構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

« Kuroshio Culture and Tradition | トップページ | Postal Conspiracy »

Facing Wall

暮れの12月24日に、明治記念館で村上正邦先生を激励する会合があった。その会合で、「面壁」と題する俳句集が配布された。題字は、村上正邦 俳句抄 「面壁」 喜連川から熊野、そして福岡、とある。

村上正邦先生は、一年有半を喜連川の刑務所の独居房の生活の中で、俳句を詠まれている。立派な内容であるので、ネットで紹介することにした。数字をふってあるのは、俳句抄の頁である。

1 面壁の思い癒せよ冬の月

2  喜連川獄中にて

  木枯らしや男村上ここにあり

  照紅葉友の情けに泪落つ

3 駄々をこね迷いきたるか法師蝉

  迷い込む蝉の鳴き声むなしけり

  蟷螂ののぞいてをりぬ独居房

4 裂帛の気合に蝉の朝しぐれ

  釣瓶落し日に日に早き喜連川

  朝昼晩主役かはりて菊の鉢

5 ひまはりを刈って日当たりよきベンチ

  日の暮れて癒し給へと虫の声

  夏逝くや影のうつろふ白き壁

6 独居房我に生きよと蝉の声

  台風一過昔は地味を肥やしもし

  幽寂と空なる彼方秋澄めり

7 釣瓶落しあすの日を待ち生きていく

  掻き毟りあとのまつりか月嗤う

  如露の水撒けば上下に走る蟻

8 虫の音に世のえにし問ふ独居房

  どの花も大悲大慈や秋彼岸

  長き夜や寝返りすれども寝もやらず

9 音もなく頬を撫でゆく秋の風

  身に沁むや独居房外雨激し

  霧晴れて茜に染まる日は西に

10 願はくはわれに眠りを秋の夜

   夜もすがら虫の音を聞く獄の窓

   神の掌に長き夜委ね朝を待つ

11 獄の朝蜻蛉取りしは遠き日ぞ

   湿疹と我慢比べをして夜長

   夜もすがら秋風を聞く独居房

12 蟋蟀は応援歌なし我慢我慢

   開かぬ窓に都恋しや秋の風

   風吹けば一足飛びに秋彼岸

13 秋の雲くるくる変わり暮れてゆく

   蜩のおくれをとって鳴きはじむ

   菓子三日つづけて食うて秋彼岸

14  菊根分け素人なれば乱菊に

   新曲を奏づるごとくちちろ虫

   鉄格子より覗く虚空や星月夜

15  地に響く天楽の音や鉦叩

   行く秋や表情のなき森の精

   秋の夜や痒さに負けて掻く理屈

16  いちにちがやけに長くて秋の雨

   ふるさとの秋のまつりの便りきく

   苦しきことあらずと念じ布団敷く

17  十六夜や再び森の顕るる

   秋雨や森の梢は抱き合うて

   コスモスの講義うかがひ秋時雨

18  台風一過朝の梢は黄金色

   台風の爪あとのこし北へさる

   突風に倒れし菊の白さかな

19  秋の暮れひそと飯食う独居房

   月光もまた孤独なり正座せり

   獄窓よりの秋日あたたか背なに浴ぶ

20  秋の日の獄窓に差し免業日

   秋の野に四つ葉のクローバみつけたり

   空耳に声明響き秋気澄む

21  待ちに待つ仮釈の日や霧の朝

   山茶花や一日千秋待つ保釈

   城跡につはものしの枯葉掃く

22 枯葉落ち土に還りてときを待つ

   風に向きかえらむ後の更衣

   政遠きにありて秋深し

23  秋霜や天の光に地に我に

   気がつけば森の樹木も秋色に

   霙降る鉄格子の夜の痛みかな

24  帰るべき田園は荒れ秋時雨

   山帰来荒れし故郷へいざ帰らむ

   仮釈の日燦然としてもみぢかな

25 宇宙より熊野の太鼓秋晴るる

   熊野古道はまほろばの道秋の旅

     平成二十一年十一月六日 熊野本宮大社にて

   小春日を捧げて母の忌を修す

     平成二十一年十一月八日 母の十三回忌、福岡にて

27 平成二十一年十二月二十四日

以上である。

   

|

« Kuroshio Culture and Tradition | トップページ | Postal Conspiracy »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/209267/47475598

この記事へのトラックバック一覧です: Facing Wall:

« Kuroshio Culture and Tradition | トップページ | Postal Conspiracy »