構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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In retrospect 7

郵政民営化で、郵政関係者が営々として積み上げてきた財産を、(もちろん、税金とは何の関係もない)をあたかも、無駄遣いか、何か悪さデモしているような印象を一部のマスコミと結託して流して、そのつみあがった財産をファンド化して儲かるような動きが見られる。

局舎賃貸で稼ぐ巨大財団法人

 郵政福祉――虎ノ門1丁目にそびえる郵政互助会琴平ビル(36ページ写真参照)に本拠を構える、総資産4491億円に及ぶ巨大財団法人だ。

 郵政福祉は、郵政互助会に郵政弘済会、郵政福祉協会が合併し05年10月に誕生している(ただし郵政弘済会の収益部門は独立。営利法人化したメルファム、アイレックス産業は特定商社となっており、05、06年の合計契約金額はおよそ480億円に上る)。

 母体になった郵政互助会は、1954年に郵政省退職者の相互扶助のために誕生し、以来、50年の歴史を持つ。『郵政互助会20年史』によると、30年以上前の75年3月末時点で貸ビル26、郵政宿舎12、厚生施設17、特定郵便局1562など多くの不動産を保有。関連法人として、日本弘信産業、弘信観光、津久井湖観光、東北工業大学などを持ち、宅地開発、ホテル運営、ゴルフ場開発、学校法人運営まで手広く事業を行っていた。郵政省OBだけでなく、最大労働組合である全逓信労働組合(現在の日本郵政公社労働組合)も理事を送り、郵政省と労組双方の天下り先として連綿と続いてきた。

 郵政互助会がなぜこのような幅広い事業展開を行えたのかといえば、郵政職員を会員とする退職金事業を行ってきたからだ。今でも、郵政福祉の主な事業は退職給付事業であり、郵政公社職員のうち84・6%が任意で加入している。加入者は20万人強。退職給付事業の総資産は4267億円に上り、財団資産の95%を占めている。

 職員から集めた掛け金の運用を郵政公社とは無関係に行っているのであれば、問題はない。しかし、前身の郵政互助会以来、郵政省と協力しながら特定局舎、宿舎などを建設・賃貸してきた歴史があり、今でも1518局もの特定局舎を持つ。全特定局1万8924局に占めるシェアは決して低くない。特に、郵便物集配を担当する規模の大きい集配局に限れば2418局のうち561局が郵政福祉の所有する局舎だ。

 郵政福祉の公表資料によると、昨年度に郵政公社から得た賃貸料収入は92・4億円である。有形固定資産935億円から利回りを推し量ると、年間10%で回っている計算だ。「局舎賃借料の水準については現在調査中だが、10%で回るということは、賃借料が高めに設定されていると考えてよいだろう」(松原委員長)。しかも、確実に郵政公社が借り受けてくれるため空き室の心配をする必要がない。リスクフリーの不動産運用事業といえる。

 松原委員会が出した結論は、この特定局舎を郵便局会社が適正な価格で買い取ることである。すでに集配特定局の買い取りについては、生田正治前総裁時代に合意している。これに加えて無集配特定局の買い取りも行い、局舎の賃借関係を完全に解消するというのが、委員会が結論づけた新方針だ。

 賃貸用局舎を売却してしまえば、10%で回っていた高収益運用先を失うことを意味する。こうなるとすでに給付総額3630億円に対し支払準備金が3377億円と、およそ250億円も穴のあいている郵政福祉の財務状況は一気に悪化する、というのが松原委員会の見立てである。

 これは、事実上の解散勧告とも読み取れる。この厳しい内容の報告書に対し、郵政福祉は「まだ一次報告の段階でありコメントできない」と、理事長取材を受け付けなかった。解散を前提とせず、保険数理差異で計算した積み立て不足は、07年3月末で30億円のマイナスにすぎないというのが郵政福祉の主張。決算には、あずさ監査法人の無限適正意見を得ていることもあり、松原委員会の厳しい指摘に対して強い抵抗感を持っているようだ」

ざっとこんな具合の中傷とも見られかねない記事だ。4500億にもなろうとする、郵政関係者が自立的に蓄積した資産を、一部の方々が、私物化しようとする陰謀と考えることもできる。ところで、松原委員会とは、どんな適正な手続きでできているのだろうか。第三者の機関でもなさそうだし、一部の外国コンサルの関係者が関与しているとも伝え聞くところであり、単なるファンド化になることが懸念される。持株会を3カイ編成して、それに既存の財産をつけかえて、信託銀行あたりが巨額の手数料を手にすることも可能だからである。また、郵政福祉については、一部の銀行に運用が任されており、その運用成績が低いために、そもそも赤字が(全体からすれば)わずかではあるが生じているのではないかとの見方もある。それでは、自作自演になりかねない。アルゼンチン債の償還ならいざ知らず、多くの財団では、仕組み債の外債の運用などで、一定の成果を出しているところもあるから、むしろ、その銀行のアドバイスが悪いことも考えられる。財団法人であり、適正な監査も行っていることであるから、松原委員会の介入はいかなる権限に基づいて行われているのか、理解に苦しむところである。

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