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Conservation

出版ダイジェストという出版社三社(晶文社、農文協、ミネルヴァ書房)が連合して毎月三回発行される読書家向けのミニ新聞がある。ほとんどの記事は、書評であるが、一面は、時事評論となっている。さて、元旦号は、「小は大を兼ねる」日本的転換で危機を希望に転じるという、農文協「増刊 現代農業」編集部の署名の入った記事が掲載されている。

要旨は、現在の危機が「100年に一度」の危機であれば、不安におののくだけでなく100年単位で歴史を見直すことが必要である。

100年前に、日本、朝鮮、中国の農村を旅した米国人のF H  キング(土壌物理学者)が、東アジア農業の自給力と永続性に驚嘆したが、思想史家の渡辺京二氏が、キングの著書(戦時下の昭和19年に東亜4千年の農民として邦訳)について、増刊 現代農業の2009年2月号に以下のように述べている。「キングは土壌から作物を育てる養分を流出するにま化せ、代わりに大量の化学肥料を投与して産出を維持するアメリカ農業との対比において、水を活用し、生活の生み出す廃物を土壌に還元することによって、永続的な小作を可能にしてきた東アジアの農業の特性を高く評価した。」「古代メソポタミアの事跡を思い返すまでもなく、人類が農業を営んだ土地はやがて土壌が枯渇して荒廃に帰す場合が多かった。(中略)しかも東アジアの農業は長期に持続しただけでなく、それによって稠密な人口を維持してきた実績があった」「キングは自然に適応し、自然に過大な負荷をかけずに住む範囲で生活を成り立たせる節約の精神に出会ったのだった」

しかし、戦後日本の農政は、東アジアの歴史的な発展の方向を目指すのではなく、むしろキングが危惧した資源浪費的な米国農業に範をとり、構造政策ー多数の小規模経営を淘汰して、大規模経営中心の農業構造に再編する政策をとった。経営規模五ヘクタール以上の大規模層を目指した。1990年に2万6千戸が、2000年に4万3千戸となった。

ところが、京都大学の野田公夫氏は指摘して、5ヘクタール層が増えたといっても、1908年の水準に追いついただけだという、梶井功氏の指摘を、梶井ショックと造語している。また、三橋時雄によれば、日本近世の農業生産力の発展は経営規模の縮小を伴っていたという。江戸時代から明治にかけて農業経済規模の縮小が続き、1908年はその終点であったという。キングが驚嘆した日本農業の持久力と永続性は小さい農業だから達成されたとする。(つづく)

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