構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

« Zero growth | トップページ | Fake Postal Privatization »

Postal illusion 5

毎日新聞の署名入りの記事である。非正規郵便職員の悲鳴という題がついている。日野行介、社会部記者の署名入りの記事である。22万人に「低迷のツケ」という見出しもつけられている。http://mainichi.jp/select/opinion/newsup/news/20090902ddn013040029000c.html

 「「郵政選挙」の05年衆院選で生まれた日本郵政グループは、中核の郵便事業会社(日本郵便)を中心に、22万人の非正規労働者を抱える。郵便配達などを担う彼らの多くは、時給1000円前後、月収十数万円のワーキングプア(働く貧困層)だ。加えて業績が低迷する中、この春、時給を引き下げられ、今は雇い止めの恐怖にもおびえる。「待遇は不満。でも失業すれば生活できない」。不安が募る現場を訪ねた。

 ■環境は悪化の一途

 建設関連企業の正社員だった42歳の男性はリストラに遭い、4年前から非正規の「期間雇用社員」として兵庫県内にある日本郵便の支店で、配達員として働く。正社員として民間企業に再就職は難しい、でも郵便局であれば非正規でも雇用が安定していると考えたからだ。

 だが、「職場環境は悪くなる一方だった」とため息をつく。非正規に課される年賀状などの販売ノルマは次第に引き上げられ、今年は1人2000枚以上の年賀状を売らなければならなかった。職員全員の販売数が支店内に張り出され、自腹を切った同僚もいた。

 契約更新前の人事評価は厳しく、4月には、多くの非正規が一方的に時給を下げられたという。男性の下げ幅は100円以上だった。正社員の賃金はそのままで、「なぜ私たちだけが」と男性は怒りがいまだに収まらない。それでも「この年齢では次の職がない」と我慢を重ねる。

 ■不安あおる新会社

 ここにきて賃金の引き下げだけでなく、職を失うという不安すら強く感じ始めてきた。日本郵便が昨年6月、日本通運との共同出資で宅配便会社「JPエクスプレス」(JPEX)を設立したことが関連する。来月から宅配便事業の「ゆうパック」をJPEXに全面的に移管し、契約更新を迎える非正規のうち8500人を新会社に移籍させる方針だ。男性は「この機会を利用して非正規を一斉に減らすのではないか」と警戒感をあらわにする。

 4月には新会社への移籍を希望するかどうかの調査が全社的に実施された。希望しなかった男性は「宅配便事業は大手業者との競争が激しい。移籍して待遇が良くなるわけでもない」と理由を挙げて苦笑した。日本郵便渉外広報部によると、当初調査で移籍を希望した非正規は予定していた8500人に届かなかった。

 といっても、今の職場に残れるという保証はない。男性は「来月以降、(契約更新するかは)分からないよ」と上司に言われている。「10月に自分がどうなっているか分からない。これまで通り生活したいだけなのに」

 ■切った上司は表彰

 昨秋以降の深刻な不況は企業の郵便利用を減らし、日本郵便の経営を直撃している。日本郵便の09年3月期決算によると、最終利益は従来の予想を3割以上下回る298億円にとどまった。業績の悪化を背景に、日本郵便本社は「業務量に応じて、人員調整することはありうる」(渉外広報部)との見解だ。非正規の雇用を積極的に守ろうという姿勢は見えない。

 非正規の雇用は支店長が権限を持ち、既に非正規を大量解雇した支店もある。岡山支店(岡山市北区)は7月31日、20人以上が契約更新されずに失業した。雇い止めされた女性(40)は上司から、「(JPEXへの)移管で今後は仕事がなくなるからだ」とだけ説明された。

 女性は2年以上にわたって宅配に従事してきたが、男性と同様、4月に時給を100円以上引き下げられた。上司の印象が悪くならないよう、「ゆうパック」の歳暮・中元を必要以上に支店から購入してきた。「それまで当たり前のように契約を更新してきたのに、まさか失業するとは」と途方に暮れる。

 4月の意向調査で、女性はJPEXへの移籍を希望する意思を示さなかった。そのことが雇い止めされた理由ではないかと思っている。雇用を打ち切った岡山支店長は前日の7月30日、業績優秀者として日本郵政の西川善文社長から表彰された。

 ■雇用の方針を示せ

 かつて正規の郵便職員として働き、今はNPO法人「ゆうせい非正規労働センター」理事長を務める稲岡次郎さん(56)は「グループが非正規労働者を『雇用の調整弁』と位置づけているのは明らかだ」と言い切る。そのうえで「業績が悪くなり、支店長は本社から経費削減を強く求められている。しかし、郵便事業は人件費以外に削減の方法がない。これからもJPEXへの業務移管を名目に、雇い止めに踏み切る支店が出るだろう」と危惧(きぐ)する。

 時給の引き下げに雇い止め。業績悪化のツケを非正規に押し付ける手法は、「派遣切り」で厳しく批判された自動車や電機メーカーと変わりがない。さらに、メーカーよりも問題なのは、日本郵政グループ全体が方針を出すことなく進めていることだ。

 先月の「政権交代選挙」は郵政民営化見直しが争点の一つになった。だが、その巨大企業グループを支える非正規労働者の処遇は論議すら起きなかった。日本郵政は、彼らの雇用を守る意思があるのかどうかを、まず示すべきだろう。」

  

|

« Zero growth | トップページ | Fake Postal Privatization »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/209267/46108345

この記事へのトラックバック一覧です: Postal illusion 5:

« Zero growth | トップページ | Fake Postal Privatization »