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Corrupt Postal Privatization 158

ジャーナリスト町田徹氏ご本人の、日本郵政から受けた圧力、しかも国会関係での圧力に関する記事である。西川社長からの圧力をかける内容証明の郵便は、言論に対する挑戦でもあり、また、国会の権威に対する挑戦でもある。かんぽの宿疑惑の本質を突くような事件となった。

町田徹氏の記事に敬意を表すると共に、日本郵政民営化の闇に、今後は徹底的にメスが入れられることを期待する。

http://diamond.jp/series/machida/10071/が、ダイヤモンドオンラインへのリンクである。

「日本郵政の西川善文社長がフリーランスのジャーナリスト・町田徹(私本人)にかけた圧力が、一介の報道人への圧力にとどまらず、国会の権限を損ないかねない行為として政治・社会問題に発展し始めた。

 その圧力の対象が、町田徹が衆議院の総務委員会で参考人として意見陳述した際に、委員長や理事の許可の下で配布を許された「説明資料」だったからである。こうした資料は国会の慣例で、「委員限り」「門外不出」となっている。

 事態がどれほど異常なことか。衆議院の事務局に前例を問い合わせてみると、国会の長い歴史の中では、今回のような非公式資料だけでなく、公式に議事録に保存される「発言」も含めて、「その内容について、第3者(この場合は、日本郵政)が訂正や謝罪を求めた例は一件も記録にない」との回答が戻ってきた。この背景には、こうした行為を許せば、参考人として意見を陳述するのにリスクが生じ、辞退者が出て、国会の審査や調査という権限・機能が著しく損なわれかねないという事情があるとされてきた。

 一方、圧力をかけた西川氏は、財務大臣が100%株式を保有する実質国営会社の社長だ。つまり、行政の末端組織の長である。しかも、「かんぽの宿」の出来レース疑惑では、鳩山邦男総務大臣から業務改善命令を受けたばかり。この人物が神妙に反省の姿勢を見せないばかりか、逆に、行政府が立法府をないがしろにする行為ととられかねない“圧力事件”を起こしたことに、早期の撤回を求める意見だけでなく、西川氏の証人喚問を要求する意見や日本郵政社長としての資質を問う声まで強まっているという。

 松野頼久議員(民主党)は4月7日、衆議院総務委員会の質疑を淡々とスタートした。手際よく、横山邦男専務執行役が西川社長名で町田徹に対する内容証明を送付した事実を確認する滑り出しだった。これに対し、答弁を担当した日本郵政の米澤友宏執行役はいきなり、町田徹(まちだてつ)の名前を「まちだとおる」と読み間違い、準備不足ぶりを露呈した。

 そして、松野議員が、

「この資料は、各党の理事が理事会で合意をして、委員長の判断によって、委員に限り配布をした資料でございます。どうやって入手したんですか」と、3つ目の質問を口にした途端、金融庁の官僚出身の米澤氏もようやく事態の深刻さに気付いたのかもしれない。まるで、それしか言葉を知らないオウムのように、

「具体的にどこからということについては今、ちょっと手元に情報がございません」

「具体的なところは私のところにございませんので、申しわけございません」

 と、しどろもどろになったのだ。三井住友出身でこの間、数々の失態を演じてきたチーム西川の大番頭である横山専務の尻拭いに戸惑っていた面もあるだろう。やむを得ず、松野議員は調べる猶予を与え、質疑中、返答を待った。しかし、最後まで、日本郵政は資料の入手元を明らかにしようとしなかった。

 日本郵政は西川善文社長名で、在野のジャーナリスト町田徹に内容証明を送り、その言論を封じようとした。

 だが、そのことが公の場に出た途端、沈黙を決め込まざるを得ない立場に追い込まれたのは、町田徹ではなく、日本郵政だったのである。

 4月9日にも、衆議院総務委員会は臨時の参考人質疑を行なったが、日本郵政はここでも入手元について答えることができず、委員会は紛糾のうちに終わった。

 国会では、少なからぬ議員がこの問題に関心を持っているらしい。筆者にも、旧知の議員から続々と激励の電話がかかっている。誰もが、このまま日本郵政の“だんまり逃げ“を許す気はないそうだ。

 特に、西川社長の直撃弾を受けた形となった衆議院の総務委員会では、超党派の幹部会合を何度も開き、決議、証人喚問、処分などを論じている模様だ。

郵政の参考人への圧力は
「憲政の歴史に対する挑戦」

 それにしても、国会はなぜ、これほど、この問題を重視するのだろうか。一般には理解しにくいかもしれないが、そこには、国会の根幹に関わる重要なポイントがある。

 日本国憲法が第62条で、衆、参の両院に「証人」喚問をする国政調査権を認め、その細目を議院証言法で定めていることは有名だ。また、これと別に、衆、参両院は必要に応じて、政府部門だけでなく、弾力的に一般の協力を得て審理や調査を進めるための手段として、各院の規則でそれぞれ「参考人」を呼び意見陳述を受ける制度を設けている。

