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Kuroshio 9

気候の分類区分法でもっとも著名なものは、ドイツの気象学者ケッペンが一九二三年に植生に着目し気温と降水量の二変数から計算して分類していく方法である。米国の気象学者が水分量に着目し一九三一年に降水量と蒸発量の比、気温と蒸発量の比を変数とする気候分類法を発表したが、複雑すぎて普及していない。
 ケッペンの分類によれば、網走、札幌、函館は、冷帯湿潤のDfbとなる。北海道でも浦河はCfb、温帯の西岸海洋性気候になる。津軽海峡を渡って青森は、温帯湿潤のCfaであり、東京も同じCfaである。軽井沢のように高原地帯では冷帯湿潤に分類される場所もあるが、南大東島、与那国に至るまで同じCfaである。朝鮮半島の釜山はソウルと同じ温暖冬季小雨Cwaであるが、木浦や済州島は、Cfaであり、半島沿岸は、温暖湿潤である。平壌は冷帯冬季小雨のDwaである。金策は、冷帯湿潤のDfbである。ちなみに北京は冷帯冬季小雨のDwaで、青島は温暖冬季小雨のCwa、上海を中心とする揚子江下流域は温暖湿潤のCfaである。勿論台湾の都市もCfaである。細かに分類するまでもなく、北海道には梅雨がないと言えばはっきりするが、ほぼ全域が冷帯である。朝鮮半島沿岸部が温帯で黄海の入口に達する。支那大陸の揚子江下流域が温帯で、北京は冷帯にある。樺太も冷帯で、マガダンもクラスノヤルスクもウラジオストクも、その北はツンドラの凍土である。
 黒潮の流れがアジア大陸の当部沿岸の気候を和らげている。鹿児島の大口盆地で水を撒けばスケートリンクに早変わりしたし、日光の男体山の山麓や常陸の奥辺りには滝が氷る冷帯ばりの寒い地域もあるが、東北あたりでは、大雪は降っても夏の暑さもまた尋常ではない。時々の寒さ暑さが却って新緑と紅葉に照り映えて四季折々の変化を鮮やかにする広葉樹林帯なのである。
 さて、支那の首都は冷帯にあるが、海に面した首都は歴史にない。歴代の王朝は温帯との境の内陸部に首都を置いてきた。海は辺境であり境界であると考えるのが大陸牧畜民族の特徴なのだろう。チベットとの境界も青い海に見立てている気がする。日本では税関といい税金の徴収に関心を持っているが、支那では海関と言い、海が異界に属していると認識していることを伺わせる。確かに徴税にはそれほど熱心な様子はなく、人頭税の世界である。黒潮洗う地域の農産物は長粒米の生産が主力となっているが、冷帯では牧畜か狩猟である。日本に宦官はいなかった。去勢は牧畜民族の習慣である。豚飼育の文化が入った南西諸島でも、子豚の睾丸(ふぐり)を剃刀で切って取り出しておくことは日常的に行なわれてきたが、草原に羊群を馬で追って家族で大掛かりに移動する世界ではないし、豚を野外に放し飼いするほどではないから、豚の去勢の技術を持った勢力が主流にはなれず、牛や馬を去勢することなど思いも寄らなかった。二〇世紀の戦争で馬が必要になってようやく去勢の技術を習得したのが、実情だろう。
 小姓や稚児愛の隠微な世界も宦官の怜悧な陰謀をめぐらす世界とは異なり、人間を謳歌する側面がある。奴隷制もなかった。牧畜が入ってくれば、下草を食い尽くして森は急速に後退する。西洋人が新大陸に入って、カウリーやセコイヤの大木を切り倒し、人間の数よりも遥かに多い羊を飼い、最近では新自由主義という新型牧畜経済の囲い込みで世界を席巻した結果、地面温度は上がり、羊が死ぬのも無理もない。その果ては世界全体が砂漠化する終末論だ。日本人が世界に木を植えようと主張しても、去勢の伝統を持つ連中がさほど関心を示さないのも当然である。
 日本は古来から、外来の文化を受け入れる際に、牧畜の技術の移入を厳しく戒めてきた。米国マサチューセッツの名門牧畜農業大学出身のクラーク博士も教育者としての名声にとどまっている。カナダや中西部大平原を見るにつけ、かつてそこには特有の森があり原住民がいたと思われるのだが、今は彼らを駆逐あるいは保護区に押し込めてしまった惨状が残るだけである。
 日本は刑務所の脱獄事件がほとんどないことが特徴であるが、戦争映画を見ればわかるように、西欧人の捕虜は四六時中脱走することを考えるようだ。だが、我方は捕虜の辱めを受けずどころか取り入ろうとする情けなさも儘見られるほど、逃げない。捕虜に対する扱いも悪くはない。そもそも人間を去勢することなど考えたこともない。ナチスの暴虐など日本ではとてもとてもありえない発想である。テロリストがらみの収容所がグアンタナモを含め世界各地につくられた由であるが、人間を去勢するごとく、犬をけしかけて人間を無力化する発想はない。虎の檻か猛犬の檻に手下を放り込んだ九州の暴力団の親分の記事を読んだが、きっと日本人ではないと思う。
 黒潮の森で海洋民が神に祈るのと同様に、狩猟民もまた山の神に採集の豊饒を祈る。雪中にまんさくの花の色を見つけて喜び、満月に熊の祭りをする。鮭の帰る川を清める。大日本の黒潮の漁撈民と山の狩猟民との相性と交流は、すこぶる良いのである。(つづく)

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コメント

貴殿が古代文化・神話にこれほど造詣が深いとは承知していませんでした。小生も古代に関心があり、この文の冒頭から吉野氏著書がうかびました。最後に紹介されたのは、ご愛嬌か。

神社とウタキは明らかに同根。そして、それは、人間が生まれる神秘の場所であり、子宮と同じでしょう。

ところで、小生のブログです。最近はとんと更新ないですが。

http://blog.goo.ne.jp/urakusp

投稿: 大日有楽 | 2009年7月 8日 15時56分

小生のブログにご訪問、ありがとうございました。株の記事にコメントがありましたが、文化面で日本の信仰の欄があります。黒潮8と関係が深いと思います。神武東征も黒潮の一環かもしれませんね。

投稿: 大日有楽 | 2009年7月10日 11時23分

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