構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Corrupt Postal Privatization 92

郵政事業が民営化されて、とはいっても、株式が売却されたわけではないので、すべて国民のものであるが、1年半を経過して初めて通気の決算が発表された。純利益4227億円という。NTTグループに次ぐ規模になったとして、民営化して利益が出たとして喧伝する向きがあるが、事実は逆で失敗である。分社化されているが、利益の大半は、郵貯部門の会社である、ゆうちょ銀行で、2293億円で、全体の54%である。この構造は、元々そうであり、郵便局の経費の七割が、もともと郵便貯金の事業で稼ぎ出されていた。そもそも資産の8割を国債で運用していたから、そうした成績になっているのであって、実際の所は、外国の株式など、運用していた部分については、損失を出したのではないだろうか。去年の9月に、リーマンショックがあって、世界的に市場原理主義が破綻したので、もし、竹中平蔵氏などが、主張していたように外国に郵政資産を持ち出して、運用していたりしていたら、巨額の国損になっていたことであるから、傷は浅くてすんだ、天の助けであったというのが本当のところだろう。運用委託を信託銀行や、外国証券会社に頼んでいたが、そんなところがどのくらいの損失を出しているのかも公表してもらいたいものだ‥隠してはいけない。民営化によって、情報公開度が低下している点についても検証が求められる。

2006年度の日本郵政公社の決算と比較すると、つまり、民営化前後の業績を比較すると、経常利益は、むしろ、落ちているのではないのか。あれだけ、コスト削減と称していたが、実は、経常費用は増加させたのではないだろうか。民営分社化の、分割ロスが表に出ているのではないだろうか。同ブログの読者には思い出してほしいのであるが、2007年7月10日は、日本郵政公社は、国庫納付金として、なんと9625億円を国庫に納付している。日本郵政公社法では、4年間の経営計画の中で最終年度に基準額を超えた場合には、超過分の半分を国庫納付することになっていたことは、ご高承の通りである。民営化後の今年の通期決算で、法人税などの税金を4808億円払ったことになっているが、勘ぐりで税金を払わせるために民営化したのではないかと仮定しても、長い目で、しかも、さん四年の長さで見ても、失敗したのではないか。西川氏を社長とする、民営化準備会社が発足したときに、最初の資本金が3000億でスタートしたのも異常であった。

 177兆円余もの貯金がありながら、銀行本来の業務である貸付金はわずか4兆円であるが、これまた、郵便局の仕事が、銀行である必要はないことを、実態が明らかにしたように見える。カネの流れを官から民に変えることを目指した民営化の目標自体が、元々根拠のないもので、バブル経済や、市場原理主義の虚妄を支えるためには、郵政資産の海外流出、あるいは、私物化を図る点では必要であったが、今、資金が決定的に不足しているのは、公的な部門であり、公的な部門に対する資金供給源として機能した郵便貯金の制度は、むしろ郵政公社の制度の方が優れているように見える。

 郵便事業会社と郵便局会社の収益水準は元々低く、経常利益でみると、2社合わせてもグループ全体の17%にすぎない。ゆうちょ銀行、かんぽ生命の金融2社に依存せざるを得ないのであって、郵便局の全国網が危機に瀕していることがわかる。黒字にしているのは、手数料の増減にかかっているのであって、昨年の中間決算の中で明らかになったように、特別の配慮があって初めて黒字になっているのである。郵貯と、かんぽの株式を売却するということは、郵便事業と郵便局を、野となれ山となれと、放擲することと同義である。郵便局会社に至っては、営業集鋭気の82%が、ゆうちょ銀行と、かんぽ会社からの手数料である。郵便の取り扱い数もなんと7年前より2割も減っているが、経済の落ち込みと比べても激しいのではないのか。郵便物数は、経済活動にリンクしており、大半を占めるいわゆる広告の郵便物で、中でも、金融関係の郵便物がしめるところから、それが減少しても仕方がない情勢であるが、一方では、郵便の自由化などと称して、信書法のごとく、ざる法ををつくり、郵便のユニバーサルサービスが破壊されてきているのではないだろうか。

  西川社長は、持ち株会社の日本郵政と事業会社2社を2010年度に上場を目指しているとするが、暴論である。最終的に銀行と保険は、株式を売却して政府の関与をなくして完全民営化するとの、主張であるが、暴論である。郵政民営化法が、10年以内とされているが、最早、そうした状況にはない。儲かる部門を私物化して、全国の郵便局網をはじめ公益性の高い部分を受け持っている儲からない部門を、特殊法人のまま残すように民営化法は構成されているが、そうした法律体系自体が、問題である。

 民営化後、大量の郵便物放置やかんぽの宿問題などで何度も業務改善命令を受けた。報道では、民営化の作業が忙しく、ほったらかしにされたとの話すらある本末転倒鰤である。先日は、障害者団体向け割引制度の不正利用事件で社員に逮捕者が出た。郵政省、日本郵政公社の時代を含めて、法令遵守については、郵政は厳しい伝統をもっていたとされる。一枚のはがきを盗むと懲戒免職という不文律がはたらいていたというが、内部の警察機能であった、しかも、司法警察権を持つ監察部門も民営化法では廃止している。かんぽの宿の問題や、郵便物放置や、その他の幹部の、元の銀行の社宅にすんでいる問題など、もし、監察の捜査権が維持されていればとっくの昔に、自浄作用がはたらいて、刑事告発を受けなくとも、問題の一部が解決されていたのではないのだろうか。銀行の甘い、しかも秘密主義で、ワンマンの経営体質がはいってきたようだ。ジャーナリスト町田徹氏に対する言論弾圧事件を見ても、国会の権威を平気で疎んじるようなコンプライアンスのなさを銀行経営者が持ち込んできているようだ。権力は権威を恫喝できないと言うことすら知らない企業体質になってきたようである。

 なお、西川社長が辞任すれば、併せて、社外重役を務めている、いわゆる財界人も辞任をほのめかしているという報道があるが、当ブログとしては、そうした一連の財界人と称する当代の権力者が、民主主義の基本からはずれた、代議政治を軽んじる経済・財政諮問会議などが、現在の混乱の元凶であったと考えるので、一蓮の辞任を歓迎するものである。その点からも、鳩山邦夫総務大臣は、時代の転回役となる可能性を秘めており、政治生命もかかることとなって、市場原理主義のこの国における「独裁」の幕引き役として、期待するものである。郵政民営化の聖域なき見直しは、実は、この国の真の回天のための「本丸」であることを、初めての通期決算の数字が語りかけているかのようである。

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日本郵政・西川社長続投問題に関して内閣・与党内で孤立化している鳩山総務相ですが、郵政のゆうパックと日通ペリカン便が統合するJPエクスプレスについても、その事業計画について変更・条件付き認可しかしていないにもかかわらず、日本郵政が10月1日にJPエクスプレスが....... [続きを読む]

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