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Corrupt Postal Privatization 15

経済雑誌「財界」を発行する財界研究所、は昨年11月4日、優れた経済人、経営者に贈る平成20年度の「財界賞」「経営者賞」の選考委員会を開き、受賞者6人を決めた。財界賞には伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏が選ばれた。内閣府経済財政諮問会議の民間議員など、民間の立場から国のあり方や地方活性化を提案するなど、財界リーダーとしての積極的な取り組みが評価されたという。経営者賞には大坪文雄・パナソニック社長、前田新造・資生堂社長、似鳥昭雄・ニトリ社長、樋口武男・大和ハウス工業会長兼CEO、塚本勲・加賀電子会長の5人が選ばれた。

財界賞とは、広く日本経済を牽引した有力財界人を表彰する財界賞・経営者賞は、「経営者にも文壇の芥川賞、直木賞のような賞があるべき」との創業者・三鬼陽之助の思いから始まり、財界賞は『財界』創刊の昭和28年度に、経営者賞は昭和30年度に創設されている。

 昭和28年度の第1回財界賞には東芝で社長、会長を務めた石坂泰三氏が、昭和30年度の第1回経営者賞には日清紡績の社長、会長を務めた櫻田武氏が選ばれている。

 財界賞・経営者賞は「百万人行かずとも我行かん」「この日本国を蘇生させる」というスピリッツを持つ財界人、産業人を独自の視点で表彰してきたと言い、卓越した経営手腕と同時に、社会に資する倫理観、美意識を兼ね備えた人物を『財界』誌は今後も発掘していきたいと、月刊の同誌は書いている。

12月8日夕刻に丸の内の東京會舘で、「財界」研究所主催の受賞パーティが開催された。平成20年度の「財界賞」の受賞者は、伊藤忠の丹羽宇一郎会長であったが、注目されたのは、最初の来賓祝辞を行ったのが、オリックスの経営者である宮内義彦会長氏であった。「構造改革における大変な政治の逆風にあって、改革を進めなければならない。丹羽様をはじめ受賞された方々には本当に頭が下がります」というのが、挨拶の要旨であるが、同日の国会におけるかんぽの宿の売却問題をめぐる審議模様など眼目にもないような発言で、ようするに構造改革路線をまい進すべきだとの従来からの強硬論を繰り返すものであった。参加者のブログには、「(中略)これまでの反省がまったく見られません。頑固なところは変わっていません。」とある。乾杯の挨拶は東芝の西田社長が行った。パナソニックの大坪社長は、欠席したが、代理人の副社長が表彰状などの記念品を受け取り、挨拶は事前に収録したビデオで行った。

雑誌『財界』は、経済評論家の三鬼洋之助氏が創刊した老舗の誌であり、先述したが、財界賞が伊藤忠の丹羽会長、経営者賞はニトリの似鳥社長、大和ハウスの樋口会長、加賀電子の塚本会長、パナソニックの大坪社長、資生堂の前田社長が受賞した。乾杯の挨拶は東芝・西田社長が行った。

会場には、政商といわれる経済人やマスコミ関係者が多数つめかけ、新年の賀詞交換会ともなり、ウシオ電機の牛尾治朗氏、アイビーエム会長の北城恪太郎氏がまず目についた。味の素、メルシャン、森ビル等の主要経営者、アサヒビールの元会長、元通産次官、東京海上火災のの相談役などが出席していたという。日本郵政公社前総裁の生田正治氏も会場後方の入り口付近で歓談していた(同氏は平成18年度の特別賞を受賞している。)経済同友会の人脈の参加者が前方にたむろして、存在を誇示しているような風もあった。

いずれにしても、宮内義彦氏が、新春国会の冒頭の政治スキャンダルの渦中で最初の来賓挨拶を行うことなどは、国内政治に対する挑戦と見た者も多いと思う。大和ハウスの樋口会長のように、創業者から頂戴したという真紅のネクタイを着用して、創業者から首をしめられながら頑張るように言われているかのようだとの洒脱な挨拶もあり、自分の功績ではなく社員の働きであるという極めて日本人的な遠慮深さと謙遜を見せる挨拶も続いたが、パナソニックの社長のビデオ挨拶のように、カタカナ社名にしたことが英断のような話をした者もあった。経済界あるいは財界という閉鎖的なサークルで集会を行い、今回の財界賞の受賞者のように、経済財政諮問会議などの参加者として、この国の方向付けをしたような国士もどきの話が表彰の対象になることにはある種の錯誤が感じられた。会社の利益と国益とは必ずしも一致せず、国益を犠牲にして、私益を利することも十分ありうる。

日刊スポーツも報道したが、表彰式には、女子レスリング55キロ級で2連覇を果たした、吉田沙堀保里(26-綜合警備保障)が、花束の贈呈役と記念写真の被撮影役でで参加した。表彰状の贈呈は、審査委員会を代表して堺屋太一元経済企画庁長官が行った。

ともあれ、世界的には潮目が変わり、市場原理主義は自滅したのであるが、この国では依然として、経済界の有力者には、カルトもどきで新自由主義の経済を信奉するものが、宮内オリックス会長を含め、残党として、しかも強い影響力を持つことを誇示していることがわかる材料である。アメリカでまもなく、新自由主義の政策を厳しく批判するオバマ政権が登場して世界情勢が急速に変化していることを殊更しないような有様であることを、主賓挨拶は示したのではないだろうか。

選考過程の詳細については、同誌に詳細に掲載されているので、ご関心の向きは参照されたい。

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コメント

コメントありがとうございます。宮内氏と郵政の間には、ずいぶん深い関係があるのですね。

投稿: 森功 | 2009年1月13日 09時23分

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