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当ブログの読者には、奇特な方もおられ、当方が熱心に読まない月刊雑誌の記事などを丁寧にまとめて送ってくださる方もいる。今月も色々な切り抜きを頂戴したが、その内いくつかを紹介したい。

ひとつは、文藝春秋一月号の丸の内コンフィデンシャルの記事である。

日本郵政の人事の更迭があり、財界から社長になり手が、西室証券取引所所長しかいないので、元大蔵次官がなった。が、問題は出処進退で、西川続投に賛成していた奥田前経団連会長が、社外取締役に留任したのは解せないとしている。奥田氏は、取締役会でも一言も発せず、留任したが、「なぜ、奥田氏が留任したのか。民主党政権と財界双方の思惑が透けて見えてくる」と書いている。経済産業大臣はトヨタ労組の出身で、止めれば、対立が決定的になるから避けたとの味方である。最後のくだりが良い。「奥田氏をトヨタ社長に指名した豊田庄一郎名誉会長が「何で残ったの?」と首をかしげ地得ると、トヨタ関係者は証言する」と「惜しむらくは晩節を汚した」話が書いてある。

ふたつ目は、雑誌ボイスこれまた一月号の、曽野綾子氏が連載する株主様はお一人という記事である。

曽野綾子氏が日本郵政の社外重役に就任する経緯が書いてある。10月7日、八日と言うところでは、亀井大臣から電話があったこと、大臣にお出ましを願うのは礼儀に反するから、9日に金融庁に参上することなどが書いてある。

9日は、金融庁の大臣室で、胡蝶蘭を見て、大臣になるのは、胡蝶蘭をもらうことだなと、現世を覗いた話で、作家の好奇心としている。新聞記者の質問に答えて、「私は嘘を浮かないことにしている」と言うのもおもしろい。当然のことではあるが、ソンなことが少ないことを前提に小説家は考えるのだろう。外国旅行の後に返事すると回答している。10月25日の欄には、午前十時過ぎに亀井大臣から電話があり、就任予定の斎藤次郎氏と、曽野氏の自宅を訪問するとの連絡で、午後二時には、二人で来たことを書いている。第一回取締役会を28日に開くことが話されて、「パンフレット一枚渡されなかった」という。10月28日には、昼のニュースに載り、自分も分からないままに、知人から電話で、時差で眠いがさめたのは、出版社から、「日本郵政の社長になるなら、インタビュー記事の転載をキャンセル」すると言う電話だったという。ある雑誌に掲載されたインタビュー記事を、そのままそっくり三井住友銀行の社内配布のパンフレットに掲載しようとしていたが、西川善文氏が三井住友の出身なので、反乱軍に属するような作家の書いた記事は、自粛して、お目にとまらぬようにしたと、言うことらしい、と書いている。「こういう見え透いたおべっか遣いは、私の周囲には一人もいない、と書いている。「西川社長と言う方は有能でいらしたに違いないのに、こんなくだらないことに配慮する部下をお持ちだったとすれば、本当にお寂しいことだろう」と書いている。

さて、10月28日の場面であるが、日付のない辞表を準備したとある。見識である。株主総会は、世にもおもしろい総会で、それは、株主が、国だけだから、大臣ともう一人が座っていただけの光景で、数分で終わったからである。隣り合わせた、足立盛二郎が、声をかけて、只見川という曽野氏の短編小説について話があったというのは、爽快なエピソードである。文春文庫の愛という短編集に入っているが、今は絶版で、只見川のダムの取材で、豪雪地方の郵便配達の苦労話を仄聞して小説に書いたという。

「物語は一種の純愛物語である。雪深い田舎で、意地の悪い姑と二人、理髪店をやりながらひたすら出征中の夫の復員を待ちわびる若妻小雪は、ある日、夢にまで見た夫が帰ってくる知らせを受ける。あいにくの豪雪でも、粉雪はどうしても易まで夫を迎えに行きたい。こんな天候の中でも、郵便輸送用の雪上車だけは動いていた。役場の人々の温情で、小雪は、駒止峠の上で、田島側から運んできた郵便を交換して帰る郵逓隊の雪上車に便乗することを許された。それが悲劇の初めだった。」

「私はただ純愛物語を書いたつもりだったが、郵政に携わる人たちは、どんな辺境の地の過酷な自然の中でも、郵便輸送の命脈だけはタモチ続けようと苦闘してきた地方の人たちの誠実を、その短編の中によみとってくれていたのであろう。」

足立副社長の只見川の読者であって、最初の取締役会で、さっと話を差し出した見識も良いが、曽野綾子氏が社外取締役に就任したことは、日本郵政に想像力と一種の純愛物語の力を与えることは間違いない。もう、ごますりの部下をもつ有能な社長など必要がないことを歴然とさせる記事である。

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