構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Postal Privatization is an Illusion and definitely a Crime

下記は、東京沖縄文化通信第142号(7月26日発行)に掲載されている、郵政民営化の虚妄、と題する署名記事を転載したものである。活字版に、一部の表現を追加している。東京沖縄経済研究所が発行しているニューズレターである。ホームページは、http://www.okinawa-culture.com である。ご参考まで。  

民主党政権になってからも、郵政民営化の見直し法案が、衆議院を通過したにもかかわらず、参議院での採決が行われなかったのは、後継の菅直人首班が、外国の圧力で、手のひらを返すように、市場原理主義に舵を切ったことと関係があるとのうがった見方もある。要すれば、新内閣は、普天間基地の移設の問題でも日米間での合意を金科玉条に守ると表明しており、国民資産を一部の米国の金融資本の思うがままにまかせようとした郵政民営化と、どこかで重なっている。

郵政民営化の問題は、日米間の政治経済の関係が背後にあるので、なかなかその本質を理解することが難しい。郵便配達が遅れたとか、郵便貯金の本人確認が煩瑣になったとか、手数料が上がったとか、直接郵便局の利用者が不便になったことが、民営化の問題として、捉えられているが、それが本質ではない。

郵政民営化の闇の部分

 民営化した直後に、三井住友銀行から乗り込んできた経営陣が、郵政資産を安価でたたき売ろうとした、かんぽの宿の問題が発端となって明るみに出た。数々の疑惑があり、戦後最大の疑獄事件の可能性がある。5月中旬に、総務省は、その疑惑についての調査専門委員会がまとめた調査報告書を公表している。その報告書を読めば、郵政民営化が刑事犯罪を内包したものであることは一目瞭然である。

 まず、目を引くのは、不動産関係の話だ。日本郵政公社当時の優良物件と不良物件とをまとめて売却する、いわゆるバルク方式については、物件の鑑定評価についても、評価額が低くなるような条件付けを行っていると指摘している。つまり、かんぽの宿の格安での、オリックス不動産への売脚(鳩山邦夫総務大臣が問題視して、結局売却は中止となり、鳩山邦夫大臣が罷免されるという騒ぎになった)も、本当に出来レースの大安売りになりかねないところであったことが、赤裸々に指摘されている。

 元三井住友銀行頭取の西川善文氏が、民営化した日本郵政の社長に就任して、四人組と呼ばれた配下の同銀行出身の配下に任せて、暴走したことを明らかにしている。日本郵政の広告代理店の選択に責任代理店というやり方を導入して、大手広告会社の博報堂から、頻繁に接待を受けていた問題も明らかになっている。なんと、07年度の広告宣伝費192億円の内八割を博報堂と契約、08年度には、これが9割となっているが、相当数の飲食などの接待を受けたが、総務省のヒアリングにも、応じなかった。

 日本郵政の社員は、みなし公務員の性格も持つので、汚職と判断されても仕方のない状況であった。実質的にも、利益相反の疑いがあると指摘されたのが、人材派遣会社の、ザ・アールとの間の研修委託契約であった。報告書は、奥谷禮子社長が、日本郵政の社外重役に就任してから、契約件数が急増したことを取り上げて、重大な問題があるとしている。

 郵政民営化が、一部の資本家による私物化であることが明らかになったのだが、残念ながら、政治混乱の中で、不正を働いた経営者や銀行関係者などは、ほとんど全ての関係者が、日本郵政をやめて逃亡した形となっている。

 政権交代前には、西川氏らの郵政経営陣の特別背任未遂容疑で刑事告発が出されているのであるが、うやむやになってしまった。政局の混乱の中で、郵政改革法案の審議もすっかり短縮され、こうした民営化をめぐる闇の部分に対する追求もおざなりとなってしまった。特捜検察の活躍に期待するところ大である。

郵政民営化の第二の問題

 最大の問題は、国民資産である郵便貯金や、簡易保険のカネを、海外に持ち出して、一攫千金のカジノ経済に投入しようとしたことだろう。旧経営陣の罪と闇を暴いた筈の、上記報告書にも、多額の資産が、大手信託銀行に預けられ、資金運用が行われ、その過程を通じて海外に資産が移転する手法がとれれたのではないかとの疑惑については触れられていない。世界的には、投機の経済手法に対しては、司直の監視が加えられて、犯罪として摘発されており、米国ではあたらしい金融規制法が検討され刑事訴追が行われている。

郵政民営化の虚妄

 菅内閣は、郵政民営化の見直し法案すら先送りして、普天間基地の辺野古移転の既成事実化と同様に、日米合意を優先する方針を打ち出した。郵政民営化も、ブッシュ政権下での激しい圧力で、小泉・竹中政治が人身御供として米国に差し出した、巨額の利権構造と考えられる。民主党の経済政策は、小泉・竹中政治の構造改革論の失敗した政策を踏襲する先祖返りの悪政を復活する可能性がある。

