構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Structural destrunction

「始まっている未来──新しい経済学は可
能か──」抜き書きがネットに掲載されていた。抜き書きは、結構労力を要するが、その分転載する。日本の財政赤字なるものの、原因が日米構造協議にあることを指摘している。

米国は、日本を収奪しようとしたのだ。日本が貧しくなってからも、なお、それを継続しようとしたが、天佑があって、リーマンショックが起きた。そして、生き馬の目を抜く連中の多くが去ったが、まだまだ、残党は東京に残っている。あるいは、上げ潮だと思い込んで、カジノ経済で、スってしまった連中かもしれないが。

http://blog.goo.ne.jp/usaken_2/e/f55fa4a4aae98d431ec0663fcb362b93

◇次に地方自治体に関するものをこの単行本より抜き書きしてみる。

◆日本の植民地化と日米構造協議(P41~P43)

宇沢

 日本の場合、占領政策のひずみが戦後六〇年以上残っている。アメリカの日
本占領の基本政策は、日本を植民地化することだった。そのために、まず官僚
を公職追放で徹底的に脅し、占領軍の意のままに動く官僚を育てる。同時に二
つの基本政策があった。一つはアメリカの自動車産業が戦争中に自らの利益を
度外視して国のために協力したという名目をつくって、戦後、日本のマーケッ
トをアメリカの自動車産業に褒美として差し出す。もう一つは農業で、日本の
農村を当時余剰農産物に困っていたアメリカとは競争できない形にする。
 ポスト・ベトナムの非常に混乱した時代を通じて、アメリカは経常赤字、財
政赤字、インフレーションの三重苦に苦しんでいたが、とくに対日貿易赤字の
解消に焦点を当てて、円安ドル高是正を迫ったのが、一九八五年のプラザ合意
でした。しかし、その後も、日本の企業は、徹底した合理化、工場の海外移転
などによって高い国際競争力を維持しつづけて、アメリカの対日貿易赤字は膨
らむ一方だった。そこでアメリカ議会は「新貿易法・スーパー三〇一条」を制
定した。これは、もっぱら日本に焦点を当てて、強力な報復・制裁措置を含む
保護政策の最たるものです。それを受けて、一九八九年七月に開かれた日米首
脳会談で、パパ・ブッシュ大統領が宇野首相に迫ったのが「日米構造協議」の
開催でした。それは、アメリカの対日貿易赤字の根本的な原因は、日本市場の
閉鎖性、特異性にあるとし、経済的、商業的側面をはるかに超えて、社会、文
化など含めて日本の国のあり方全般にわたって「改革」を迫るものでした。
 日米構造協議の核心は、日本のGNPの一〇%を公共投資に当てろという要
求でした。しかもその公共投資は決して日本経済の生産性を上げるために使っ
てはいけない、全く無駄なことに使えという信じられない要求でした。それを
受けて、海部政権の下で、一〇年間で四三〇兆円の公共投資が、日本経済の生
産性を高めないような形で実行に移されることになったわけです。その後、ア
メリカから、それでは不十分だという強い要求が出て、一九九四年にさらに二
〇〇兆円追加して、最終的には六三〇兆円の公共投資を経済生産性を高めない
ように行うことを政府として公的に約束したのです。まさに、日本の植民地化
を象徴するものです。
 ところが、国は財政節度を守るという理由の下に地方自治体に全部押し付け
たのです。地方自治体は地方独自で、レジャーランド建設のような形で、生産
性を上げない全く無駄なことに計六三〇兆円を使う。そのために地方債を発行
し、その利息の返済は地方交付税交付金でカバーするという。
 ところが、小泉政権になって地方交付税を大幅に削減してしまったため、地
方自治体が第三セクターでつくったものは多く不良債権化して、それが自治体
の負債となって残ってしまったわけです。六三〇兆円ですからものすごい負担
です。その結果、地方自治体の多くが、厳しい財政状況にあって苦しんでいま
す。日本が現在置かれている苦悩に満ちた状況をつくり出した最大の原因で
す。

内橋

 押しつけられた地方財政の赤字、それを住民への行政サービスの削ぎ落とし
によって埋めさせる。「みせしめの夕張」が必要だったわけですね。

宇沢

 そういう政策を見ていると、日本は完全に植民地というか……属国ならまだ
いいのです。属国なら一部ですから。植民地は完全に搾取するだけのもので
す。それがいま大きな負担になっていて、救いようのない状況に陥っているわ
けです。(後略)

◆自治体行政への市場原理の導入(P53~P55)

(前略)