 2つの制度の最大の違いは、証人喚問の場合、正当な理由なく出頭や証言を拒むと刑事罰の対象になるのに対して、参考人の意見陳述はあくまでも任意の協力となっている点である。もちろん、立法府である国会が、国政に関する諸事を、国民を代表して審理・調査をするのだから、国民として最大限の協力をするのは当たり前のことである。

 とはいえ、筆者のような著述や講演を業とする者にとってさえ、委員会での意見陳述は重い神聖な行為だ。決して間違った発言の許されない緊張を強いられる場なのである。

 そうした中で、その陳述に対して、第3者が訂正だの謝罪だのを求めるようでは、参考人を引き受ける人物が激減してしまい、国会の審理・調査の機能の大幅な低下がさけられないリスクが発生してしまう。それゆえ、歴史的にみて、すべての関係者が、参考人に謝罪、訂正を求めるような行為を慎んできた経緯があるのである。

 今回の日本郵政の圧力は、「こうした憲政の歴史に対する挑戦で、看過できない」(総務委員会理事)という。しかも、国営会社の社長がそのような愚行を行うようでは、その人物の国営企業の役員どころか、職員としての資質さえ問われかねない。

 国会にとって、問題は、そうした参考人への圧力が国会の頭越しに、町田徹宛ての内容証明で直接行われたということだけではない。

 西川社長が圧力をかけようとしたのが、町田徹が総務委員会に意見陳述した際に、委員の理解に資するために提出した補足資料だった点が2番目の問題点としてあげられる。なぜならば、国会での言動において責任を問われる可能性があるのは、慣例的に、議事録に公式記録として残され、公開される「発言」に絞り込まれているからだ。しかも、こうした補足資料の配布は、陳述の補助として、各党の理事が出席する理事会で合意し、委員長が許可して初めて配布が可能となるもので、配布先は総務委員会の委員(議員)に限定されている。言い換えれば、そうした資料を、日本郵政が取得したこと自体が適正か否かを問われる問題なのだ。

 さらに言えば、西川社長が要求する謝罪・訂正の方法が、町田徹直筆の書面の日本郵政のホームページ上での公表か、あるいは町田徹が定期的に執筆している報道機関のホームページ上での訂正・謝罪文の掲載となっている点も、国会として容認できない点だ。もし仮に、国会で行われた意見陳述を訂正するのならば、それは議事録においてなされるべきものであり、日本郵政や報道機関のホームページでなされるべきものなどでは決してないからである。

 実は、町田徹としては、西川社長が内容証明で謝罪・訂正を求め、圧力をかけてきた問題の中身についてもおおいに反論したいところである。が、縷々述べてきたように、現在のところ、問題は「国会の権威への日本郵政の挑戦」という次元の政治・社会問題となっている。

 しかも、日本郵政は「本書(内容証明のこと)到達後、2週間以内に貴殿において上記の対応がとられない場合(前述した2案のいずれか)には、法的措置をとることになりますので、念のため申し添えます」などと述べている。このため、町田徹としては、その係争も視野に入れざるを得ず、現時点での言論での反論を控えざるを得ない状況となっているのが残念でならない。また、ほんの一端しか明かすことはできないが、日本郵政は筆者への内容証明に先立ち、筆者の連載記事を掲載している報道機関にも内容証明を送付していることは、町田徹としては容認できない問題だ。その内容証明が、筆者の目に触れることがないと考えたのだろうか。その書面は、これといった筆者への批判の根拠は示さず、誹謗中傷しているとしか考えられないもので、筆者に対する名誉毀損や営業妨害での責任追及の可能性も検討せざるを得ない杜撰なものである。

 さらに指摘するならば、これらの内容証明が、鳩山大臣による業務改善命令の発出が近いとされた時期になって、送付されたことの意図も勘繰らざるを得ない。広告収入の激減で訴訟抵抗力が低下している日本のメディアは、同業者がこうした内容証明を受け取ったと聞くと、途端に自己規制して記事のトーンを落とす傾向を強めているからだ。

内容証明発出を決済した
横山専務執行役の判断

 今回、衆議院の赤松政雄総務委員長から「(町田徹の記事や弁論での指摘が)痛かったのだろう」とのご指摘をいただいた。確かに、1月6日にこの問題が発覚した時点で、主要紙が社説で「民間同士が競争入札で決めたことに、大臣が口を挟むのはおかしい」などと競って日本郵政を支持する姿勢をみせていた段階から、「許認可権を持つ大臣が疑問を持っているのならば調べるのは当たり前」と一貫して事態の解明を支持してきたのは筆者だ。

