含む市場原理主義の虚妄について勉強するために一冊購入されてはいかがだろうか。(710円)

同記事についてコメントしたブログもある。http://critic5.exblog.jp/9101842/#9101842_1

ご参考まで。

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