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Corrupt Postal Privatization 138

ジャーナリスト町田徹氏が、ダイヤモンドオンラインに、「最後まで出来レースだった日本郵政騒動 真相拒んだ上げ潮派の圧力」という記事を掲載している。郵政民営化は完全な虚妄である。

リンク先は、http://diamond.jp/series/machida/

「「かんぽの宿」叩き売りの「出来レース」疑惑に始まった日本郵政騒動が、西川善文社長の続投を認める「出来レース」で幕を閉じようとしている。続投を拒んでいた鳩山邦夫氏に代わって総務大臣に登用された佐藤勉氏が22日、機能する見込みの乏しい経営諮問会議の新設などを盛り込んだ非公式段階の業務改善報告や生温い社内処分と引き換えに、錚々と西川続投に同意したからだ。

 ちなみに、日本郵政が公式に業務改善報告を提出したのは、この2日後の24日のこと。露骨な続投容認姿勢に、国会では早くも麻生政権の西川氏再任責任を問う声があがっている。

 鳥瞰すると、浮き上がってくるのは、小泉純一郎元首相ら上げ潮派が、4年前の郵政選挙で得た衆議院の3分の2議席という数の力を盾に、“お仲間”の西川社長の解任を阻む圧力をかけて、胆力・才覚に乏しい麻生太郎首相がこれに屈したという構図だ。

 水面下で解任方針を撤回し、腹心の部下の鳩山前大臣に詰め腹まで切らせておきながら、「民間企業への介入には慎重であるべきだ」と取り繕おうとした首相の態度は、指導者として情けなった。

 だが、国民から見て本当に残念なのは、民営化の美名の下で、「かんぽの宿」だけでなく、数々の出来レースや私物化、利益誘導が行われ、国民共通の資産が食い物にされたのではないかという疑惑が放置され、実態がほとんど解明されなかったことである。

 民主、社民、国民新の3野党は今後も、国会で追及を続ける構えだが、野党だけでは、立法府の限界や衆議院での議席数不足の壁に当たる恐れがある。現状では、郵政民営化が政治史の汚点として記録される懸念だけが強まっている。

 前大臣として、鳩山氏はよほど腹にすえかねているのだろう。23日午前、記者団から、佐藤新大臣が西川社長の続投にお墨付きを与えたことの感想を求められて、

「麻生太郎首相は致命的な判断ミスをされた。それがそのまま続いている」

 と、憮然とした表情で語ったという。

 対照的なのは、上げ潮派だ。菅義偉選挙対策本部副本部長は22日夜のニュース番組で、勝ち誇ったかのように

「続投は当然だ」と、コメントした。

世論調査では大半が
西川社長続投に反対

 上げ潮派は、小泉純一郎元首相らが要所で麻生首相や日本郵政の社外役員らに圧力をかけて、「西川社長の解任は、民営化の後退だ」と続投を認めるようごり押しした。こうした形振り構わぬ振る舞いによって、西川解任を阻止することに成功し、勝利の美酒に酔っているという。

 しかし、必ずしも、上げ潮派が自民党内の大勢とは言えない。もともと、「市場至上主義」的な上げ潮派に対する根強い反発があるうえ、今回の騒動で、各種の世論調査で西川続投を不当とする声が7~8割に達していることが上げ潮派批判を勢いづかせている。

 世論に押される形で、党3役のひとりである笹川尭総務会長は23日の記者会見で、西川氏が辞任せずに、報酬の30%を3ヵ月返上する減給処分を打ち出したことに触れ、「責任を認めたのなら、辞めた方がいい」と心中を吐露する場面もあった。

 また、早い段階から、小泉チルドレンの中にも、「認可権を持つ所管大臣が再任に反対しているのに、ごり押しするなんて異常だ。周囲と一緒になって行動したら、あとで恥をかくのではないか」と筆者に複雑な胸中を打ち明けて、どのような態度をとるべきか相談を持ちかける議員もいた。

 実際のところ、最後まで、出来レース色は濃かった。そもそも24日に提出される予定だった公式の業務改善報告の内容を見て、関係大臣らとの協議を開始するはずだった再任の認可を、改善報告案の打診があった22日の段階で繰り上げて与えてしまったことは、その象徴だ。