内橋

 先に触れました「地方分権21ビジョン懇談会」の提案を読むと、現代を「グ
ローバル都市間競争の時代」と定義づけ、「自治体破産制度を含めた市場原理
を導入した自治体づくり」を目指すべき、としています。これが政府の骨太の
方針に反映されて法律化され、二〇〇九年四月から適用された。それが「自治
体財政健全化法」です。重要なのは、本体の財政状況とレジャーランド、病
院、その他第三セクターといった、全く次元の異なったものを連結決算して評
価すること。連結ですから、例えば公立病院が赤字だと財政再建団体に指定さ
れるおそれが出てくる。施行を目前にして、レッドカードをつきつけられてい
るのがすでに四自治体、イエローカードの危険性のある自治体も四〇ある。懇
談会の答申は、自治体も経営に失敗すれば破産という事態に立ち至るという危
機感を持つことが、地方財政の規律の回復のために必要である、などと指摘
し、市場原理による自治体間競争こそ「あるべき二一世紀ビジョン」だと結論
づけています。
 宇沢さんがご指摘になったように、自治体財政の赤字はそもそも一〇年間で
四三〇兆円プラス二〇〇兆円、計六三〇兆円を生産性向上に結びつかない分野
に使えというアメリカからの要求があったため、国民の暮らしを豊かにする投
資には使えず、レジャーランドぐらいにしか使い途がないわけで、そこから出
てきた第三セクターなどの赤字が中心です。住民が飲み食いして消尽したわけ
ではない。
 これに対応してできたと思われるのがリゾート法で、非常に無残な結果を招
いた。私もリゾート法の跡地をNHKの『ETV特集』などで随分回りました
が、ひどいものです。中央からやってきたゼネコンが、ちょっとうまくいかな
いと引き揚げてしまう。夕張の松下興産もそうですね。夕張の場合は、その前
に閉鎖炭鉱の土地、住宅、病院から浴場まで引き継ぎ、五八三億円もの借金を
背負ってしまった。
 二一世紀ビジョンをいうのなら、まず不当なアメリカの対日要求の全貌、自
治体財政窮乏の由来を明らかにし、国が地方に迫ってきた過去のサイクルを断
ち切って、真に地域の内発的な力をいかに蘇らせていくのか、提案すべきで
す。
 それを十把一からげで市場原理だと。しかも、地方債の発行を、税負担=交
付税交付金で面倒見ると言っておきながら、御破算にするという非道徳性。そ
ういう形で地方を追い詰め、結局、行政サービスを削ぎ落とし赤字病院を遺棄
していく。「市場原理を導入した自治体づくり」などという提言をまとめた宮
脇淳・北海道大学教授をはじめとする方々は、いったい何を研究なさっておら
れる方々なのか。
 かくも愚かな提言が、審議会なり私的懇談会から出されて、それが骨太の方
針とか、改革工程表などに組み込まれた。これは民主主義ではありませんね。
民主国家ではそんなことはあり得ない。今日、可視化されるようになって多く
の人が気づき始めたけれども、たくさんの許せないことが平然と行われてき
た、と私は考えます。

◆本当の学究者とは(P67~P68)

内橋

 前回の地方債発行の話に戻りますが、実際には、地方が勝手気ままに地方債
を発行できたわけではありません。全国の地方債発行のグランドデザインを描
いているのは総務省であって、その財源についての地方財政計画も総務省がつ
くっています。つまり国が決めているのであって、地方自治体が勝手に飲み食
いしたり、地域住民が食いつぶして赤字を積み重ねていったわけではない。国
が決めたことのツケを地方自治体に押しつけ、結局、いま地方自治体は行政サ
ービスを削らざるを得ない瀬戸際に追い込まれてしまった。
 竹中平蔵総務相の私的懇談会に本物の学究者がいたならば、赤字の由来につ
いて情報公開を国に迫ったでしょう。合計で六三〇兆円を生産性向上に結びつ
かないようように、という条件つきで地方にばらまき、借りろ、借りろと借金
を強要したのはなぜだったのか、と。なぜいま各地の地方自治体にかくも巨額
の赤字が積もったのか、その真因をこそ解明すべきでした。今日、最大の政治
テーマである公共投資のあり方、日本型利益誘導政治の淵源がそこに発してい
るとみることができますね。
 それが、そもそもの原因に触れないまま、「自治体破産制度を含む市場原理
を導入した自治体づくり」などと自治体間市場競争論をひねり出し、政府の骨
太の方針に反映させ、工程改革表に乗せてしまった。再建団体に指定されたら
大変だ、と、その前に赤字の病院を切り捨てる。住民生活が窮迫の度を加える
道理です。(後略)

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