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Clouds over the slope

今年の一月に高橋是清の伝記が出版された。現職の内閣府府統括官による「大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清」である。中央公論新社kらの出版である。命がけで軍部と闘い、財政規律と国を護ろうとした男」という帯がついている。日露戦争の時代と、大東亜戦争の時代の彼我がの経済力の差について、「終わりに」という後書きでコメントしている。要すれば、「しかしながら、日露戦争は日清戦争後に確立した金本位制や日英同盟を背景として欧米金融市場での戦費調達が期待できた戦争であった‥それは、経済的に世界で孤立し、日満華の至言だけで闘わなければならなかった先の戦争とは全く異なるものであった‥日露戦争は経済的に敗戦国となった状況で突っ込んでいったものではなかった‥高橋是清を暗殺した後の軍部には、経済的に見た場合のそのような日露戦争との違いの認識すらなかったのが、先の戦争であった。」と書いている。

もうひとつの日露戦争という、ンスタンチン・サルキソフ山梨学院大学教授によって、ロシア側の新資料を駆使して描いた本が出版された。新発見・バルチック艦隊提督の手紙からとの副題がつけられており、日露両国の関係を全体的に見ながら、日露戦争について論述している。最近ロシアのプーチン首相が来日したこともあり、日露戦争の背景について、日本側ばかりではなくロシア側の実情についても考えることは有益である。ヤルタ体制が崩壊していく中で、日露関係を再構築するためにも、有益な一緒であると考えられる。

小村全権とウィッテ全権との間の交渉についてのロシア側の資料が語られており、小村がウィッテに対し、「賠償金に関する条項はロシア側としては受け入れられないだろう‥そのことを考慮して、日本は、賠償金支払いと言う方式をやめ、サハリン北半分をロシアに譲渡し、その代金としてしかるべき費用ロシアが支払うという方式にしたい」と語り、つまり、樺太を二分して、日本に渡す金銭は、敗戦後の賠償金ではなく、島の北半分を{ロシアが}購入する代金という形」にする提案をしたという。ウィッテは、「サハリン島全部を日本に譲渡し、1ルーブルも払わないですめば、その方がずっと都合がよいのに‥しかし、日本は同調しないだろう。なぜなら、日本としては是非とも資金を必要としているのだ」と判断していたという。

両書を読んで見ることをおすすめする‥当ブログの筆者も、それほどの読み込みはまだ行ってはいないが。財政的な負け戦が、社会不安を醸成して、世界がブロック経済化して新たな世界紛争の原因となると言う歴史の方向が描かれているように思う。日露を闘わせることで誰が利益を得たのかという大命題についても、冷徹に考究することが、自立自尊の日本を目指していくためにも、また、現在の情勢の判断の為にも有益ではないだろうか。

左の欄に、両書のリストを掲示しておいたので、ご参考まで。

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