構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

« An Monument Underground | トップページ | Foliage inTokyo »

Tyranny of Distance

2010_1202_080546cimg0157 2010_1202_080324cimg0153

上記の写真は、東京のスーパーマーケットで配布されていた、お歳暮の案内の裏表紙である。おもての表紙には、カニのつめをぐつぐつゆでている鍋料理の写真があり、見栄えがいいし、「贈っても、頂いてもうれしい商品を40%最大割引で承ります」等と威勢がいい。ところが、裏表紙には、離島不可という文字を緑の囲いにいれて、このマークのついた商品は下記の地域にはお届けできません等と書いてあるのは頂けない。

スーパーの会社の名前は、相撲の世界から採ったとかも知れないが、横綱ではないから、大手の会社ですぐ判る。最近開店した店で、「離島不可」のカタログは入手したが、賑わっている。

しかし、これほどまでに、はっきりと、マークまでつくって、離島不可とのラベルを貼ってすげなくすることも珍しいのではないだろうか。離島に送ることには、送料が余計にかかりますとか、距離別の料金表にするとか、時間がかかって、例えば冷蔵が不十分になるのでお問い合わせくださいとか、何とかしおらしく、言い訳がましく書いてあるのが、普通であるが、「離島不可」と威猛々しく表示してあるカタログを見たのは、当方ブログにとっては初めての経験である。

要すれば、格差社会を意図的に作り上げようとする市場原理主義の露骨な表現である。自分たちが中央で、その他の遠いところは、離れ島で、遠いところにはカネがかかるので送らない、色々と手配することも面倒くさいので、やらない。斬って捨てて、効率の良いところだけを商売の相手にして何が悪いと居直る商法である。金儲けをして何が悪い。ちゃんと表示をしてあるから、その方がコンプライアンスやらとで、細かく説明してあるではないか、どこが法律に違反しているのかなどと主張することは間違いない。離島不可と緑色の字で書いてあるから、赤い字で印刷しているわけではないから、まだ良いなどと、理由を色々とあげつらうに違いない。

当方ブログが言いたいのは、小さきものへ、あるいは東京から遠く離れた島々に、お歳暮のひとつを何とか送ろうとする気概が失せたのだろうかとの疑問である。多少値段が高くなっても、全体の中では僅かのコストであるから、それをお客様全体で負担して、ならしていったのが、今までの日本の商売の志の高さではなかっただろうか。船で送れば時間がかかるのであれば、コストがかさんでも飛行機を使って間に合うようにして送ったのではなかったのか。配達と納期に間に合わせるためにはいろんな工夫をした。離島であれば、台風の季節に船が運航しなければ、飛行機のチャーター便を使ってでも、供え物を送らなければ、運送会社の資格などないし、相手にもされなかった。祖先を大切にする沖縄などでは、お盆の祭りの為のお餅を間に合わせることを怠ったら、運送会社の資格もないと言われるだろう。東京には、さてさて、そうした離島から出稼ぎに来て、年老いてもう送る親や親戚もいない時代になったから、こんな離島不可のマークをつくっても文句のひとつも出ないのだろうか。一灯一隅、万灯照国であることを亡きものにしょうと画策・狂奔しているのだろうか。

そうだろうか。日本の津津浦々の生活の安寧を、ただ、会社の都合で、金が儲からない地域だから切り捨て対象にするとして、麗々しく離島不可のマークをつけて乱すことを企てるのであれば、拒否しようではないか。抵抗勢力とまたラベルを貼られて攻撃されるかも知れないが、相手の拝金主義は世界的には退潮に向かっているし、フランス風に言えば、レジスタンスにはなる。

大英帝国の時代に遡らずとも、最近まで、日本の位置するアジアの呼び方を極東などと言っていたが、その発想である。日本が、極東に位置しており、そこで、いろんな「不可」の烙印を押されていたことを忘れたかのような話である。

お届けできない地域を列挙しているが、東京にいる、その地域の係累のある日本国民はまず、このお歳暮の「離島不可」をどうお考えになるだろうか。当方ブログは、離島という言葉自体が尊大であると考えている。

念のため、その会社が勝手に決めている地域は次の通りである。

北海道・道内離島(利尻郡、礼文郡、苫前郡の天売島、焼尻島)

新潟県・佐渡市、岩船郡(粟島浦村)

東京都・伊豆諸島(大島町、利尻村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村)、小笠原諸島(小笠原村)

島根県・隠岐郡、長崎県・対馬市、壱岐市、長崎市(伊王島町、高島町)、南松浦郡(新上五島町)、五島市、西海市、松浦市(鷹島町、福島町)、北松浦郡(小値賀町)、平戸市(大島村)、佐世保市(宇久町)

鹿児島県・大島郡、鹿児島郡(三島村、十島村)、熊毛郡・薩摩川内市(上甑町、下甑町、里町、鹿島町)、出水郡(獅子島)、奄美市、西之表市、

沖縄県・本島を除く地域(石垣市、宮古島市、八重山郡、島尻郡(北大東村、南大東村、粟国村、久米島町、渡名喜村、伊平屋村、伊是名村、座間味村、渡嘉敷村)

その後に、麗々しくも、万が一カタログ有効期間中に市町村合併の対象になった場合は上記を旧呼称として参照頂き、配送の可・不可について変更の可能性がありますのでその都度お問い合わせ下さいとかいてある。三百代言のような漏れのない鉄面皮の注釈がついている。

ユニバーサルなサービスをやめさせて、こうした市場原理主義の拝金商法があたかも良いことのように考えて、一君万民の分け隔てのない日本を破壊しようとする勢力が力を取り戻しつつあるようだ。このカタログの「離島不可」というサービスの暴力は、氷山の一角にすぎないだろうし、今度の国会でも郵政民営化の見直しや、他の市場原理主義の政策の改廃がすっかり停滞しているが、拝金主義の破綻を糊塗しようとする強欲勢力がまだまだ暗躍していることを透かして見せるようなカタログである。むしろ、市場原理主義は破綻して、世界の潮流はその修復に向かっている。時代遅れのカタログに「拝金の市場原理主義不可」とのラベルをデザインして貼り付けたいところだ。

|

« An Monument Underground | トップページ | Foliage inTokyo »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/209267/50188527

この記事へのトラックバック一覧です: Tyranny of Distance:

« An Monument Underground | トップページ | Foliage inTokyo »