 また、佐藤大臣が西川社長の続投を容認する根拠とした再発防止策の最大の柱である「経営諮問会議」も、実効があがるかどうかがはなはだ疑問な内容だ。日本郵政は、西川社長名の佐藤大臣宛ての書簡で、経営諮問会議について、「ガバナンスの改善を図るため、『日本郵政グループ経営諮問会議』を設置し、広く意見を求め、適切に説明責任を果たしているかについての監視を求めます」としたうえで、その議長職に関して「取締役会の経営監視機能を強化するため、3ヵ月以内に取締役会長を社外取締役の中から選任することとし、同時に『日本郵政グループ経営諮問会議』の議長を兼ねることによりガバナンスの改善を図ります」と述べている。つまり、新たにポストを設ける会長が兼務するというのだ。

 この経営諮問会議について、佐藤大臣は22日、総務省内の廊下で、記者団の質問を受け、「第3者の視点を導入するもの」「基本線は了承した」などと肯定的な評価をみせた。現在の社外取締役の中から会長・議長を選んで、お茶を濁そうとする日本郵政に対して、佐藤大臣が、外部から新たな人材を招へいさせる含みをもたせるため、水面下で「3ヵ月以内」と書き加えるように主張し、日本郵政がこれに同意したという。しかし、この程度の修正で、西川続投を繰り上げて認めるなど甘いと言わざるを得まい。というのは、経営諮問会議は、西川社長の諮問機関に過ぎないからだ。

 日本郵政の社内組織と言えば、野党3党から刑事告発を受けていた西川氏の社長続投を、ろくな議論もせずに全員一致で容認した「指名委員会」や、「問題はたくさんあったが法律違反はなかった」というお手盛りの結論を出した「第3者委員会」という名称の社内調査委員会などの例で明らかなように、経営の監視など覚束ない。

業務改善計画提出の前に
西川氏続投を認可した拙速

 実効をあげたければ、国会や総務大臣が直接かつ広範に、資産売却や資本・業務提携を監視する枠組みと、徹底的に日本郵政の活動の情報開示を義務付けるルール作りが必要なことに議論の余地はないはずだ。

 また、社外役員については、そもそも、現在のメンバーには、取締役会で「かんぽの宿」の叩き売り構想を阻止できなかった責任がある。従って、新たな社外役員の登用を求めるだけでなく、現在の9人の役員にそのことの責任をとらせることも必要な措置だったはずである。本来ならば、「チーム西川」と称された4人の経営幹部を三井住友銀行グループに戻すだけでなく、西川氏や社外役員が引責辞任すべき問題だったのだ。

 繰り返すが、当初の佐藤大臣の説明によると、今回の西川社長の続投の認可は、本来、24日に予定されていた日本郵政の業務改善計画の提出を待って、その中身を検証したうえで、財務大臣や官房長官とも協議のうえ、判断をくだすはずだった案件だ。ところが、実際は、突然、22日に繰り上げて認可してしまった。こうした拙速の弊害は決して小さくない。

 第一が、佐藤大臣が公約した「かんぽの宿」問題の抜本的な再調査をいい加減に済ませた格好となったことだ。この調査は、19日の衆議院総務委員会で、国民新党の亀井久興議員の問い掛けに応じて、佐藤大臣が約束したものだった。

 ちなみに、亀井議員の再調査要求の背景には、税務上の価値が860億円もあるのに、オリックス不動産と合意した109億円という売却価格が「かんぽの宿」の売却価格として正当であると日本郵政が言い張った根拠(帳簿価格の122億円)が「減損会計を悪用したでっちあげではないか」との情報があったとされる。ところが、22日の報告案、24日の報告の両方を見る限り、日本郵政は、この帳簿価格について、従来と同じ主張を繰り返しただけだ。これは再調査ではないし、再調査をしたと言えるような報告内容も得られていない。

