構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Population

 原田泰・鈴木準両氏による、「人口減少社会は怖くない」(日本評論社)は、人口がこの国で減ってくるのは、むしろ国民一人一人を豊かにするものであって、高齢化社会の負担が増大することはたしかにしても、年金制度の改革や、人口減少に見合った公共投資の増加など必要な改革を行えば、むしろ、立派な国づくりが行えることを実証する好著である。外国人労働者を導入するなどというもっともらしい安易な議論があるが、これも排除している。また、増税が、実は、成長率を押し下げる方向に働くことを数字を挙げて説明しており、それよりも、年金の給付方法を改めて、日本人の精神構造にあった「親の子供に対する愛情」を重要視すればよいと結論付けている。儒教精神の点については、津田左右吉の論拠を入れて、資本主義のと相性も良いと述べている。財政赤字が増大する中で、「失敗の十年」の著者にふさわしい、大局をにらみ、諸外国の実情との比較の中で論陣を張るものであり、巷間の単に危機をあおる根拠のない議論に一線を画する著書である。

 一人当たりの生産性を高め、より多くの人が働き、しかも、女性がフルタイムで子供を産める社会状況を作り上げ、高齢化社会のコストを引き下げて、人口減少社会を、より豊かなものにするという政策提案が随所にちりばめられている。

 技術、文化は、国民の数にはよらず、国民の資質による。知的好奇心と探究心の高さと、それを賞賛する国民の雰囲気こそが文化と技術を育む。人口増加率が最も高い地域は中東であるが、そこから世界の人々が賞賛する技術や文化は生まれていないようだ。世界標準となる仕組みを「構想する力」は、知的自由から生まれるのであって、人口の多さからではない、とも述べている。

 それにしても、小泉・竹中政治以降の誤った構造改革と、イエスマンを生み出す政治は、この本のような冷静な議論を欠いていた。

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