構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

« Schock _Doctrine 5 | トップページ | Fake Privatization 129 »

Fake Privatization 128

Privatization 日本経済新聞12月26日に奇妙な?記事が二本掲載された。新自由主義の牙城ともいえるような根拠のない構造改革論を称揚した新聞が、市場原理主義を批判するような記事を掲載したのは驚きであった。

ゼミナールと題する欄で、野村総合研究所のクレジットが入っているので、日本経済新聞の意見ではないらしいが、民営化と囲みを入れて、その下に、次善の詳細な制度設計重要という見だしをつけている。

「財政危機を契機にインフラ施設の民間への売却やインフラの運営会社の民営化をした例は多い。ニュージーランドの民営化は、小泉改革における民営化の模範として引き合いに出されたが、民営化したインフラ会社を公営に戻す動きも見られるようになってきた。」と書く。

日本経済新聞は、一貫してニュージーランドの民営化路線を褒め上げて、その失敗については一切触れてこなかったからである。まったく誤った報道について反省の色が見られなかったがゆえに、民営化の潮流を批判する声が大きくなっていることを取り上げている。

「ニュージーランドでは郵政事業を分割・特殊会社化した後、1989年にオーストラリア資本の銀行に売却した。しかし、売却後にコスト削減の一環として、国内支店の4割が閉鎖され、地方部の町では預貯金を引き出せないといった事態が起きた。こうした問題に対処するため、「キウイ銀行」という国営銀行を設立している。」

日本の暗澹たる郵政民営化の将来を見て取ることが出来るし、ニュージーランドの首相が日本の総理大臣訪問のときにニュージーランドの民営化した会社のポストを指差してもう使われていないと揶揄したことがあったが、ゆうちょ銀行と民営化する意味がアメリカの資本に売り渡すことを狙ったか、国民資産を市場原理主義のカジノに参加させることが明白であるだけに、ニュージーランドの民営化政治の失敗がもっと早く伝えられてしかるべきであった。日本経済新聞は、社説では民営化路線を未だに墨守しているのが現実であり、野村総合研究所という新聞社以外の分析による記事にしても珍しいことである。

水道の民営化の陰謀の失敗例についても記述している。

「フランスのパリ市では百年以上にわたり民間企業が担ってきた水道事業を10年までに公営化することを発表している。パリ市では,ヴェオリアの子会社がセーヌ右岸の、スエズの子会社が左岸の配水と料金徴収業務を行い、浄水事業は第三セクターが担ってきた。しかし、1990年ごろから水道料金が二倍に値上げされ、受託企業に不透明な会計処理が発覚したことが公営に戻す契機となった」と書くが、正確ではない。水道事業の民営化も世界的に市場原理主義者が陰謀として行ってきたことであり、世界的に惨状を呈している。有名な、日本の大阪の娯楽産業の会社を買収したフランスのビヴェンディが、よーローっぱの各地で水道民営化を手がけたことについては言及していない。ビベンディ社の総帥は、市場原理主義の寵児であったが、追放にあっていることにも言及したいない。ドイツにおいて、郵政民営化を強力に推進した、(おせっかいなことに日本の郵政民営化をすべ氏などと、来日して官邸会議で講演会を開催した)ドイツポストのツムヴィンケル前総裁などは、外国送金の違法で逮捕されたことについても言及がないが、ヨーロッパにおける民営化見直しの一環である。

「ニュージーランドでは、国内の支店網を維持するという前提で民間に売却すれば、過剰な支店閉鎖は起きなかった」と書くが、日本の郵政民営化でも、国内の支店網を維持するという法的な縛りはない。ことさらに、ユニバーサルな貯金事業の提供義務と削除したのではなかったのか。

「水道料金のプライスキャップ制度を導入していれば、料金が二倍以上にはならなかっただろう。インフラの整備・運営を民間に委ねる場合、詳細な制度設計が欠かせない」と書く。恐ろしい話である。詳細な制度設計をしないままに、この国では郵政民営化が強行されたからである。もちろん、水道事業を民営化しようとする策動は微妙に行われてきたが、水道事業が日本では優れており、ボトルに入った水を飲まなくても、蛇口をひねった水が飲めるという高いサービス水準にあり、パリ市と比較するのは、日本の水道管傾斜をあしざまにするものである。

「日本は厳しい財政事情に加え、インフラの運営人材の確保や技術水準の向上などの綿花も、民間企業の活用が不可欠だ」と書くが、厳しい財政事情だから郵政を民営化して株をうっぱらって財政当局の失政の穴埋めをしようとした背景が読み取れるが、郵政事業はずっと黒字の経営を続けており、しかも職員の給与に至るまで税金で補填をしたことはなかったから、まったく不当な議論である。技術水準なども、むしろ市中銀行よりも郵便局のシステムの方が先進的であった事にも触れていない。

しかし、結語として「公が適切に民を制御する統治の仕組みを探る必要がある」と書くのは至当である。残念ながら、政治が劣化しており、郵政民営化後一年が経ち、上げ潮ならぬ経済の引き潮の中で、まったくタイミングの悪い民営化で、制御する統治の仕組みがないのが現在の国政の状況ではなかろうか。

民営化された、インフラ事業を公営に戻すことをさい公営化というらしい。日本でも郵政ばかりではなく、道路や、医療、年金、諸々のインフラ組織を再公営化してほしいものである。民営化・私物化の潮流を批判する声は世界的に日増しに大きくなっているのだから。

なお、ニュージーランドでは、郵政事業が三社に分割され、二社は売却され郵便会社のみが公的機関として存続させられたが、国営のキウイ銀行が設立され、郵便会社の傘下に入れている。(ゆうちょ銀行やかんぽ生命を公社化して、日本郵政の持ち株会社を公社化してその参加に入れるようなものであるが、つまりは元の郵政公社に戻すことにならないだろうか。)フランスのパリの水道事業は、オー・ど・パリ(パリの水)を公社化して、浄水、配水、料金徴収を一体管理する事業体に再編成している。端的に言えば、今、日本がやっているビジネスモデルにしただけの話である。

|

« Schock _Doctrine 5 | トップページ | Fake Privatization 129 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/209267/43576028

この記事へのトラックバック一覧です: Fake Privatization 128:

« Schock _Doctrine 5 | トップページ | Fake Privatization 129 »