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Corrupt Postal Privatization 141

高橋洋一容疑者が、温泉施設での置き引き事件が発生したのが、3月24日で、新聞報道が行われたのが、29日であるから間がある。起訴されたときに、おそらく検察から情報が漏れたのであろう。置き引き、万引きの類で、警察は報道発表をしないことがままあることだろうし、発表されなくても不思議ではない。今回も、同容疑者は逮捕されたわけでないようであるから、穏便にということで、対外的な報道は行われなかったことが推測される。そうであれば、ちまたで言われているような、国策捜査のような大それた話ではなく、単なる狂気の元官僚が盗みをしただけの話でしか過ぎないであろう。政治家の秘書の事件でも、これまでの政治犯罪は、身柄を確保して、調書を取るために、逮捕して拘置しているのが普通である。高橋容疑者の場合は逃亡する恐れがなかったので、逮捕しなかったとの報道であるが、逃亡する恐れがないと言うことでは、これまでの政治家の事件、元官僚の事件、政治家秘書の事件のほとんどが、自殺の恐れをのぞいて、逃亡するようなことは考えられない事件がたいそうであるが、その場合にも、検察は逮捕に踏み切っている。

さて、高橋洋一容疑者は、最近ではマスコミの寵児ととなっていた。高橋容疑者の論説を批判的に紹介している、日本経済の突破口という、副題でグローバリズムの塾縛から脱却せよとついた、東谷暁氏の新著がある。その第九章に「埋蔵金男」の経済学、とあるので、概要を紹介する。詳細は、もちろんのことであるが、4月六日付で、PHP研究所から出版されているので、税別1500円、参照願いたい。

「昨年九月には、日本の経済は年率マイナス3%の景気後退を示し、アメリカでは、ベアースターンズに続いて、ファニーメイ、フレディマックへの公的資金投入が決定し、リーマンブラザーズは破綻した。AIGは事実上国有化され、メリルリンチは、バンクオブアメリカに買収された。田原総一郎氏のように、日本の景気後退は、構造改革の停滞からくると、小泉・竹中政治の広告塔の役割の人物もいたが、世界の市場原理主義は破綻したことは、疑いようもなかった。「埋蔵金男」と呼ばれる上げ潮はの論客、つまり、高橋容疑者がいて、その「経済論を検討すれば、現在の複雑な経済政策についての問題点が鮮やかに、ただし逆説的に、浮かび上がってくるのである」。高橋容疑者は、郵政民営化の理論的根拠なるものを提供し、安倍政権では内閣参事官、上げ潮派の中川秀直議員のブレーンを務めた。高橋容疑者は、竹中のサポート役ばかりではなく、道路公団民営化のシミュレーションを作成して、水面下で猪瀬直樹氏に財政的根拠を与えるようなことも行っていたという。

92年の郵便貯金と民間銀行の金利調整の時に、高橋容疑者は関与していたらしい。松原東洋大学教授などが郵貯の金利が高いというのは間違いであったことを、十分知っていたにも関わらず、必要のない民営化の「理論」を組建てて竹中に協力している。「財政改革の経済学」には自分の手柄話のように、金利調整はすばらしかったが、金利が上昇する局面では、郵貯は逆ざやになるので、民営化をしなければならないという論理にしてある。

もっともらしい議論であるが、実は、郵政は資金の自主運用をしており、それがなかなかの成果を上げていたことが実際で、高橋容疑者の所属する理財局の方が資金運用に失敗したのではないかとも見えるから、その責任をてんとつしているかのようである。実際にも、2001年には、財務省への資金預託義務はなくなり、全面的な自主運用に移行していた。分散投資を行ってきているが、高橋容疑者は、「話を極端から極端に飛ばしているだけで、中間的な可能性を全く考慮していないのである。公的機関は資金運用をしてはならず、その資金運用は国債に限られるという議論は、おかしかったので、後で放棄することになる。」

高橋容疑者の危うい「理論」は見事に、日本郵政を破壊した。当初の計画を全く達成できていない。利用者の郵便局離れを起こした。ゆうパックに至っては、回復の見込みのない赤字を出している。職員のモチベーションはさんさんたる有様である。