 しかし、「天網恢々疎にして漏らさず。」筆者は、郵政民営化の虚妄について、過去六年間の臥薪嘗胆、警鐘を打ち鳴らしてきた。その間、世界の拝金の市場原理主義が、むしろ破綻した。危ないところであったが、郵政の資産も外国に持ち出されてはいないから、その毀損も、根本的な損壊では無かったと推測している。農林中金などは、外資の甘いささやきにのって、上げ潮だとの誤った経済判断で、実は引き潮で舟が難破するように、巨額の損失を出した金融機関も出た。筆者は、激しい攻撃を受けたが、市場原理主義者の勢いは、明らかに半減している。台風の返し風のような趣もあるが、もう、風で日本を吹き倒すだけの力はない。

 国会での、民営化見直し法案の審議が止まったが、止まれば止まるほど、外国に対する株式の売却の可能性は薄らぐので、天の助けと思わないわけではない。外国の国債を大量に購入して外国が戦争を遂行する資金源とさせてはいけない。基地の移転費用の資金源とさせてもいけない。

奄美徳之島に生を受けた筆者は、日本郵政の中枢の幹部に出世したが、却って、不正を見逃すことなく、抵抗勢力として、果敢に清廉潔白の主張を貫徹して、国益を守ることになったことは、琉球の文化と伝統を共有する一人として、ささやかな誇りを感じる。筆者が沖縄の郵政管理事務所長の時、那覇市の天久の軍用地の跡地などは、老朽化した郵便貯金会館を建て替え、併設の琉球芸能を満喫出来るスタジオ・劇場建設を意図して、62億円を投入して土地を買ったが、その土地がわずかに数億円で、オリックスの子会社に売却されていることを見れば、郵政民営化とは、土地転がしの不正と言わずして何だろうか。

日本郵政の民営化の闇は、日米間の経済政策を背景にするだけに、基地問題同様に支配の構造の問題を内包しているが故に、わかりにくい巨大な問題ではあるが、もう沖縄の関係者には理解していただけるものと思う。

以下、参考まで。

 郵政民営化見直しは、200912月に「郵政株式売却凍結法案」が成立して、政府が持つ日本郵政株式の売却と「かんぽの宿」売却を止め、「郵政改革法案」が提出された。

 小泉政権が進めた郵政民営化の目的は、郵貯・簡保合わせて350兆円の金融資産を、ハゲタカ外資に奪わせることでした。その証拠は、米国が毎年わが国に突き付ける『日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府要望書』(年次改革要望書)にあり、1995年版から簡易保険の廃止と市場開放を求める項目が登場し、2004年版には「2007年の民営化開始」も明記されていた。外国からの差し金があったことは、公式文書でも確認されている。

 米側の関与については、竹中平蔵金融相は郵政民営化準備室が米国政府・業界関係者と17回面談したと証言しているが、その面談の内容については未だに公表されていない。諸外国の郵政民営化の流れは、市場原理主義の投機経済同様に、すっかり止まってしまって、もう郵政民営化がいい政策だと称揚する動きは影を潜めた。 英国では、国有会社が郵政事業を運営しており、都市部以外の郵便局では採算が取れず、赤字を税金で穴埋めした経緯があり、法人化は失敗と考えられている。当時のブレア首相は「日本は時代に逆行している。多くの国で民営化に失敗していることを学ぶべきだ」と指摘した。 ドイツでは、60%以上を政府が出資する株式会社が運営し、60年代に郵貯を分離して別会社にしたが、大失敗に終わり郵便事業会社が買い戻し、民営化によって採算の取れない郵便局が次々と閉鎖したため、国民生活に打撃を与えた。特筆すべきは、民営化を強力に進めた、マッキンゼーという世界的なコンサル会社出身の総裁を外為法違反で逮捕して放逐した。

 ニュージーランドも1987年に分割民営化されたが、郵便局の閉鎖が相次ぎ、国民生活に打撃を与えた。郵貯はオーストラリア銀行に買収され、庶民が利用できる少額決済の銀行が皆無になり、民営化された郵便会社を政府が買い戻すとともに、郵貯に代わる『キウイバンク』という国営金融機関を作らざるを得なくなった。米国は、日本に民営化を押し付けておきながら、国営の郵便事業を守り続けている。郵便庁に勤務する約86万人は公務員で、大統領委員会は今後も公的機関が郵便事業を行うのが望ましいと結論づけている。「公営は時代遅れ」という言葉が、日本の国民資産である郵便貯金やかんぽの資金を奪うための虚偽宣伝であることが分かる。

