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Devil's cycle

3年前(2006年)に書いた書評です。ご参考まで。

「市場原理主義批判のすばらしい本が出版されました〈内橋克人著『悪夢のサイクル』(文藝春秋刊)〉

 いつか、市場原理主義とはなにか、簡潔にまとめてみようと思っておりましたが、小生が作業をする前に、すばらしい本が出版されました。それは、内橋克人著『悪夢のサイクル』(文藝春秋刊)です。10月の15日に初版が出て、11月25日には4刷になっていますので、反響が大きいようです。
 著者の内橋氏は、90年代の中ごろから、市場原理主義について、とくに規制緩和論に焦点を当てて著作を発表されていますが、その最新刊は、本当にわかりやすく書かれており、序論では図表も入れて、所得格差の広がり、正社員と派遣社員の所得格差、生活保護世帯の増加、自殺者や犯罪の増加、を端的に説明しています。
 また、1980年代に行われた、ラテンアメリカでの市場原理主義の導入が、もたらした惨状を、日本の混乱と二極分化を、世界的な視野の中で、わかりやすく解き明かそうとしています。とくに第三章は、「市場原理主義の起源」と題して、市場原理主義がどこからきたのか、その内容について解説しています。
 最近逝去した、市場原理主義の旗手であったミルトン・フリードマンの人となりについて、エピソードも交えて詳しく説明しています。安倍政権が、教育の「クーポン制」を考えているようですが、これもミルトン・フリードマン・市場原理主義の実践だということがよくわかります。フリードマンが、投機という反社会的な行動にも賛辞を送り、儲かるときに儲けるのが紳士である、と述べたというエピソードを紹介して、狂気の経済学の論理であることを簡潔に証明しています。
 次の章では、シカゴ学派の連中が、南米で行った経済実験の検証をして、第五章では、日本での、その手先(?)の学者や財界人について、批判をしています、とくに、竹中平蔵氏と宮内義彦氏に、焦点を当てています。第六章では、バブル経済の時代の検証で、バブルの崩壊は、「マネー」が逃げていった現象で、それからの失われた16年は、外資の進出、ハゲタカファンドの横行、日本企業の外資化のための環境整備のために、「規制」をどんどんはずしていった過程だと結論づけています。
 第七章では、大変恐怖を覚える書きぶりです。市場原理主義は「小さな政府を標榜しながら、実は、軍事に関しては大きな政府という形態をとります。チリ、アルゼンチンの軍事政権が、膨大な軍事費を国家予算で支出しながら自由化政策をとったことを思い出してください。その源流の国アメリカではその動きは加速しています」という書き出しです。
 イラク戦争についても触れて、その本質を、テロとの戦いに名を借りて、イスラムの教えである、「正当な労働の対価以外の報酬を受け取ってはならないという」戒律を破壊しようとするものであったと指摘しています。イスラム圈の市場化こそが、戦争の目的だったの指摘です。
 社会を二極分化させることが戦争の引き金になる、若者を戦場に送りやすくするとの論点がありますが、この点は、日本のこの国でも、ノイマンの日本の兵士と農民などのくだりを思い出させますし、また、アメリカの海兵隊などイラクで死んだ多くの若者は、製造業がなくなり、荒廃して仕事もない、アメリカの学歴の低い若者たちだとも指摘しています。「下へと吐き出された若者が、逆転を狙って戦場に志願する日がやがて日本でも来るのでしょうか」。怖い話です。
 第八章では、市場原理主義の狂信に対抗する世界的な運動も高まってきていることを分析した上で、人間が市場を使いこなす提言をしています。再規制の動き、世界的な規制強化の動き、フィンランドの例などを挙げて、企業はつぶれても人間をつぶさない社会システムをつくることを提案しています。いわば、新しい第三の道を提示しており、市場原理主義の逆張りをどう具体化するかとの提案で、しかも、その実例として、北欧諸国のエネルギー政策などを例に出して議論を進めています。アメリカのブッシュの政策ばかりを追従することのむなしさがよくわかります。
 最後の節では、児童文学者のケストナーの言葉を引用しています。「愚か者の勇気は野蛮なだけであり、勇気のない賢さは屁にもならない」と。
 本当にわかりやすく、市場原理主義の虚妄について解説し、その手先の演じた、この国日本での惨害をどのように解消していくかを提案するすぐれた著作です。規制緩和などの、郵政民営化論などの、あらゆる市場原理主義の画策と陰謀をわかりやすく解説したすぐれた文献です。おそらくベストセラーになっていくでしょう。ご一読を。(略)」

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