構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

« Disaster Privatization 2 | トップページ | Disaster Privatization 4 »

Disaster Privatization 3

 郵政民営化の結果として大失策となったJPエクスプレス関連のニュースが話題となっている矢先に、国土交通省は、観光庁長官を事実上更迭し、後任にサッカーの「大分トリニータ」の運営会社、大分フットボールクラブ前社長を充てる人事を発表したとのニュースが入ってきた。観光庁長官の人事に当ブログが関心を寄せたのは、同長官の前歴が日本郵政公社理事として、国際物流を担当する理事を務めていたからである。公社総裁と民営化準備会社の社長との確執があったなかで、公社総裁と同時期、すなわち、民営化の六ヶ月前に辞任して、その後昨年10月に発足した観光庁の初代長官に就任している。

 「郵政公社時代に推し進めた国際市場進出がTNTエクスプレスとの提携頓挫により暗礁に乗り上げた後、海外拠点を多く持つ日通に白羽の矢を立てた。合併を足掛かりに国際展開を図りたいという思惑があったのだ。だから成長分野として位置付けていた宅配物流部門をあえて手放しても統合に踏み切ったのである。日本郵便にとってJPEXは「戦略会社」であるが、日通にとっては単なる「清算会社」にすぎないのだ。現実は、日通のガードは固く海外部門はじめ収益部門を手渡す気配はないため、結局国内ペリカン便に限定した譲渡とならざるを得なくなった。新会社JPEXは「小宅急便会社」としてスタートするはめになったのだ。」とする見方もあった。http://densobin.ubin-net.jp/headlin09/0303jpex.html

こんな記事(2006年6月)も残る。「日本郵政公社は26日、オランダの国際物流企業「TNT」と合意していた資本・業務提携を白紙に戻す方針を固めた。日中両国に合弁会社を置く予定だったが、提携合意後の交渉で日本合弁の出資額をめぐる溝が埋まらなかったとみられる。郵政公社の国際物流への進出は郵政民営化の「目玉」で、低収益に苦しむ郵便事業の立て直しにも貢献すると期待されたが、いきなりつまずいた。昨年10月の両社の合意では、公社とTNTは今年4月に日本で合弁会社を発足させて提携を本格始動させ、次いで中国の合弁も立ち上げる手はずだった。日本合弁では、郵政公社がTNT日本法人の過半の株を実質的に取得して傘下に収める方法が有力だった。 ところが、TNTが公社の想定を上回る多額の出資額を要求し、調整が難航した。今月中旬、TNTの最高経営責任者(CEO)のピーター・バッカー氏が来日し、生田正治郵政公社総裁と直接会って改めて意見交換したものの、条件が折り合わなかった。 07年10月の郵政民営化で生まれる新会社にとっても、事業を多角化するうえでも、国際物流事業への進出は不可欠だった。郵政公社はこのほか、全日本空輸とも国際物流で提携するが、業務拡大にはTNTとの提携が前提になっていた。  提携白紙化は郵政公社や新会社には大きな痛手となるため、新たな提携先の選定を早急に進める必要がある。」
http://www.asahi.com/business/update/0627/045.html

郵政公社時代に暗礁に乗り上げた国際物流戦略を担当して、オランダのTNTと交渉した当事者だからである。

 郵便小包、ゆうパックの事業は、郵便の法制から外され、国土交通省の所管する貨物業の範疇に入れられ、ユニバーサル義務を失い、「より柔軟なサービスが提供できる環境が整ってきている」と、JPエクスプレスが判断していたことは、先述したとおりである。

 なお、観光庁の2010年度予算概算要求に対する行政刷新会議の「事業仕分け」においては、外国からの観光客誘致を推進する訪日外国人3千万人プログラム第1期事業(要求額189億5千万円)が「半額縮減」、観光圏整備を支援する観光を核とした地域の再生・活性化事業(同32億2千万円)が「8割程度縮減」と言う、厳しい結果が出て話題になったが、事業仕分けの対象となったの観光庁の概算要求は3事業で、休暇取得・分散化促進実証事業(要求額7千万円)についても「大幅縮減」の判定結果が出ている。 訪日外国人3千万人プログラム第1期事業では、ビジット・ジャパン事業の176億8千万円が論点で、3千万人を目指すプログラムの第1期目標、2013年1500万人の実現に向けてプロモーションをきょうかするとして、現地のテレビや雑誌などを通じた広告宣伝に50億円、国際衛星放送などを通じた横断的な宣伝に41億9千万円を計上していたが、広告宣伝などのあり方に関して、「テレビ宣伝に巨額の予算を投じる必要性が理解できない」「予算拡充が訪日旅行増加につながるという事業効果について説得力のある説明やデータがない」などの疑問が挙げられた。ビジット・ジャパン事業は、日本全国の空港の待合室などで、テレビ番組が放映され、そのなかで、小泉首相(当時)が、ようこそジャパンと絶叫する内容がよく知られているが、観光庁の設置を含め、また、外国人の日本移住計画という奇妙な政策にも通じてくるような小泉・竹中政治の政治宣伝色の強い内容は、郵政民営化の際にも撮られた、テレビ、新聞などのマスコミを巨額の宣伝費で動員する手法としては、どこかに繋がるような気配である。観光客のビザの問題も残る国の国内で、「現地」と言う表現で、巨額の国費が宣伝費として外国で投入されることにも疑問が呈されたことは当然である。

 観光庁長官の人事更迭の背景について当ブログは推し量る能力はないが、市場原理主義の三大虚妄の本丸である郵政民営化の闇の解明に関心があるだけである。郵政民営化の闇の部分に、次第に光が当てられてきており、天網恢恢疎にして漏らさずとの古人の格言を思い出すばかりである。

  

 

|

« Disaster Privatization 2 | トップページ | Disaster Privatization 4 »

コメント

容易な予想通り、『JPエクスプレス』の破綻が、明らかとなりました。

西川善文・前日本郵政社長の“独断専行”によって、強引に推し進められた結果が、このザマです。

現場を、“地獄の惨状”に陥れた今回の破綻劇、西川氏の責任は、甚大極まりません。

『かんぽの宿疑惑』を含め、西川氏を国会に『証人喚問』するべきです。

投稿: 臥薪嘗胆 | 2009年12月25日 18時59分

同氏は日通との宅配提携も進めていた。しかし、ペリカンの状況がひどく、当時の公社郵便幹部が消極的だったため、西川氏にこの話を持ち込んだところ、後のチーム西川の暴走につながっていった。

投稿: 疎にして漏らさず | 2009年12月26日 07時08分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/209267/47112185

この記事へのトラックバック一覧です: Disaster Privatization 3:

« Disaster Privatization 2 | トップページ | Disaster Privatization 4 »