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Perseverence 10

臥薪嘗胆のコラムの転載。

民営化一年の評価                  2009.1.21

逓信協会雑誌一月号の新春対談「一年経った郵政事業の民営・分割化」は、東京経済大学経済部長の田尻嗣夫氏と東洋大学経営学部教授の石井晴夫氏によるものであるが、郵政事業が国営の時代からの専門家だけに、紳士らしく控えめながら洞察は深く舌鋒は鋭い。

まず民営化のメリットとして、「明るくなった職場、接客の向上、コンプライアンスの向上、業務運営の効率化、民営化直前に1兆円を国庫納付、資金運用リスク管理の進展、ファミリー企業の整理」などを挙げているが、かなり苦しいリップサービスという感じがする。

次に問題点については、郵便局会社の収入の懸念など具体的指摘も多いが、基本姿勢についての指弾は、説得的であり傾聴に値する。例えば、経営方針に関しては、「会社の道しるべが明らかでなく、サービスのビジネスモデル、イメージ、設計図がはっきりしないため、現場では頑張っている割に不安感がだんだん高まっている」、「一片の法律の中で決められた国有・民営方式の特殊会社にすぎないのに、情報公開と説明責任の範囲を狭め、地域格差を生じさせるなど、民間企業の論理を振り回すのは国民感情として許し難い」と叱正する。

国や政治に対しても、「郵政民営化法を作っただけで、お国は日本郵政グループに丸投げ状態」、「日本郵政グループをどう方向付けていくのか考えている行政組織は存在しない」、「国家というものの使命感の劣化をみる」、「総務省はいつ郵便行政省になったのか。個人小口の金融機会を提供する郵貯、簡保に対する国の責任は、もう放棄したのか」と手厳しい。

株式売却については更に激しい。「市場の論理と公益性の調整、市場の株式消化可能性、外資規制など肝心な課題について何もガイドラインが無い」、「三百兆円近い国民の小口金融の財産を外資やハゲタカファンドにさらしていいのか」、「民営化の是非を超えて、こんな状況で上場させてはならない、ストップをかけなければならない」、「今のまま国家も日本郵政グループも無防備でいわば裸のまま資本市場へ飛び込めば、マネーゲームのおもちゃになるだけ」として売り急ぎを一大批判する。

こうした問題点の背景には、「元々、民営化・分社化の是非の問題がある」というのが、両者が真にかつ究極的に主張したい点であると読み取った。

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