 海外から見ると、郵政民営化の狙いは明白で、2005年の「郵政解散」翌日の『Financial Times』に、「日本はアメリカに3兆ドルをプレゼント」と題する記事が掲載されている。旭日旗がぼろぼろにされ、中央の穴の中にシルクハットにマント姿でアタッシュケースを持った西洋人が入っていく風刺画が添えられています。 郵便貯金の国債買い支えは実は、公的な経済の安定に貢献しており、マスコミの批判は的外れです。日本がギリシアになっていないのは、文字通り、公的な資金需要を国内で支えているからです。都市銀行も大量の国債を抱えていて、金利が上がってくれば、評価損を最小限にするため一斉に放出を始めるはずで、長期金利が一気に上がります。メガバンクに信用不安が走れば、円が売られます。円安は自己資本比率を低下させ、貸し渋り・貸しはがしが起きます。信用不安は預金の流出を引き起こし、金融恐慌に発展しかねません。

 金融不安のあおりを最も受けるのは信金・信組など地域の金融機関であり、地場産業や地域生活が立ちゆかなくなると予測されるのです。郵政の資金があるおかげで日本ではそんな現象は起きていませんして、実際にも、郵政見直しが決定したことで、安定的に市場も推移している。 

 すでにさまざまな民営化の弊害が起きている。民営化前の2003年、郵貯・簡保資金の運用委託先が公募され、翌年運用先が決まり、旧長銀の破たん処理問題で国会に参考人招致を求められ、サブプライムローン関連の債務担保証券の販売で米証券取引委員会(SEC)に提訴されているゴールドマン・サックスをはじめとした外資系ファンドが名を連ねている。

 「かんぽの宿」の不正な売却は、鳥取県岩美町の「かんぽの宿・鳥取岩井」は1万円で売却され、半年後に6000万円で転売されていたし、総合規制改革会議議長を務めた宮内義彦氏が経営するオリックスグループは2400億円をかけて造った70の施設をたった109億円で買い取ろうとしたことはすでに述べたとおりです。

 業務を郵便局会社と郵便事業会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の4社に分けたため、3事業一体で生まれていた効率性がなくなり、滑稽なことに、郵便局内に間仕切りが置かれ、人も出入りできなくなり、郵便配達に保険や貯金に関する業務を頼めないのは過疎地のお年寄りなどには全くの改悪でした。

 郵貯残高も減る一方で、ピーク時に260兆円あった貯金残高は、200912月末には177兆円弱まで落ち込んで見る影もない。

 「分社化の中で利益を確保するため、過疎地を中心に簡易局の閉鎖が相次ぎ、約4000あった局の1割強が一時的に閉鎖された。民営化と同時に防犯カメラが各郵便局に設置されましたが、郵便局長が誰と会っているかなど、職員の監視に使われ、一方では、郵政犯罪の捜査組織であった郵政監察を廃止して、郵政幹部の犯罪を見逃したのではないかとの指摘もある。」(この項は原文に合った部分であるから再掲している。) 

 国民の多くがマスコミの操作で、郵政民営化を素晴らしいと思わされましたが、実態は上述の通りです。テレビや新聞は「民営化で公務員が10万人減らせる」との小泉純一郎元首相の言葉を宣伝しましたが、郵政公社の運営に税金は1円も使われていませんでした。

「小泉首相の発言をNHKなどが無批判に方同意したことにも驚かされましたが、その後、日本のマスコミは、外国勢力に買収されたかのような動きになっている。「郵政選挙」に向け米国の保険会社がわが国の大手広告代理店に5000億円の広告を依頼したとの指摘があり(『アメリカに食い尽くされる日本』森田実・副島隆彦、日本文芸社p.136)。そこでは国民を階層区分し、学歴や所得の低い「B層」を標的にした広告戦略が展開されたことはすでに広く知られている。

このように、マスコミが外国勢力の強い影響下で世論操作を行っているのが、典型的に見られるのは、沖縄の基地問題と同様であるが、天網恢々疎にして漏らさず、情報はラクダの歯の間からも真実は漏れ出てくるように、郵政民営化の不正や、構造改革論の虚妄ががぼろぼろと表面化している。

そうした中で、行政当局も重い腰を上げて、郵政民営化の中での数々の疑惑を指摘するに至った。まだ、司直の手にゆだねるような刑事事件としての捜査には着手していない。参議院選挙があり、その後の政治過程の中で、市場原理主義の虚妄とその背景が率先して、明るみに引き出されることになることは、」(この項についても、原文に合った部分を再掲している。)

普天間の基地問題をめぐる日米間の安産保障問題の再定義の議論と同様に、真剣に議論され、場合によっては、闇の部分が捜査の対象となることが強く期待される。

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コメント

監視カメラは絶対必要。今も犯罪や紛失が多発しているから。特に特定局長!
郵便局やゆうちょ銀行の渉外社員が訪問すればよいこと。日本郵便の外務社員が、貯金や保険のお金を預かる必要性は無し。
3社の代理店を郵便局会社1社が引受けているのだから、効率性を言うのなら公社時代と大差はない。
3人局や4人局に特定局長は不要。局長代理で十分。
現場の社員の声を聞いてもらいたい。特定局と一緒にはなりたくない。配達先での営業活動に怒鳴り込んで文句を言う特定局長は不要

投稿: 通行人A | 2010年7月30日 22時52分

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