 これまでに、この問題で記事を執筆した媒体は、このダイヤモンド・オンラインのほか、夕刊フジ、日経ビジネス、週刊文春など多岐に及んだ。コメントを発表した媒体となると、週刊新潮、週刊朝日、サンデー毎日、東京新聞といったプリントのメディアだけでなく、『荒川強敬のディキャッチ』『アクセス』(以上、TBSラジオ)『デリナビ』(ベイエフエム)、『新報道2001』(フジテレビ)『ニュースの深層』(CS朝日ニュースター)など放送媒体も多かった。まだ記せないが、これから報道を予定している機関もある。

 これらを通じて、「かんぽの宿」に限らず、メルパルク、三井住友カードなどを巡るいくつかの新しい疑問点も指摘してきた経緯がある。それだけに、赤松委員長が指摘する通り、日本郵政にとって、筆者が脅威であったことは事実なのかもしれない。その町田徹が内容証明を送付されたと聞かされて、総務大臣の業務改善命令という事態を冷静な目で分析できなかった報道機関があったとしても不思議はない。

 そして、松野議員の質疑の中で、日本郵政の米澤執行役が、問題の内容証明の発出の決裁を「報道関係を担当する横山専務執行役の決裁により行われたものでございます」と発言したことは重要な意味を持つのではないだろうか。

 というのは、横山氏はそもそも、西川社長が出身母体である三井住友銀行から連れてきた人物だからだ。しかも、同社長の銀行時代からの側近という。何より、鳩山大臣による業務改善命令の対象となった今回の「かんぽの宿」の不祥事で、売却先をオリックス不動産とした際の最終決裁権者でもあった。各方面ですでに報じられているが、この売却劇では、アドバイザーを選定した際の売却想定額が640億円で、その後、選ばれたアドバイザーが不動産市況の悪化で十分な譲渡価格を引き出せないとして「中止も選択肢」とする提案を示したにもかかわらず、横山氏らがわずか109億円で叩き売ろうとしたことが明らかになっている。

 このため、4月6日の参議院決算委員会では、無所属の外山斎議員が西川社長に「背任の疑いがあるのではないか。道義的責任を取ってお辞めになるべきだ」と迫る場面があった。

 翌7日の参議院総務委員会でも長谷川憲正議員(国民新党)が「高く売れるものを安く売っちゃうということであるとすれば、特別背任の疑いも出てくる。そういうものを社長に相談せずにやるなんということがあり得るのか。全くそこは理解ができない」と、やはり西川社長を問い質した。しかし、肝心の西川社長は、のらりくらりとかわすだけだった。

 さらに、以前、本コラムでも指摘したように、横山氏が、日本郵政の最高幹部のひとりとして、経営企画やグループ戦略を所管していたことも見逃せない。にもかかわらず、いまだに出身母体の三井住友銀行の社宅に住み続けているという信じ難い人物なのだ。

 そして、民営化に際して横山氏がトップをつとめる“チーム西川”は、クレジットカード業務の提携先を変更したが、このとき、あえて、それまでほとんど実績のなかった三井住友カードを抜擢している。

 この点も、3月17日の参院総務委で、長谷川憲正議員が「銀行から出向としか思えない人たちが来て、会社としての重要な案件を社長のそばで処理をしておられるという姿は、やっぱりごく常識的に見て余りまともに見えない」と追及の狼煙をあげている。

 今回、こうした様々な疑惑の直接の責任者である、横山氏が報道関係まで担当し、ジャーナリストの町田徹に内容証明を送付する決裁まで下していたという事実が明らかになった。この決裁が、国会の権威を傷つけかねない事態を招いた元凶だ。不動産、経営企画、報道と、どの分野をとっても、横山氏の判断が問題を引き起こしたことになる。

 最近、筆者が別件で取材した小泉純一郎政権時代の政府・与党幹部のひとりは、今回の一連の日本郵政の問題に言及し「(西川さん本人ではなく)西川さんが連れて行った部下が問題だ」と、西川氏ではなく、横山氏の責任が重いとの見方を披露した。

 しかし、国会の場で、その横山氏が「かんぽの宿」の売却を所管する不動産担当だったことを説明せず、「サポート役」などと言い繕って、横山氏の擁護を続けてきたのは、西川社長だ。しかも、今回の元凶となった内容証明の差出人は、西川社長本人である。本人がきちんと、その行為の問題点を整理して、国会だけでなく、筆者にも早急に謝罪すべきではないだろうか。」

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