小泉政権のスローガンに、資金の流れが「官から民へ」というのがあったが、そのためのシミュレーションを高橋容疑者、と跡田直澄氏が2005年5月に発表しているが、特殊法人への流れが減少して企業への流れgばふえるというのだが、中央・地方政府への流れも増えることには目をつむっている。「アメリカの保険業界による郵政ネットワークの破壊と保険市場の奪取という当初の目的は、着々と成功しつつあった」。

埋蔵金男は、マンデル・フレミング理論、為替変動相場制では財政政策は全く効かないという理屈を展開して、上げ潮派の理屈を支えたが、そんなことはない、「為替レートにある程度の英rきょうを与える金融緩和策が可能なので、財政政策も効かないというわけではない。」

「長期でしか観察できない労働生産性の上昇を短期の経済政策にされたら給ったものではない。IT(情報技術)革命とM&A(企業合併・買収)によって、雇用を急減させて労働生産性の数値だけを挙げるようなことになってしまうのである。」

上げ潮派と高橋容疑者の主張する、金融緩和は、簡単なものではない。金融緩和による不況対策は、実は自国通貨の下落策であり、むかし近隣窮乏化策と呼ばれたものと同様である。

高橋容疑者は、埋蔵金を見つけ出したことは間違いない。埋蔵金は、三種類に分けられ、一が、積立金や準備金、二が、民営化などでの株式、三が、国有財産である。話は前後するが、郵政民営化による株式の売却は凍結すべきものである、政策投資銀行や商工中金の株式売却もナンセンスである。「公共斉を重視して融資すべき機関が利益を追求して株価を上げるわけにはいかない」

市場が低調になる不況期には、証券化は友好ではないと、東谷氏は指摘している。「日本政府はその中でわざわざ証券化によって国有財産を不利な条件で売却している」と述べている。かんぽの宿もこうした動きの氷山の一角でしかない。

高橋容疑者は、2008年渡辺金融担当大臣(当時が)日本の外貨準備を使ってファニーメイなどに出資してはどうかと発言したことに、同調している。危ないところだった。大損を被っているところだった。

高橋容疑者は、金融緩和だけで解決すると主張していたのが、段々と主張を変えて、「しだいに財政出動の意義を認めだし、最後は金融間をと財政出動を同時に行うと言い出す」ことにして、あげくの果てには、ヘリコプターマネーとまで、提案していた。クルーグマン教授ですら、宗旨替えをして、巨額の財政出動だけがアメリカを長期不況から救うとしている。」

東谷氏は、第九章を次のように締めくくっている。

「これまで日本で理論倒れが明らかになったインフレターゲット論を絶対の真理のように振り回してきた日本のインフレターゲット論者はどうする気だろうか。そして、高橋氏は、これからも極端な金融緩和策だけが日本を不況から脱出させると言い続けるのだろうか。埋蔵金男の経済政策は、これまで提案されてきた諸案を再説しているに過ぎないことは、だれの目にも明らかで、そこに何か独創的なアイデアや新機軸があるわけではない。(中略)ちょっとした思いつきや言い回しなど、いくらでも出てくるだろう。しかし、そんなものが、実は今の危機を救うことにはならないことを、最も技術的に理解しているのは、埋蔵金男その人なのかも知れない。」

 郵政民営化が破綻し、その四分社化などの設計図を書いたと豪語していた高橋容疑者は、政策論者としてはもう自らを破綻させていたのではないのか。置き引きが発覚して警察が捜査した時点では何とか隠せたし、また警察も普通であれば微罪であるから、発表を控えたのだろうが、起訴した段階で明るみに出たところをみると情報は検察から出たのだろう。政治犯罪ではないから、警察は高橋容疑者を逮捕はしなかった。検察から入手した読売新聞の特ダネ報道で、置き引きは明るみに出されて、高橋容疑者は破綻することとなった。天網恢々疎にして漏らさず、因果応報である。

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