構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

« Postal Corruption | トップページ | Bulletin »

Reform

 生活経済学会 第30巻 誌が送られてきた。学会大会の報告などが掲載されているが、冒頭の論文が、名古屋大学大学院経済学研究科教授の家森信善氏戸岡山大学大学院社会文化科学研究科教授の西垣鳴人氏の共同執筆による、ニュージーランド・キウィ銀行の市場競争への影響という題の論文である。副題が、わが国郵政金融事業民営化後への示唆という副題がついている。

ニュージーランドでは、郵政民営化が行われてさんさんたる状況を呈した。大失敗であった。日本では、特に日本経済新聞や一部の政治家・評論家が、ニュージーランドの市場原理主義の実験を喧伝して回ったが、その後失敗したことについては、ほおかむりのままである。ニュージーランドの政権は、キウィ銀行という国立郵政銀行部門を新たに設置して、郵政民営化の弊害を是正することに成功している。ニュージーランドでは、市場原理主義は、もう十年近く前におわっていたことになるか。小泉元首相が、ニュージーランドを訪問したときには、郵政民営化は完全に失敗していたのであるが、日本のマスコミはそれを真剣に報道しなかった。

さて、この論文の最後に、成功とは何か、とまとめているが、

1.金融サービスが失われた小規模市町村に、預金、為替、保険と行った基礎的サービスを取り戻したこと。

特に、手数料のいらない預金サービスと取り戻したこと。

2.最大の効果は、ニュージーランド全体の金融システムに、競争を取り戻したことである。

(思い起こされるのは、その昔、日本では、金融システムは、銀行協会加盟の銀行と、郵便貯金の間の競争でしかないと、外国人がよく指摘していたことだ。)(郵政民営化で、都市銀行はより寡占化され、その競争すら失われかけているのではないだろうか)

この論文は、株式売却論、すなわち郵政金融2社の株を市場に売却しなければ、そこで初めて民間と同じ自由度が得られるとする日本の郵政民営化推進論には、正統性を裏付けるものがないと指摘している。なぜなら、政府100%保有のキウィ銀行が圧倒的な国民の支持を受けているからである。

日本の郵政民営化推進論者は、株式売却で国庫を潤すとする主張であるが、ニュージーランドでは、一時の収入よりも、将来に継続する高いキャッシュフローを期待することが有益であると考えられている。当然のことである。この論文は、郵便局という、シナジー効果が発揮される「ポストバンク」の名前で、高収益モデルとして、世界的に再評価が進んでいると解説している。

更に、「既に国民に所有されている者を改めて一部の国民に所有し直してもらうというのは、かなりおかしな話」というニュージーランド財務大臣の的確な?発言を紹介している。ニュージーランド人は、株式の公開というと、外国資本による体の良い支配の手法であることを骨身にしみて体験しているからである。

人気ブログランキングへ

|

« Postal Corruption | トップページ | Bulletin »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/209267/46505585

この記事へのトラックバック一覧です: Reform:

« Postal Corruption | トップページ | Bulletin »