構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Wipe out the residue of ugly doctrine!

文化や伝統はそっちのけの経済第一主義で、日米基軸、商人国家を標榜する戦後政治を主導してきた自民党支配があっけなく崩壊した。吉田総理に始まり、その孫に当たる麻生総理で「保守本流」を担ってきた政党の運命が尽きたのも奇縁である。小選挙区制度の揺れで、単独過半数を大きく上回る480議席中の308議席を民主党が獲得して,政権交代となった。細川政権もWTOという世界経済の支配体制が作られる中で内部分裂が起きて自壊し、その後自民党は宿敵の社会党と連立するという奇策で延命されたが、今回の総選挙では五十五年体制の綻びを隠す役割を果たしながら、間隙を縫って党勢を伸ばしているかに見えた公明党が、併せて議席を減らした。 五十五年の保守合同は、東西冷戦の中で生き残りを懸けた裂帛の気迫が見られたが、その体制は、冷戦が終了して世界情勢が変化しても、惰性で引き継がれていたから、今回の総選挙の結果は、それに反発した草もうの崛起があったと見ることができる。自民党をぶっ壊すと広言した小泉総理は、保守勢力を壊すことで五十五年体制の隷従構造を延命させたが、外来の構造改悪に対する国民の不満がうねりとなって、ともあれ小泉・竹中政治を変えろとの声が朝野に充満した。

ヨーロッパでは、二度の大戦を教訓にして、戦争の鎮魂をうたいあげる共同体の設立に邁進したが、日本ではアジア太平洋経済協力など、主導権をとり一時積極的にすすめたことがあったにせよ、これまた外国の介入であえなく潰えた。大阪で開かれた首脳会議が、転換期であったように思う。大来佐武郎先生亡き後の日本代表がひ弱に見えたのは筆者だけだろうか。真珠湾で,北京の総書記が,大東亜戦争中の米中の同盟関係と連合国を誇示したのもこの頃であったから、日米関係が、経済関係を含めて,その中身の変質と方向転換が冷戦後に始まっていたにもかかわらず鈍感であったように思う。構造協議という片務的な国家改造計画の押しつけがあり、近年では改革と称する改変がほとんど、外国大使館のホーム頁で検索できる始末であった。変転する国際情勢の中で、自立した国家像を描いて、世界に友邦を求めることをせず、一国に偏った戦後の連合国支配体制を墨守してきたことが限界に達した。沖縄返還をめぐる密約問題などは、政府を挙げて存在しなかったと嘘をつくことが習い性となり、相手国の大使経験者が認めるようになり、又我が方の交渉担当の元幹部が認めても、なお否定するという滑稽な事態が生じていた。密使を務めた故若泉敬先生の自裁について顧みられるようになったのは、外務次官が師弟の関係であったからであるし、経済政策はもとより、あらゆる社会・経済制度について、国際金融資本の利権の介入が見られ、大手外資の幹部がご託宣を宣うことに対して抵抗した官僚・政治家・経済人もほとんどなかった。言語を含む文化や伝統,国体の根幹の改変についてすら画策された形跡を感じる。内政不干渉の国際間の基本原則を無視するかのように、醇風美俗はうち捨てられ、未曾有の社会格差を作りだし、劣悪な状態に国民を放擲する、市場原理主義の常套手段が「改革」として実施された。

経済関係においても、米中同盟が成立していたのではないのかと思わせるかのように、資金の外国移転が国策として後押しされた。強奪の原理主義が中東において挫折して、内戦状態のような政治闘争が繰り広げられるなかで、米国では、初の黒人大統領が就任するという変革があり、日本側でも、追従は国益にならないと率直な意見を開陳してもお咎めはあるまいとの緩やかな気分が後押ししたことも事実である。日米関係の新しい枠組みを求めて行く方が、世界の安定にも貢献する。属国としての日本、衛星国としての日本が尊敬されるはずもない。却って、足手まといの頼りない国と卑下されるばかりであったから、両国における新政権の登場は、新たな世界の国際関係の再定義の為にも、天佑とも言うべき好機である。

さてさて、民主党が主導する新政権は、自立自尊の国家像はできているだろうか。歴史的な系図からずれば、鳩山一郎の時代は、改憲再軍備を求める、伝統的な国家構築を求める路線であったが、そのお孫さんが総理になるという奇遇があっても、日本の半国家状態を是正しようという意気込みはまだ見えない。ダボス会議の分身のような経済フォーラムに出席したり、旧態依然の自由貿易論の原理主義者を抱えている党内情勢では、やがて分裂状態に陥ることが危惧される。小泉別働隊とされる政策を主張する人士も散見されるから、今回の政権交代で、民主党が為すことなく惰性を重ねれば、次回の総選挙での草もうの崛起は不満を噴出させる行動となる恐れがある。大正デモクラシーいう,欧米に伍して繁栄を謳歌した時代の後に、坂を転がるように転落していった歴史を思い出すことが教訓である。官僚脱却とのかけ声は声高であるが、財政政策一つをとっても、緊縮財政論であり、高速道路の無料化や、その他の一部の福祉政策などミクロの政策は別にして、大局では実施すれば、この国を破綻に導く可能性すらあることが指摘されている。この点、連立政権であるから、積極財政論の亀井静香金融相の活躍が大いに期待される。

エコノミックヒットマンが、日本人の中にも潜んでいるのではないかと連想して、非正規雇用で急成長した会社重役に経済政策の指南役の元閣僚が就任したことなどを聞くにつけそら恐ろしいが、市場原理主義者は新政権に秋波を送ることは間違いない。取り入ろうとし、命乞いのそぶりすらするかも知れないが、許してはならない。同床異夢の新政権であるから、分裂を助長するような策動が行われる危険もある。民意を一身に担うのであれば、少数派の気概で逆に奇策とも思える戦法で、過激に公約を進めることが、新政権の運営策として肝要である。民主党の圧勝は自民党に対する失望の裏返しに留まる。次回の総選挙が真の日本の転回点となるなどとの批判が出ないように,新政権が求心力をつけるためにも、選挙前に合意した三党合意を早急に実施して、郵政民営化の虚妄を含め市場原理主義の政策を払拭する行動を迅速に断行することを期待している。

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