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Perseverence 16

臥薪嘗胆のコラムの転載。

民営化いろいろ          2009.2.18

 国鉄、電電公社の民営化は概ね成功と評価されている。これを引き合いにして、郵政民営化も同様に必要だとする議論が見受けられる。国鉄やNTTと同じく、民営化で郵便局が無くなることはないし、サービスも良くなる云々である。はたして、こうした単純一律論は成り立つものかどうか。

先ず国鉄の場合、累積赤字が37兆円にも達し、国が金を失うと書いて国鉄だと云われたほどだったが、民営化という形を取ることで巨額債務を切り離し、サービスも確かに向上した。但し、一部路線の廃止や福知山線脱線事故など民営化の歪みを指摘する声もある。また、北海道四国九州の各社に対する経営安定基金(「三島基金」)が設けられている。

郵政と国鉄との関係は浅くない。国鉄債務処理のために、9802年度に計1兆円が郵貯特会から国の一般会計に繰り入れられたが、まだ返されていない。また、退職職員の雇用や、ぱるるプラザのように国鉄跡地の購入にも協力した。高祖氏の辞職による繰り上げ当選者はJRの元常務だったという落ちまでついている。

一方電電公社は、全国電話普及を完遂するため独占事業体だったが、その使命は1978年度に達成された。そして一層の技術革新を促進することが米英始め世界的な課題となり、その結果競争体制が導入され、競争しやすいよう民営化がなされた。NTTには電話の全国あまねくサービス提供義務があり、電話会社が加入者から徴収して納めるユニバーサルサービス基金からの補填を受けている。

郵便の場合、電話に比し技術発展産業でないことが決定的に異なる。アメリカは電話では徹底した競争を入れながらも、受け箱設置は郵政公社しか認めないなど断固として国営独占郵便を守り続けている。日本の郵便の場合、他社のおいしいとこ取りを実質上容認しているが、競争範囲を合理的かつ厳格に規制しないと経営的には苦しくなるばかりだろう。

このように、同じ手段としての民営化でも、背景は大きく相違する。国鉄の場合は「マイナスからの脱却」、NTTの場合は「技術革新への挑戦」という国家政策理念があった。産業構造の違いを無視した一律民営化礼賛論は成り立たない。郵政民営化には、一体どのような国家政策理念があるというのだろうか。

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