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Market Fundamentalism is Dead 26

オバマ大統領のアメリカの医療保険改革に関する演説の映像である。ホワイトハウスの提供する映像である。アメリカの医療保険制度は、世界的に見ても低水準にあり、当ブログはマイケル・ムーアの製作した映画、シッコについても紹介したことがあるし、当ブログの読者のその映画を見たこともある方がおられると思う。まずは、オバマ大統領の演説。残念ながら、日本語訳がない。日本で、医療改革と称して、日本人が国を挙げて営々として造りあげてきた国民皆保険制度を、アメリカの悪い制度におとしめようとした動きがあったが、オバマ大統領の登場により、全くの虚妄であることが明らかになった。日本の経験が、新しく医療保険制度を作ろうとするアメリカ新政権にとって参考になればと思うことである。

郵政民営化に反対して、刺客選挙で落選した、小泉龍司前衆議院議員が、ホームページでアメリカの医療改革についてわかりやすく評論しているので紹介する。http://www.ryuji.org/column/20090525_iryo.php

「(1)オバマ大統領が「国民皆保険」の導入に大きな意欲を示している。
 米国には「国民皆保険」が導入されておらず、公的な保険がカバーしているのは【1】65歳以上の高齢者と障害者向けの保険(メディケアと呼ばれる)【2】貧困層を対象とする保険(メディケイド呼ばれる)【3】低所得の家庭の子供向け補助制度【4】軍人・退役軍人医療保険制度、のみである。
 これらがカバーする範囲は、国民の約3割にとどまる。

(2)他方米国における医療保険は、民間保険会社が最も大きな収益をあげる分野である。
 公的保険が整備されていないため、多くの国民は民間保険に頼らざるを得ず、国民の6割弱、約2億人が民間医療保険に加入している。しかし、そこには大きな問題が生まれている。

  1. 民間保険会社の保険料は一律ではなく、大量の加入が見込める大企業の雇用者に対しては相対的に低く、他方、価格交渉力を持たない中小企業の従業員に対しては相対的に高く設定されている。
    つまり、低所得者の人ほど保険料が高くなるという、逆進性が生じている。そして、保険料が高いため、民間保険にも加入できない人が全国民の約6分の1・約4700万人に達している。
  2. 保険給付の範囲が限定されている。民間保険はすべての疾患をカバーするものではない。保険料負担の大きさに応じて、カバーされる疾患が限定される。
    以前本欄に掲載した映画「シッコ」の中で描かれていた、「あなたの医療保険では切断した2本の指のうち1本しか縫合できません」と言われて、1本の指の接合を諦める場面は、こうした民間保険の仕組みら生まれてくる。
  3. 保険給付に上限が課されている。保険会社は自らの収益確保のために、各疾患毎に標準的な治療パターンを作り、その範囲内でしか給付を行わない。標準的な治療でも治癒しない場合は、それを上回る治療費はすべて自らの負担となる。これが「包括払い制度」と言われる米国の医療制度の大きな特徴である。病気が治るまで医者にかかれるというのは、日本では当たり前のことだが米国では違うのだ。
    日本では国民皆保険の下でかつ、「出来高払い制度」(かかった費用についてはすべて給付する仕組み)になっているからこそ、治るまで医者にかかれるのである。(米国で平均入院日数が短いのも保険給付がおりないからである。)
  4. こうした事情に加えて、規制緩和が進んだ米国では治療費が極めて高い。盲腸の手術が200万円、出産には300万円かかる。1か月以上入院すると1000万円以上の請求をされることもまれではない。

 従って米国では大病したために、自宅を失い破産するというケースが現実に増えている。

(3)米国人は、「自分のやり方で決める」という考え方が強く、また、自ら節制しないで病気になった人の治療費を、なぜ一生懸命健康増進に努力している自分が支払わねばならないのか?という「自己責任」の考え方が、政治や社会に影響力を持つ富裕層を中心に根強くあるために、これまで国民皆保険の導入ができなかった。国民皆保険の導入は、社会主義国になることに等しいとの反対論が未だに共和党から聞こえてくる。
 しかし、事態はすでに社会問題化し、米国社会の根幹を揺るがしはじめている。だからこそ、オバマ大統領も最優先課題の一つとして取り組む意欲を示しているのだ。
 「自己責任」の国がオバマ大統領の下で、どのように変化していくのか、しっかり見届ける必要がある。」

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