 麻生政権として、こうした「かんぽの宿」疑惑の根幹にかかわる問題に関する再調査の約束を反故にしたことが、疑惑を一段と深める原因となっている。

 それだけではない。ここへきて、「かんぽの宿」以外の出来レース疑惑も放置できないとの見方が一段と強まっていたのだ。

 具体的な案件は、いずれも筆者が2、3月の本コラム「『かんぽの宿』情報開示拒む郵政に、メルパルクや宅配でも不透明の指摘」「専務が三井住友銀行の社宅住まい 日本郵政に持ち上がる新疑惑」などで示唆していたものだ。

 例えば、昨年5月。クレジットカード会社の提携先変更に伴い、それまで実績のほとんどなかった三井住友カードを選んだ問題だ。郵政はそれまで、40を超すクレジットカード会社と提携していたが、シェアでみて2.5%の6位に過ぎなかったジェーシービーと同じく0.2%で18位の泡沫業者に過ぎなかった三井住友カードの2社を抜擢したのである。

 その背景として、筆者が指摘したのが、西川社長のほか、三井住友銀行の社宅に住み続いていた横山邦男専務執行役、旧住友銀行で主に営業畑を歩んだあと、住友クレジットカードサービス(現三井住友カード)で専務、副社長を務めた経歴を持つ宇野輝ゆうちょ銀行常務執行役(6月24日付けで退任)ら三井住友銀行出身者が決定に関わっており、公正な選択と言えない可能性があるのではないかという問題だった。

 この問題で、西川社長は従来の国会答弁で「当初からの選定には加わっていない。最後に報告を受けただけだ」と釈明していた。ところが、最近になって、最終決済文書が発見され、西川社長が社長印を押しており、社長本人が最終決裁者だったことが判明したのだ。このため、共産党の大門実紀史議員が23日の参議院財政金融委員会で、民主党の武内則男議員が24日の同行政監視委員会で相次いで、「虚偽答弁」と追及する場面があった。西川社長は両委員会で、「説明不足があって、結果として誤解を招いた」と釈明したうえで、「お詫びする」と頭を下げた。が、肝心の、なぜ、三井住友カードを選んだかについて、合理的な説明をできないまま、時間切れを迎えており、追及を続けなければならない状況が残されている。

日本通運との提携にも
「出来レース」疑惑

 また、これも以前に指摘した問題だが、日本郵政と日本通運の提携話にも、改めて「出来レース」疑惑を指摘する声が高まっている。

 筆者は、日本郵政が1月23日、日本通運との間で合意していた宅配便事業の統合に関して、唐突に、会社分割を取りやめて、事業譲渡によって統合するとプロセスを変更したことに触れ、「かんぽの宿」と同様の手法から、当時の鳩山大臣の認可権限が及ばない手法に変更した可能性があると指摘した。

 この案件が、(1)そもそも提携相手として、日通を選択した過程に日本郵政幹部による「出来レース」疑惑がある、(2)郵便事業会社の主力業務である「ゆうパック」を日通の赤字事業の「ペリカン便」と統合する新会社、主力業務を失う旧会社の郵便事業会社の新旧2社両方の経営が脆弱になる恐れがある―ことから、改めて問題視されている。この問題も、国会などで論争の的になる可能性が高まっているというのだ。国民新党の長谷川憲正議員も、25日の参議院総務委員会で、この問題の再調査を要求、佐藤大臣に認可の取り消しも含めて検討するとの言質を取っている。その一方で、2006年1月に民営化の準備会社だった日本郵政の代表取締役社長に就任したものの、西川氏は、現在の同グループの最大の経営目標であるグループ3社の上場へ向けたビジネスモデルの構築ができていない。郵便貯金の残高にしろ、郵便物の取扱件数にしろ、長期減少傾向から立て直しをできずにおり、2009年3月期も当初見通しを下回る決算しかできていないからだ。

 しかも、上場、将来へ向けた展望を示すため、昨年秋に公表するとしていた中期経営計画をいまだに公表すらしていない。

 三井住友銀行で頭取まで務めたことで、西川氏の経営者としての能力は過大評価されているのではないか。本来、組織のできあがった大銀行で、評価を得て出世するのと、民営化企業で新たなビジネスモデルを構築するのでは、求められる能力は必ずしも同じでないはずだ。

