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Military Power

 ことしの3月25日に、米国防省が議会に提出した、『中華人民共和国の軍事力ーー2009年』と題する報告書が全訳されて、出版された。米国防省の中国の軍事力に関する公式見解である。翻訳者は、元駐イスラエル大使を務めた茂田宏氏が中心となり、その他の外務省の元大使経験者が協力して翻訳したという。

 訳出した理由は、第一に、中国の軍事力が急速に増強されていて、それがどういう増強なのか、その意味合いは何かを考える必要があり、米国の持つ情報を盛り込んだ報告書であるから価値があること、

 第二に日本が軍事大国にならないことが対アジア外交で意味を持っていたが、北朝鮮が核兵器を持ち、中国が巨大な軍事力を持つに至ったいま、日本が周辺諸国からの脅威をどう対応するかが問題である。軍事的に弱い日本が東アジアの平和と安定のために良いという時代はすぎさったことから、日本のありかたが、パラダイムチェンジを余儀なくされている。憲法、吉田ドクトリンなどが、状況の変化により妥当性を失いつつある。『日本人として中国の軍事力の増強ぶりをできるだけ詳細に承知しておくことが望ましい。

 第三に、米国は日本の同盟国であり、米国の危機意識を共有することは、共通言語を持つために重要であり、日本側としての独自の情勢判断も必要であるが、まず米側の見方を承知しておく必要があると、翻訳者一同は、端書きに述べている。

 報告書の要旨の最後の段落は、次のようにまとめられている。

 「北京は公には、中国の軍事近代化は『性質上純粋に防衛的」であり、中国の安全保障と利益を守ることだけを目的とすると主張している。過去数年間、中国は、中国の直接の領土利益を越える人民解放軍の役割と任務を明確化しはじめ、軍事開発の新しい段階を始めたが、国際社会に大使、人民解放軍の進化しつつあるドクトリンと能力の目的と目標を不明確にしたままである。それ以上に、中国は不完全な防衛支出額を公表し、その宣言された政策に合致しないと思割れる行動に従事し続けている。中国の軍事・安全保障問題での透明性は限定されており、不確実性をつくりだし、誤解や後さんの可能性をふや巣ことで安定性への危険をもたらしている。米は、地域の同盟国や友好国とともに、これらの発展を監視するために作業し、事情に即して我々の政策を調整し続ける。」と。

 この出版は、外交官OBの共同作業によって行われ、どちらかというと自費出版のような形である。むしろ、政府が率先して、行政の枠内で翻訳作業を迅速に行い、政府刊行物のような形で、国民の国際情勢の変化に対する意識を覚醒するために行われるべきものである。情けない話になりかねないが、それだけに、翻訳の労をとった関係者の努力に敬意を表するとともに、当ブログの読者にも一読を勧めたい。

 なお、翻訳の関係者のブログ、国際情報センターのリンクをご参考まで。http://blogs.yahoo.co.jp/kokusaijoho_center

 ウィキペディアの記述へのリンクは次の通り。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E6%B0%91%E8%A7%A3%E6%94%BE%E8%BB%8D

 2008年から、航空母艦を4隻の建造に着手したと有り、東アジアの軍事情勢の変化が予想される。日本は、中国の軍拡に強い懸念を有するが、戦後の体制のなかで、防衛力を米国に依存しきった状態があり、市場原理主義が蔓延して、経済的には隷属状況にあるとも言われ、むしろ米中の経済同盟が成立しているのではないかとの疑念もある中で、自立・自尊の日本をめざす歴史の転換期にあるとの認識をもち、アジアの友好国と協力して、積極的に対処することが必要である。中国の軍事力の恫喝に屈してはならないことは言うまでもない。 

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