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Harsh Lessons

コロンビア大学教授で、ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授が、週刊ダイヤモンドの12月26日-1月2日号に掲載した記事がある。英文の全文が、年も押し迫った12月31日に、どういうわけかChina Dailyに掲載されている。http://www.chinadaily.com.cn/opinion/2009-12/31/content_9249981.htm

いずれにしても、2009年に教訓を学んだのだから、同じ過ちは繰り返してはならないが、毎年毎年同じ間違いを繰り返してきたのが日本のようにも感じる。

同教授の論説の要旨をまとめると次のようであるが、どうにも日本の政策の過ちを皮肉られているような気がして仕方がない。

“The best that can be said for 2009 is that it could have been worse, that we pulled back from the precipice on which we seemed to be perched in late 2008, and that 2010 will almost surely be better for most countries around the world. The world has also learned some valuable lessons, though at great cost both to current and future prosperity – costs that were unnecessarily high given that we should already have learned them.”

2009年を振り返って見れば、もっと悪い年になる可能性もあったが、そうはならなかったことが一番良かったことかも知れない。2008年の後半は絶体絶命の危機のように思われたがそこを踏みとどまったのだから、2010年は世界のほとんどの国で、もっと良い年になるだろう。世界は貴重な教訓を学んだ。我々が既に同じ教訓を学んでいるべきであったことを考えると、現在の繁栄と将来の繁栄に大きな犠牲を要求するような不必要に大きな代償を払って学んだことになる。

What were those lessons?

教訓とは何か。

1. Markets are not self-correcting, and without adequate regulation, they are prone to excess.

市場は、自分で修正することが出来ない。適切な規制がなければ、暴走するだけである。

アダムスミスの見えざる手など存在しなかった。銀行が私利を追求しても社会の為にはならない。株主や社債保有者の為にもならない。システム全体が崩壊するという脅しで、巨額のカネが少数者の手に渡った。銀行救済はカネをだまし取ってきた金融機関に、救済資金をまた与えてしまった。

アカウンタビリティーだの、自己責任だの、コンプライアンスだの、と論じていたが、金融機関の債務免除を求めている。盗人の追い銭の救済である。

2. There are many reasons for market failures. Too-big-to-fail financial institutions had perverse incentives: Privatized gains, socialized losses.

市場が失敗するが多くの理由がある。破綻させるには大きすぎる金融機関が歪んだインセンティブを与えられていたことである。私物化で儲かるが、社会破損をする。

ギャンブルをやって、儲ければ、利益を懐に入れて立ち去る。失敗すれば、納税者が負担して救済する。.

3. When information is imperfect, markets often do not work well – and information imperfections are central in finance。

情報が不完全な場合、市場はうまく機能しない。情報の不完全は金融の本質部分に位置している。.

4. Keynesian policies do work. Countries, like Australia, that implemented large, well-designed stimulus programs early emerged from the crisis faster。

ケインズ経済学による政策は機能するということである。オーストラリアなど、大規模で巧みに構想された景気対策をやった国は、経済危機からいち早く脱出した。

経済が後退期にあると、必ず財政が赤字になる。従来であれば、増税か歳出削減を説いてきたが、こうした政策は更に総需要を低下させ、更に信頼を低下させる。90年代に、IMFが東アジアを破壊したときの政策である。

(当ブログによれば)これまでの日本の財政政策で、均衡財政論が典型であろう。

5. There is more to monetary policy than just fighting inflation inflation. Excessive focus on inflation meant that some central banks ignored what was happening to their financial markets. The costs of mild inflation are miniscule compared to the costs imposed on economies when central banks allow asset bubbles to grow unchecked.

金融政策とは、単なるインフレ対策ばかりではない。インフレに過大な関心を注ぐあまり、一部の国の中央銀行は金融市場で起きている状況が見えなくなってしまっている。緩やかなインフレであれば、そのコストは、資産バブルを放置して経済が負担することコストと比べると微々たるものでしかない。

6. Not all innovation leads to a more efficient and productive economy – let alone a better society. Private incentives matter, and if they are not properly aligned, the result can be excessive risk taking, excessively shortsighted behavior, and distorted innovation。

すべてのイノベーションがより効率的で生産性の高い経済を生み出すわけではない。もちろん、より良い社会が生まれるわけでもない。私的なインセンティブは重要であるが、うまくちょうせいしないと、過剰なリスク志向に走り、過度に近視眼的になり、結局イノベーションが歪んでしまう。

金融工学は、イノベーションでも何でもなかった。規制や会計基準の網をかいくぐるためのやり方であった。金融改革を行うべきである。.

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コメント

明けましておめでとうございます。
【日本を守るのに右も左もない】からきました。リンク有難うございます。

今年も貴重なお話お聞かせ下さい。
本年も宜しくお願いいたします。

投稿: takesyo | 2010年1月 5日 12時19分

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