 加えて、見過ごせないのは、「金融は自分が一番よく知っていると考えているのだろう。西川氏は社内、グループ内の声にほとんど聞く耳を持たない」と嘆く声が内部に多いことだ。銀行預金と郵便貯金は運用実態ひとつをとっても大きく異なるし、簡易生命保険、郵便事業については、西川氏はズブの素人なのだ。こんなことで、日本郵政グループの総裁がつとまるワケがない。

 このように、様々な問題の検証をなおざりにしたまま、佐藤総務大臣が西川社長を再任したことの責任は重い。

「民間企業への介入」ではなく
総務大臣の正当な「職権」

 最後になったが、麻生首相が、水面下で鳩山前大臣に指示していた西川社長の解任方針をさっさと撤回し、筋を通そうとした鳩山氏を事実上の更迭にしておいて、「民間企業への介入には慎重であるべきだ」と取り繕おうとした問題に触れておきたい。

 この理屈は早くから、今なお、上げ潮派の総参謀的な立場にある竹中平蔵元総務大臣がテレビの討論番組などに出演し、強調していた理屈でもある。が、まったく的外れの議論である。

 まず、これまでも各方面で、何度も強調してきたが、日本郵政は民間企業ではない。一般の民間企業は商法・会社法に基づいて設置されるが、日本郵政は日本郵政株式会社法という特別法で規定される特殊会社だ。しかも、現状では、日本政府が発行済み株式のすべてを保有する政府の100%出資会社である。竹中氏らが喧伝してきた「民営化」は、正確には「株式会社化」に過ぎない。

 加えて、日本郵政株式会社法は第9条で、「取締役の選任及び解任並びに監査役の選任及び解任の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない」と規定している。換言すれば、日本郵政の取締役人事について、その適性をみて審査・同意するのは、総務大臣の「職務」なのだ。「介入」などでは、あり得ない。権限・根拠がないのに麻生首相に圧力をかけた上げ潮派こそ、「介入」批判を受けるべきだろう。

 さらに言えば、あの竹中氏の国務大臣当時の興味深い発言もある。参議院の郵政民営化に関する特別委員会の2005年8月3日の質疑で、郵政民営化関連法案が議論の俎上にのぼり、田中直紀議員が「(郵政の)経営委員会委員の任命に国会承認という条件を付け加えるべきではないか」と問い質したことがあるのだ。これに答弁したのが、当時の竹中平蔵大臣だった。

 竹中大臣は、「この経営委員会の委員もこの民営化会社の取締役(日本郵政の取締役が兼務することを指す)でございまして、そして主務大臣の認可によって適正な選任が確保されるものと考えております」と答弁している。つまり、会社が適正でない取締役を選ぼうとしたとき、それを拒むのは総務大臣の職権だと明言していたのである。

 西川氏の解任を阻むために、竹中氏が、総務大臣の職権について、立法化時点と最近で180度異なった議論を展開しているのは明らかだ。麻生首相は、鳩山解任を責められたとはいえ、立場を異にしたはずの竹中氏のこの程度の議論を「民間企業への介入には慎重であるべきだ」と借用し、取り繕おうとしたのだ。この場合、この言葉がどれほど相応しくないか明らかだろう。

 上げ潮派に圧力をかけられて、麻生政権が日本郵政の西川社長続投の容認に転じたことから、同社は、29日の株主総会後の役員会で西川社長の続投を決定する構え。現時点では、この人事を阻止する権威は見当たらない。

 しかし、縷々述べた通り、多くの疑惑が今なお解明されずに残されており、西川社長がその職にとどまる限り、国会やメディアの厳しい追及が続くのは確実。実際、民主、社民、国民新の3党は25日午後、合同で幹事長級が会する緊急集会を開き、「日本郵政西川社長の辞任を要求するとともに、麻生内閣と佐藤総務大臣の責任を追及していく」との辞任勧告決議を採択した。与党にも、西川社長続投に対する不満は根強い。こんな政治状況が続くのが確実な中で、日本郵政の経営が正常化するとは考えられない。」

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